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アパレルメーカーの新たな挑戦 商材につける「シェアタグ」を通じwebでSDGsを伝え広げる

2018年06月13日 10時59分更新

記事提供:ITソーシャルニュース

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6月1日(金)、レディース衣料メーカーの株式会社「For it」(フォーイット 本社:大阪市中央区 代表:山野眞成)は、堂島リバーフォーラムにて、創業10周年記念イベント「WE HAVE A DREAM! 私のit 私たちのit 未来を変えるit」を開催した。

「For it」は社長の山野眞成さん(44)がたったひとりワンルームマンションで起業し、現在社員は41名。消費低迷と価格競争の激化で国内アパレル市場の縮小が問題視されるなか、10期目で売上高48億円、過去5年間の年平均成長率25%を記録する異例の急成長をなしとげた。

売り上げのみならず社員が入社時に書きだした「かなえたい夢リスト10」を実現するため月1回、就業時間内の3時間30分を自由に使うことができる「FDD(For it DREAM DAY)」制度を設けるなど社員の個性を活かす制度を導入。誰もが伸び伸びと就労できる環境を実現した。この日は取引先や仕入れ先など業界関係者およそ350人が集まり、ファッションショーを含む約3時間にわたるイベントを楽しみ、熱気に満ち溢れた会場で山野さんが語るこれからの「it」(挑戦すべき課題)に耳を傾けた。

山野さんが宣言した「it」は大きくふたつある。ひとつは業界共通タグ「SHARE TAG」(シェアタグ)。「シェアタグ」とは異なるアパレルメーカーが横断的に衣料品に統一タグをつけ、「タグを通して社会にメッセージを届けていこう」という画期的なプロジェクト。タグに記載された情報からWebサイトにアクセスすると、各社のこれからの社会課題に関する取り組みやメッセージを読み取ることができ、ユーザーは寄付やボランティアなどのアクションを起こすことができる。



伝えたいメッセージとは「SDGs」(貧困解決やジェンダー平等など世界が共通で取り組んでいる国連の持続可能な開発目標)の達成。使われるタグの紙質も地球環境にやさしい新素材を使用する考えだ。世界経済フォーラム(通称ダボス会議)が選ぶ、日本の若手リーダーに選出された株式会社「Atore」(アトレ)代表取締役 CEOの後藤将さん(33歳)とともに構想し、準備を開始。東京オリンピックが開催される2020年までに1億枚を発行する計画。アパレル業界の慣習となることを目標として掲げ、この日、関連企業に参加を呼び掛けた。「For itだけで年間400万枚のタグを発行している。これがアパレル業界全体に浸透すれば日本の隅々までお客様にメッセージが伝わるはず」と山野さんは語る。

もうひとつの「it」は超物流センター「SHARE LOGISTICS」(シェアロジ)。「シェアロジ」とは1万坪に及ぶ巨大なシェア物流を展開する計画のこと。For it社だけではなく関連企業も同床に入居し、各社同梱出荷によりコスト削減と環境負荷の軽減をはかる。またこれにより時間のロスが減り、子育てをしている女性やシルバー世代が働きやすい職場が生まれる。「シェアロジが、ひいては雇用創出と地域活性化へとつながる」と山野さんは確信する。

山野さんのこういった発想の原点は、創業7年目に子どもを授かったことにある。「新しい命が芽生え、この子たちが希望ある未来を生きる方法を、我々大人が真剣に考えなければならないと思った」。そしてこういった新たな取り組みを総称して「For it2.0」と呼ぶ。

ステージではほかに「見たことのないファッションショー」が開かれた。これはパリコレクションなど数多くのファッションショーを手掛ける小松隆宏さんの演出によるもの。白いTシャツでランウェイする「個性なき個性」をテーマとしたパートから、7色のアシンメトリーなファッションとヘアメイクで激しくダンスを披露するパートまでグラデーションな展開で観客を魅了した。ダンスの振り付けは大阪府立登美丘高等学校ダンス部の「バブリーダンス」で一躍時の人に輝いたコレオグラファーのakaneさんが担当。またBMXフリースタイルのメダル候補・大池水社(おおいけ みなと)さんの妙技などが晴れの10周年を飾り、盛会のうち幕を閉じた。



参加者たちは「競争が優先されがちなファッション業界において協同での社会貢献活動が始まることは心から楽しみだ」と語り合い、斬新なムーブメントの到来に対する期待の大きさが感じられた1日だった。

(取材・記事:吉村 智樹)

・関連サイト
For it=http://www.forit.co.jp/

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