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オールフラッシュ/ハイブリッド合計10モデル、従来比最大3倍の価格性能比を実現

「HPE Nimble Storage」NVMe/SCM対応の新世代モデル発売

2018年05月23日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2018年5月22日、新しい世代のプラットフォームを採用した「HPE Nimble Storage」新モデル群の提供を開始した。従来比で価格性能比を最大3倍まで高められるほか、ハードウェア設計の刷新によって、将来的なNVMeやSCM(ストレージクラスメモリ)のサポートも可能にしている。

新世代プラットフォームを採用した「Nimble Storage HFシリーズ(HF20Q)」

米HPE ハイブリッドIT事業統括 HPE Nimble事業部 プロダクトマネージメント シニア・ディレクターのアシッシュ・プラカーシュ(Ashish Prakash)氏

日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏

オールフラッシュ構成のAFシリーズ、ハイブリッド構成のHFシリーズ

 今回発表されたのは、オールフラッシュ構成の「AFシリーズ」5モデルと、ハイブリッド(HDD+SSD)構成の「HFシリーズ」5モデル。HFシリーズは、従来のハイブリッドモデルであるCSシリーズと昨年11月から販売していたセカンダリフラッシュモデルのSFシリーズを統合したものとなる。

 全機種でデュアルコントローラーを搭載しており、1Gb/10Gb iSCSIまたは8Gb/16Gb FibreChannel(オプション)インタフェースを備える。トリプル+ パリティ(三重パリティ+内蔵ドライブパリティ)RAIDにより最大3台の同時ドライブ障害にも耐え、パフォーマンスや容量の可視化、予測、障害予兆検知などを行う「HPE InfoSight」サービスへの対応により、99.9999%の可用性を保証する。

 オールフラッシュのAFシリーズは、最小物理容量6TBからスタートするエントリーモデルのAF20Q/AF20、価格性能比のバランスを重視したミッドレンジモデルのAF40/60、1台で39万IOPSを実現するハイエンドモデルのAF80で構成される。AF20QとAF20は同等モデルながら実効容量/有効容量(重複排除/圧縮適用容量)が異なり、有効容量はAF20Qが14~128TB、AF20が82~168TBとなっている。AF80は、旧世代モデル(AF3000)と同等の価格で3倍のパフォーマンスを実現する。

オールフラッシュアレイのAFシリーズ

 ハイブリッドのHFシリーズは、エントリーモデルのHF20H/HF20/HF20C、ミッドレンジのHF40、ハイエンドモデルのHF60で構成される。HF20Hは、スモールスタートができるよう初期搭載ドライブがHF20の半分となっている(拡張後の最大容量はHF20と同等)。またHF20Cは、重複排除の効果が薄いメディアファイル向けのモデルで、インライン重複排除処理を行わないが、最大有効容量は2PBとなっている(HF20の最大有効容量は845TB)。またハイエンドのHF60は、旧世代モデル(CS7000)との比較で65%以上のパフォーマンス向上(最大22万IOPS)となった。

ハイブリッドフラッシュアレイのHFシリーズ

 これらの新モデルでは、将来にわたる永続性を実現して顧客の投資を保護するために、AF/HFシリーズともエントリーモデルからハイエンドモデルまでのシームレスなスケールアップが可能。さらに今回は新世代のプラットフォーム(シャーシバックプレーン)を採用して技術進化に追随できるようになっており、将来的にはコントローラーの交換やOSのアップデートを通じてSCMおよびNVMeプロトコルをサポートする(現時点ではSCM/NVMe対応時期は未定)。

 Nimble Storage新モデルの最小構成価格(税抜)は、AFシリーズ(AF20Q)が849万2700円、HFシリーズ(HF20H)が672万5400円。

他社比で「最大20%以上」の実効容量、購入時の保証プログラムも開始

 発表会に出席した米HPE ハイブリッドIT事業統括 HPE Nimble事業部 プロダクトマネージメント シニア・ディレクターのアシッシュ・プラカーシュ氏は、NimbleではInfoSightなどによる「予測性」、クラウドライクな購入モデル(Flex Capacity)も含めた「クラウド対応」、将来的な新技術対応を見越した設計による「永続性」、プライマリストレージからバックアップまでをカバーする「フラッシュ統合」といった特徴を持ち、いくつものメリットを顧客に提供できると説明した。

今回発表したNimble新製品がもたらす“価値”

 特に今回強調されたのが、Nimble Storageにおける「業界最高レベルの容量効率」だ。ストレージOSやRAIDパリティデータ、スペア領域などが消費する“オーバーヘッド”容量が他社ストレージ比で少なく、そのぶん多くの容量を本来のデータ保存用に使える。HPEによれば、他社比で「最大20%以上の実効容量」を実現しており、ここに重複排除/圧縮を適用した有効容量ではさらにその差が拡大するという。

 今回のNimble Storage新モデルでは、導入する顧客に対して他社よりも物理容量1TBあたりで多くの有効容量を保証する「Store More Guarantee」プログラムを提供している。もしも実現しない場合には、その差分のストレージを無償提供するというものだ。これにより、顧客は安心してNimbleを購入できるとプラカーシュ氏は説明した。

 またプラカーシュ氏は、将来的なNVMe/SCMの採用について触れ、NVMe対応SCMは「ケタ違い」のパフォーマンスを持つと説明した。従来のNVMe Flashと比較して、10倍以上高速になるという。また、今後SCMの価格下落と普及が進むなかで、現在のNVDIMMを置き換える「キャッシュ(Read/Write)」、メインメモリを置き換える「メタデータ」、そしてSSDそのものを置き換える「ストレージそのもの」へと拡大していくだろうと語った。

HPEにおけるSCM適用ロードマップ。価格低減の進行に合わせて、キャッシュ領域からメタデータ、ストレージ階層へと拡大していく

 「SCMの適用拡大は、(NAND)フラッシュが登場したときと同じように推移していくと見ている。今回のNimbleプラットフォームは、こうした変化にも適応していけるように設計されている」(プラカーシュ氏)

 なお、NVMe/SCM対応コントローラーの提供開始時期について、プラカーシュ氏はSCMやNVMeドライブの市場価格などによるとしながらも、「12~24カ月のうちには提供したい」と述べた。

 また、HPE ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は、フラッシュストレージ市場はすでに“第3の波”を迎えており、そこでは新しい市場価値を提案する必要があると説明。「予測性」「クラウド対応」「永続性」といった価値を提供していくと語った。

 なおHPEでは、Nimbleが提供してきたInfoSightのデータ分析/可視化/予測機能を、そのほかのインフラ製品にも適用していく方針を示しており、すでに1月から「HPE 3PAR」ストレージで提供開始している。この動きをさらに加速させるために、米HPE本社において、製品/組織横断型のInfoSight展開プログラムオフィスが始動したと、本田氏は紹介した。

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