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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第189回

Androidの父、アンディ・ルービン氏がEssentialを休職、グーグル時代の“不適切な関係”が浮上

2017年12月06日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII編集部

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 Androidの父とも呼ばれるAndy Rubin氏が、「個人的な理由」から、自身が率いるEssential Productsを1ヵ月休職するという。端末ローンチも無事にこぎつけ、ハイエンドスマートフォンとしてこれから拡大を図るというところでのこの休職だ。「個人的な理由」とは何か? Essentialにどのような影響があるのだろうか。

Google時代、2012年のMWCでのAndy Rubin氏

Androidの絶頂期にグーグルを離れたRubin氏

 Rubin氏がGoogleを退職したのは2014年秋のことだ。辞めるタイミングや退職時のGoogleの対応から(大きなリリースなどはなし)、社内で何かもめたのかなと勝手に推測していた。

 詳しい人はすでにご存じだろうが、Rubin氏は2005年にGoogleに入社(自身も創業者の1人だったDange社でSidekickというモバイル端末を開発後、Android社を創業。そのAndroidをGoogleが買収した)。Androidの開発をリードしていた。

 Androidは短期間にiOSに対抗するOSとなり、今やそのシェアは8割を誇るまでになっている。この功績を考えると、Rubin氏がなぜ絶頂期の2013年にAndroidから社内の別のプロジェクトに移ったのか、当時は首を傾げてしまった。

 その際にLarry Page氏(当時のGoogle CEO、現在AlphabetのCEO)はブログで「AndyはGoogleで新しい章を始めることにした。Andy、ムーンショットを頼むよ!」と述べたが、正直説得力に欠けた。Androidを引き継いだSundar Pichai氏はGoogleがAlphabetを作る際にGoogleのCEOとなったので、Page氏と共同創業者のSergey Brin氏のよほどのお気に入りなのだろう。

 ちなみにモバイル業界の最大のイベントである、Mobile World CongressでRubin氏がメインのステージに立ったことはなかった。Androidが優勢になり始めた頃はGoogleのEric Schmidt氏が、そして2015年にはPichai氏がステージに立っている。

ロボット事業では1年未満でGoogleを去る

 Rubin氏はその後、Googleでロボット事業に携わることになるが、それから1年もしないうちにGoogleを去った。Rubin氏は以前からロボット好きで、自身に”Android”というニックネームが付けられ、それを製品名にしたというエピソードもある。GoogleでRubin氏は、日本のSCHAFTを始め、Boston Dynamicsなど、1ヵ月に7社のロボット企業を買収するなど、テコ入れを図っていることが伺えた。

 しかし、Rubin氏が辞めたあと、Googleのロボット事業は失速が明らかに。前述のSCHAFT、Boston Dynamicsともに今はソフトバンクグループのもとにある。

 そして、Essential Productsがざわざわと話題になりだしたのはそれからのことだ。

 「選択肢が少なくなり、不要な機能が増えて、生活を混乱させる。お互いが連携しない製品がどんどん増えていく」とRubin氏は現在の問題を描写したあと、「この責任の一部が自分にあると気がついた」と、Essentialをスタートした理由を説明している。なお、Essentaialは”不可欠”を意味する。

 Essentialの最初の端末(「Essential PH-1」)は9月初めに米国で発売された。7月の段階で、米国ローンチの後に欧州でもリリースする予定としており、Essential Productsの公式サイトは英語のほか、ドイツ語、フランス語、中国語、日本語に対応しており、日本で発売を計画していた節もある。

発売されてすぐに200ドル値下げされた「Essential Phone」

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