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最新パーツ性能チェック 第237回

大型空冷のファンなし運用でもイケた!

「Athlon 200GE」はPentiumにGPU性能で勝るライトユースの決定版だ

2018年10月24日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラ ハッチ

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 では今回の検証環境を紹介しよう。Athlon環境は比較的安めのB450マザーボードを準備し、ストレージは安価なSATAのSSDを組み合わせた。そして比較対象にはAthlonの仮想敵であるPentium Goldを準備。価格的にはG5400が近いのだが、G5400は普段使いというよりはサーバー用途で人気。

 グラフィックス性能がG5500よりも劣るンテル UHD グラフィックス 610であったため、約2000円高いG5500を選択。CPUクロックにして100MHzしか違わないので、強烈な違いは出ないだろうと判断した。ちなみに価格はAthlon 200GEが実売7800円前後、Pentium Gold G5500が実売1万100円前後(2018年10月24日現在)と約2300円ほどの差がある。

【検証環境:Athlon】
CPUAMD「Athlon 200GE」(2コア/4スレッド、3.2GHz)
マザーボードASRock「Fatal1ty B450 Gaming K4」(AMD B450)
メモリーCorsair「CMU16GX4M2A2666C16R」(DDR4-2666 8GB×2)
グラフィックスCPUに内蔵(Radeon Vega 3 Graphics)
ストレージCrucial「CT525MX300SSD1」(SATA SSD、525GB)
電源ユニットSilverstone「ST85F-PT」(850W、80PLUS Platinum)
OSマイクロソフト「Windows 10 Pro 64bit版」(April 2018 Update)
【検証環境:Pentium】
CPUIntel「Pentium Gold G5500」(2コア/4スレッド、3.8GHz)
マザーボードASRock「Fatal1ty B360 Gaming K4」(Intel B360)
メモリーCorsair「CMU16GX4M2A2666C16R」(DDR4-2666 8GB×2、DDR4-2400で運用)
グラフィックスCPUに内蔵(インテル UHD グラフィックス 630)
ストレージCrucial「CT525MX300SSD1」(SATA SSD、525GB)
電源ユニットSilverstone「ST85F-PT」(850W、80PLUS Platinum)
OSマイクロソフト「Windows 10 Pro 64bit版」(April 2018 Update)

CPUで負けるが、GPUでは勝つ!

 では定番の「CINEBENCH R15」から検証を始めよう。Athlon 200GEとPentium Gold G5500はコア数こそ一緒だが、動作クロックは3.2GHz対3.8GHzと、Pentiumが大きくリードしている。Zenアーキテクチャの特徴(泣き所)として、シングルスレッドが弱いというものがあるが、これがどうスコアーに絡んでくるかチェックしたい。

「CINEBENCH R15」のスコアー

 AthlonもPentiumも2コア4スレッドなので、性能も似たり寄ったりだ。Athlon 200GEの性能はPentium Gold G5500よりマルチスレッドで約11%、シングルスレッドで約24%遅いと出ているが、実売9000円のG5500に7000円のAthlon 200GEと考えれば、そうコスパは悪くない。筆者の記憶からシングルスレッド性能が近いCPUを探してみたがHaswell世代のCore i5の下位モデル(Core i5-4460あたり)が近いようだ。

 次は「PCMark10」のExtended Testを試す。ただ総合スコアーだけだと何が強い・弱いのかがさっぱり分からないため、テストグループ別にスコアーを検証してみたい。

「PCMark10」Extended Testの総合スコアー

 総合スコアーでは、両者全くの互角。価格の安いAthlon 200GEはコスパに優れた製品といえるだろう。

「PCMark10」Essentialテストグループのスコアー

 まずEssentialsテストグループでは、アプリの起動時間においてPentiumが圧倒的。やはりターボブーストなしで3.8GHzで回るCPUなので、瞬発力はあるようだ。だがビデオチャットでは内蔵GPUのパフォーマンスが活きるのか、Athlonが僅差で勝利。どうやら内蔵GPUの頑張りがカギのようだ。

「PCMark10」Productivityテストグループのスコアー

 表計算や文書作成といったオフィス系作業の性能を見るProductivityテストグループでは、PentiumがAthlonを上回っている。動作クロックの差が響いているようだ。

「PCMark10」Digital Contents Creationテストグループのスコアー

 クリエイティブ系作業の性能をみるDCC(Digital Contents Creadtion)テストでは、CGレンダリング処理でAthlonが圧勝、動画編集は一転Pentium圧勝となった。前者は内蔵GPUの描画性能が、後者は単純にCPUのクロックが効いていると思われる。

「PCMark10」Gamingテストグループのスコアー

 最後のGamingテストグループでは、GraphicsとCombinedでAthlonが、PhysicsでPentiumがスコアーを稼ぎ、トータルではAthlonの勝利となった。Athlonは内蔵GPUで、PentiumはCPUのクロックの高さを活かした演算性能を武器にしている。

 ゲーミング性能を軽くさらう前に、定番「3DMark」のパフォーマンスも見てみよう。PCMark10のGamingテストグループ(ほぼFire Stirike)でも十分だが、より軽いテストも実施してみた。

「3DMark」のスコアー

 細かいスコアーは割愛するが、基本的にグラフィック性能が重視される局面ではAthlonが勝り、PhysicsではPentiumが勝るというPCMark10と同じ展開となった。スコアーは勝ったり負けたりだが、それぞれのCPUの持ち味を活かしきったというところか。

 今回のゲーミング性能比較は「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」公式ベンチを利用した。画質は一番低い“標準品質(ノートPC用)”とし、解像度を720p(1280×720ドット)と1080p(1920×1080ドット)の2通りでテストした。また、スコアーだけでは分かりにくいので、テスト中の平均fpsも比較する。

「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」公式ベンチのスコアー

「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」公式ベンチの平均fps

 3DMarkよりもCPUへのスコアー依存度が低く、なおかつメインメモリーのクロックがスコアーに影響しやすい(AthlonはDDR4-2666、PentiumはDDR4-2400)ため、Athlonが圧倒的なスコアー差で勝利。ただ画質を一番低く抑えても、1080p(フルHD)でゲームを楽しむのは難しい。720pの粗い解像度で楽しめるゲームに限定すればなんとか……といったところだ。

 3Dゲームが苦手なら2Dゲームなら……と考えるところだが、Vega 3の描画パフォーマンスはそれほど高くない。下のスクリーンショットはインディーズゲーム「Dead Cells」のものだ。2Dオンリーなのでそれほど描画パワーは要らないはずだが、左上のFrapsでフレームレートカウンターを見る通り、時々40〜50fpsに上がるが、基本は30fpsで安定する(ウインドウモードでの測定)。ゲーム目的なら、もう少しパワーのあるRyzen Gシリーズを最初から選ぶ方が得策といえる。

最近話題を呼んだ「Dead Cells」でのプレイ風景。2Dオンリーだがフレームレートはさほど高くない

 2コア4スレッドなので動画エンコード速度は遅いのは火を見るよりも明らかだが、一応検証してみたい。今回は再生時間2分の4K動画(M4V形式)を「TMPGEnc Video Mastering Works 6」でフルHDに縮小しつつMP4形式に変換する時間を比較する。コーデックはCPUを使うx264のほかに、PentiumはQSV(Intel Media SDK Hardware)も使用した結果も併記した。

「TMPGEnc Video Mastering Works 6」によるエンコード時間

 絶対的なクロックの高いPentiumが勝つだろうという予想どおりの結果となった。とはいえ、このクラスのCPUでエンコードは明らかに間違い。快速エンコードを狙うなら、もっとパワーのあるRyzen 5や7を使うべきだろう。

 では消費電力はどうだろうか? システム起動10分後を“アイドル時”、「OCCT Perestroika v4.5.1」のPower Supplyテストを10分走らせたときの値を“高負荷時”としたのが下のグラフだ。

システム全体の消費電力

 アイドル時はクロックが中々下がらないAthlonが高いが、高負荷時は3.8GHz動作というクロックの高さがPentiumの消費電力を釣り上げた。Athlon 200GEなら小型PCケースでACアダプター駆動でも楽に運用できるだろう。

 さて、Athlonの欠点のひとつとして、NVMe SSDへの接続がPCI-Express 3.0 x4ではなくx2であるということは先に述べたが、実際にこれはどの程度影響するのだろうか?

 そこでウエスタンデジタル製のM.2 NVMe SSDである「WDS100T2X0C」を準備し、D:ドライブとして初期化。「CrystalDiskMark」で読み書き性能を計測してみた。Athlon環境で利用したマザー(Fatal1ty B450 Gaming K4)は2本のM.2スロットがあるが、CPUに近い方に接続している。

「CrystalDiskMark」による読み書き性能の比較。左がAthlon 200GE、右がPentium Gold G5500

 接続バスが半分になるのだから最新NVMe SSDの読み書きも相当遅くなる……と思いきや、結果はほぼ同じ。一番バス帯域を消費すると思われるシーケンシャルリード・ライトもほぼ同じだ。Athlon 200GEクラスのPCに現在最高速クラスのSSDを組み合わせることがあるのかという問いはともかく、帯域が半分になったとしても現行のSSDでは全く気にする必要はない、といえるだろう。

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