意外と使える鍋がない
まず使える鍋が限られている。深さの問題だ。本体を鍋のフチにクリップで引っ掛けて固定するが、問題はクリップの位置と、ヒーターとファンが収まっている最下部までが、かなり長い。パスタ鍋のように、ある程度深さがないと底付きするのだ。
そこで実際に鍋の深さがどれくらい必要なのか測ってみた。クリップの爪は3段階あり、一番高く上げてだいたい14.5cm、真ん中で16.6cm、一番下げて18.7cm程度。深さ15cmの鍋でも使えないことはないが、ヒーターの先は鍋底から少し離したい。
説明書には「10cm以上」の深さがある鍋で使えるとあるが、これは鍋以外の何かに固定して使う際の、最低水位との関係だろう。低温調理器本体を鍋にクリップするのであれば、深さ10cmの鍋では固定できない。ちなみに最低水位「MIN」はヒーター先端から6.5cm、「MAX」は14.2cmだった。
ただ、金属製の鍋である必要はないのかもしれない。火にもかけず、調理中の水温はせいぜい70度程度で、食材も真空パックで密閉されていること考えると、耐熱性のある樹脂でも用は足りる。でもバケツのような入れ物だと、なんかこう加熱料理している雰囲気が出ないというか……。
私はトップバリュの「HOME COORDY ガラスフタ付ステンレス三層底 両手鍋22cm」を使っている。価格は3218円。鍋の深さは実測で約18cm。3段階あるクリップの爪を、一番下に下げると底付きするが、ほかの2つのポジションでは使える。多分、これくらいが使える最低の深さではないかと思う。
カジュアルに使うなら真空パック化が面倒
ほかに必要なものは、脱気バルブ付きの真空保存袋だ。手動の真空ポンプは付いてくるが、真空保存袋は付いてこない。袋のバルブ部分にポンプの先を当てて、シュッシュッっと空気を抜いてゆくのだ。
冷凍保存用として売られている袋も使えるはずだが、耐熱温度を考えると真空調理用として売られているものを選ぶのが無難だろう。ジッパー付きのポリ袋と考えれば割高感はあるが、使い捨てではないので、しつこく再利用できる。
ただ、付属のポンプはあまり使い勝手が良くない。食材の水気を吸い込んでしまうと、洗浄がちょっと面倒なのだ。その点では、貝印の製品が使いやすかった。ポンプ全体を分解して洗えるので、食材の水気を吸い込んでも平気。真空保存袋6枚付き(ただしジッパーや脱気バルブの耐熱温度は60度)で1000円しないのもいい。
ただ、手動ポンプでシュコシュコやっていると、つい電動バキューム式のシーラーに目がいってしまう。なにしろ電気の強力パワーで脱気してくれるし、袋も自動でシールしてくれる。あれはいかにも便利そう。
実は、その自動シーラーと電動バキュームポンプがビルトインされた低温調理器があるのだ。ただし、 Amazonで調べる限り、低温調理器の中で一番高価な製品だった。次はその最高級(?)低温調理器を試して、アンダー1万円の製品と比べてみたい。
■Amazon.co.jpで購入
四本 淑三(よつもと としみ)
北海道の建設会社で働く兼業テキストファイル製造業者。