使う前のシーズニングが不要で、洗剤で洗えて、お手入れもいらない、なんともお手軽なSOTOのステンレスダッチオーブン「ST-912」。前回、丸鶏のローストチキンが食べたいからという理由で買ったけれど、もちろんほかの料理も作れるし、家でも使える。
蒸す・焼く・煮る・炒める・揚げるなどの調理ができるので、まさにこれ一台あれば鍋はこと足りる。じゃあ実際使い勝手はどうなんだ。作った料理は美味いのか。今回お伝えしたいのはこの2点。
まずは念願だった鶏の丸焼きを作ったところから。
炭を焚いたローストチキンは文句なしに美味い
材料と作り方はいくつかのサイト参照しつつ、作りやすいようにアレンジした。試したときの材料と手順はこちら。
材料
丸鶏 1kg程度のもの
じゃがいも 2~3個
にんじん 1個
にんにく 3~4かけ
まいたけ 100g
パプリカ(赤・黄) それぞれ4分の1
玉ねぎ 半分
塩 適量
こしょう 適量
ローズマリー 2本
オリーブオイル 適量
竹串
タコ糸
作り方
1.丸鶏全体(お腹の中も含めて)を水でよく洗う。
2.洗った丸鶏に塩/こしょう(お腹の中も)をふり、オリーブオイルを塗ってローズマリーを散らし、冷蔵庫で3~4間寝かせる。
※余裕があるときは一晩寝かせると味がしみ込むらしい
3.じゃがいも、にんじんは一口大に切る。まいたけは食べやすいサイズに割いて、パプリカは縦半分に切る。玉ねぎは大き目のくし切りにする。にんにくはかけらのまま使用。
※使う野菜はお好みで変えてOK。なかにはピラフを入れる人も。
4.丸鶏のお腹に野菜を詰める。余った野菜はのちほど一緒に焼くので、入らないからとあきらめないこと。
5.竹串でお腹の穴を止めてふさぎ、両足をタコ糸で縛る。
6.ダッチオーブンの底網上にアルミホイルを敷き、丸鶏を置く。
7.丸鶏の周りに余った野菜を置く。野菜に軽く塩をふる。
8.ダッチオーブンにフタをして、フタの上には炭を置いて2時間ほど焼いて完成。
完成したローストチキンはジューシーで、すごく柔らかい。テーブルナイフと手でサクサクと割れていく。味付けは塩のみだが、十分。野菜と一緒に食べると甘みと塩気がちょうどよく、これがまた美味い。
家庭用のガスコンロとの相性は悪い
家でこれだけ作れるのだから最高。だけど問題がないわけでもなかった。ひとつはガスコンロの安全装置のおかげで調理時間が予想以上に伸びたこと。
2008年以降に製造されたガスコンロには安全機能が付いており、2口コンロは鍋の温度が約250度以上になると、自動で弱火になる。さらに温度が上昇すると、ガスの供給が絶たれ、火が止まる。
火災防止のための優れた機能なのだが、ダッチオーブンで作るローストチキンと相性が悪く、点火して10分程度で火が止まってしまった。仕方なくもう一方のコンロに移して火を点けなおすとまた止まってしまう。
煮物や蒸し物であれば鍋底に水や調味料が入っているので、その分温度の上昇を抑えられる。だが、鶏や野菜の水分のみで加熱していくローストチキンだと温度を抑える術がない。それどころか重いフタをし、さらに上には炭火を乗せるのだから、コンロは危険を感じてすぐに火を止める。
これでは生焼けになってしまう。せっかく珍しい食材を買ってきたのに、すべてをゴミ箱に入れて泣きながらピザを頼むなんてできない。
しかたなく火に強いステンレスの菜箸を鍋底にかませて、コンロと鍋にすき間を作った。箸の上を華麗に滑ろうとする重たい鍋を必死で固定させ、火を止めることなく2時間以上加熱。もっといい方法はないのかと思ったが、肉を目の前にしていたので賢い方法がまったく出てこなかった。当然だが、鍋底に箸を入れるのは危険なのでおすすめしない。
解決方法としてはダッチオーブンスタンドを使って、鍋底とコンロの間をあけること。アウトドアでも使えるのでひとつは持っておくべきだろう。
もうひとつの問題はフタの上の炭火だ。
ローストチキンの場合、フタ上の炭火は表面に焼き目をつける役割がある。うまくいくとパリッとした食感と、鶏本来の柔らかさ、ジューシーさが楽しめ、より美味しさが増す。今回は家だからと少な目にしたが、そもそも炭を焚くこと自体やるべきではなかった。強烈な炭の匂いが残ってしまったのだ。
毎晩家に帰るとアウトドアっぽいとしか言いようがない香りがして、悲しい気持ちになったので、もし炭火を焚こうと考えているなら覚悟がいる。ちなみに炭を焚くときに換気は必須。鶏ではなく自分が焼けましたというのはシャレにならない。