サイコムとジサトラのアイデアで生まれた巨大ラジエーター採用水冷PC
初のサイコム360mm水冷PC「G-Master Hydro Z370-Extreme」が期間限定販売開始!
2017年12月15日 13時00分更新
2017年はAMDのRyzenを始め、IntelのCore X、そして第8世代コアとなるCoffee Lakeと、4コアを超える多コアCPUが多数登場した年。多コア化されると発熱しやすくなるというのが通常なのだが、6コアのCore i7-8700K(Coffee Lake)は、4コアのCore i7-7700K(Kaby Lake)と比べてTDPはたったの4Wしか増えていない。
実はCofee Lakeのプロセスルールは、Kaby Lakeの「14nm+」よりも改良された「14nm++」が採用されている。これにより電力効率が改善され、同じ動作クロックであればより少ない消費電力、そしてより少ない発熱での動作が可能となるわけだ。さすがにコア数が4から6に増えたためベースクロックは下がってしまっているが、それでもコア数×動作クロックの単純計算で比較すると、性能は1.3倍以上も向上していることになる。
もうひとつ注目したいのが、ベースクロックは下がってしまっているものの、ターボブースト時のクロックは逆に上昇しているという点だ。これは常時高クロックで動作させることは難しくても、冷却能力に余裕があれば、従来よりも高クロックで動作するということに他ならない。つまり、オーバークロック耐性が高くなっているのではないか、と期待できるのだ。
オーバークロック前提なら
大型ラジエーターの水冷クーラーが使いたい!
多コアCPUでも意外とオーバークロックができそうとなれば、見逃さないのが「アスキーのPC自作大好き集団、自作虎の巻こと“ジサトラ”」。そのメンバーであり、ボスでもあるカクッチはCore XシリーズとなるCore i7-7820Xを殻割りし、さらに420mmの巨大ラジエーター水冷クーラーを個人輸入してまでオーバークロックしているという強者だけに、「オーバークロック耐性が高そう」となれば気になってしょうがなかったそうだ。
とはいえ、巨大ラジエーターの水冷クーラーはサイズが大きいだけに取り回しがしづらく、しかも取り付けられるケースが限られるといった問題がある。自作好きならこの苦労も楽しみのひとつになるかもしれないが、気軽にオーバークロックをチャレンジしてみたいという人にはとんでもなく高いハードルとなってしまうのだ。
では、BTOパソコンで最初から巨大ラジエーターの水冷クーラーを搭載したPCを選べばいいじゃないかとなるのだが、これがまったくと言っていいほど売っていない。BTOオプションで水冷クーラーがあっても、せいぜいファンを2つ搭載している240mmクラスのものだけで、それすら数が少ないというのが実情だ。360mm以上となれば皆無といっていいだろう。
サイコムとのコラボで爆誕
360mmラジエーターの水冷クーラー搭載の特別仕様モデル
ないのであれば、特別に作ってくれるようなところはないか……と考えたところで思い当たったのがサイコムだ。水冷クーラーを得意とする同社は、CPUクーラーに240mmクラスのラジエーターを選べる数少ないBTOパソコンメーカーであり、そしてCPUだけでなくグラボまで水冷化も行ったデュアル水冷PCを扱う稀有な存在だ。
ジサトラのカクッチが無理を承知で頼んでみたところ、サイコムの山田氏はあっけないほど気軽に請け負ってくれたというのだから頼もしい。ただし、360mmのラジエーターを使った水冷クーラーはサイコム内にもないため、別途仕入れる必要があるとのこと。厚意に甘え、是非にとお願いしていたところ、しばらくすると試作してみたとの連絡が。これが、今回紹介するコラボモデル「G-Master Hydro Z370-Extreme」が誕生した経緯だ。
まだまだ詳細は続きますが期間限定販売のため、気の早い方は販売ページへ!
→ G-Master Hydro Z370-Extremeの製品ページ
世界的に有名なオーバークロッカーNick Shih氏による設定でOCを検証
カクッチの要望は360mmラジエーターの水冷クーラーでオーバークロックを楽しみたいというものだった。この要望に対して山田氏からあったのが、マザーボードにASRockの「Z370 Taichi」を採用するのはどうかという提案だ。なぜこのマザーボードなのかといえば、実は近日、同マザーボードを標準搭載したオーバークロックモデルをサイコムから発売するため、ASRock所属のオーバークロッカー、Nick Shih氏にプロファイルの作成を依頼している最中だという。このプロファイルを使って、Extremeモデルでもオーバークロック性能を検証してみるといいのではないかという申し出があったのだ。
※※あくまで検証用でOCプロファイルは当製品の出荷時に適用されません。
さすがに個人の設定ではNick Shih氏のOC性能は引き出せないかもしれないが、このExtremeモデルのポテンシャルを測るには願ってもない提案だった。
さすがにオーバークロック設定は検証中ということで、山田氏が特別仕様PCを持参してきてくれた日には間に合わなかったのだが、後日、メールで設定ファイルを受け取ることができた。このオーバークロックの効果は、後ほど検証していこう。