「Rez Infinite」のフレームタイムで比較
まずは動作が軽快な「Rez Infinite」のパフォーマンスからチェックしよう。画質設定はデフォルトのままに統一。画面描画が凝っている“AreaX”のステージ3で検証する。
これ以降の性能検証はVIVEの開発者向け機能である「フレームタイム」の比較で行なう。90fpsを維持したい場合、1フレームの処理を11ミリ秒以内で完全に終えなくてはならない。1フレームの処理時間が11ミリ秒を超えるとフレームレートの低下に繋がる。つまりVR映像がカクついたり、動きに対する追従性が悪化するのだ。
それではGPUごとにVIVEとVIVE Proの違いを観察していこう。
GTX 1060環境の場合
このグラフはVRゲームにおけるGPUの処理時間(フレームタイム)を示している。右側凡例の“アイドル(淡い緑色)”以外の要素、つまり紫色〜オリーブ色までの領域の一番上が縦軸の“11(ミリ秒)”より下であれば良い。11より下であればあるほどGPUに余裕があり、11ミリ秒を超えてしまえば処理が追いついていないことを意味する。
このRez Infiniteで既に答えが見えているが、VIVEでは長くて8ミリ秒で終わっていた処理が、VIVE Proではおおよそ10ミリ秒、時たま12ミリ秒かかるようになる。解像度が増えたことで、同じGPUでもフレームタイムが長くなるのだ。幸いRez Infiniteは描画負荷が軽いため、GTX 1060でも90fpsをほぼ維持し続けることができる感じだ。
GTX 1070環境の場合
GTX 1060に比べるとフレームタイムが短い。GPUにパワーがあるぶん短時間で処理できるのだ。特にVIVE Proではその傾向が顕著であることがわかる。
GTX 1070 Ti環境の場合
GTX 1080 Ti環境
GTX 1080 Tiの場合VIVE Proにアップグレードすることで、フレームタイムは1.3倍に増加した。液晶の画素数が78%増えた影響は少なからずあるといったところだろう。
「Fallout4 VR」のフレームタイムで比較
直近のVR系ビッグタイトルである「Fallout4 VR」のパフォーマンスからチェックしよう。画質は“TAA+高”設定を使用しているが、GTX 1060には荷が重すぎるので“TAA+中”設定とした。Vault初脱出後のサンクチュアリ・ヒルズにおけるパフォーマンスを比較する。
GTX 1060環境の場合
GTX 1070環境の場合
GTX 1070 Ti環境の場合
GTX 1080 Ti環境の場合
Mod類は全く入れてない状態で検証したが、VIVE Pro環境では要求GPUが1ランク上がると言ってよいだろう。旧VIVEだとGTX 1070で45fps止まり、GTX 1070 Tiだと90fps出せるパフォーマンスが得られるが、VIVE Pro環境ではGTX 1070 Tiのフレームタイムが14ミリ秒をオーバーしてしまうため、45〜56fpsあたりで頭打ちになってしまう。
もちろん戦闘シーンのない状況での計測なので、もっとフレームレートが悪化する可能性もある。 VIVE ProでまともにFallout4 VRを遊びたければ、GTX 1080 Tiへのグレードアップは必須といえるだろう。
「Subnautica」のフレームタイムで比較
最後は普通のPCゲームでもあり、VR対応ゲームでもある「Subnautica」で検証する。画質はGTX 1060のみ設定“中”、それ以外は“高”とした。最初にプレイヤーが出現する脱出ポット近くの海中におけるフレームタイムを比較する。
GTX 1060環境の場合
GTX 1070環境の場合
GTX 1070 Ti環境の場合
GTX 1080 Ti環境の場合
Subnauticaはさらに重く、VIVE&GTX 1070 Tiでもフレームタイムは12ミリ秒以上、GTX 1080 Tiにしてようやく11ミリ秒以内に収まる。そしてVIVE Pro環境ではGTX 1080 Tiであってもかなり重い。重量級VRタイトルとVIVE Proを組み合わせる場合は、GPUパワーを相当盛るか、画質を意図的に下げる必要がありそうだ。
まとめ:個人ユーザーは今年登場の新GPUまで待つとより快適
以上でVIVE Proのファストレビューは終了だ。装着感の向上や取り回しの向上など、VIVE ProはVIVEユーザーから見ると思わず乗り換えたくなる要素が山盛りだ。特にVRゲームをプレイする時間が長いプレイヤーほどそれを感じることだろう。
しかし、液晶の解像度向上がパフォーマンスに与える影響は大きい。解像感は上がっても画質を下げるのは本末転倒のように思える。ビデオカードのアップグレードとセットで考えたいところだ。
しかしながら、今GTX 1080 Tiクラスのビデオカードを使っている人はアップグレードする先がない。GTX 1080Tiの上といえばTITAN Vだが、あまりにも高すぎる。今年登場すると噂されている新世代GeForceを待っても良いのではなかろうか。
ただ、高解像度の映像美は魅力的だ。もちろん、ゲーム側のつくりによっては、劇的な違いは得られないかもしれないが、最近はVR動画もどんどん高解像度化している。FallOut 4 VRなどを最もキレイに見たい!という欲求の強い人ならば、ハイエンドビデオカードとセットでVIVE Proアップグレードキットを購入するのも一興だ。