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音声検索は SEO の未来をどう変えるのか?

2017年11月30日 12時57分更新

記事提供:SEMリサーチ

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Google Home や Amazon Echo の発売にあわせて、音声検索についての見解や意見を求められる機会も増えてきましたので、簡単にまとめたいと思います。

検索数は増加している

KPCBなどが調査データを公表していますが、Google の検索数は年々増加しています。Google は公式に検索数を公表していませんが、一部プレス向けに伝えた情報に基づくと、2012年の検索数が年間少なくとも 1.2兆(同社一部プレス向け発表、2012)、2016年時点で少なくとも 2兆(Search Engine Land, 2016)を超える検索回数です。音声検索の実用度が増してくると、ちょっとしたことを知りたい検索も増えるので、今後も検索は増える見込みです。一部のメディアなどで「Google は使わない」「Twitter や Facebook で十分」といった声が報道されることもありますが、Google (検索サービス)自体の検索も増えています。

確かに Instagram や Twitter、Facebook など特定の用途において人気を集めるサービスが、従来検索が担っていた役割を代替するようになってきたことは事実なのですが、一般検索自体の需要とは直接関係ないお話です。


2020年に検索の約半数は音声検索になる?

音声検索の市場予測について、2020年に検索の約半数が音声に(comScore, 2017)や、同じく2020年に検索の半数が画像(写真)と音声検索(Baidu, 2014)といった予測や見解が公表されています。この結果について今夏、北米に出張していたときに何人かの検索の専門家や事業会社の人たちを会話をしたのですが、「さすがにそこまで増えないだろう」という見方をしている人が少なくありませんでした。一方で、音声検索を活用したビジネスの可能性について真剣に考え始めているのは皆共通しているところでした。

私はいろいろな世代の人たちの、さまざまな場面での検索の様子を見ているのですが、「会話による情報アクセスはもっとも直観的で誰もが扱いやすい方法である」という点で音声検索は徐々に増加していくと見ています。現状の課題は、日本語のスマートスピーカーは「機械のために特別に配慮して会話をしなければならない」のが面倒なところでしょう。つまり精度がまだ改善の余地があります。

英語が話せる方は是非お手元のスマホを英語(US)設定にして試してほしいのですが、英語版はかなり精度がよく、適当に(誰かに話しかける感覚で)話してもきちんと認識してくれます。もちろん英語でも変な回答もあるのですが、日本語版よりは日常的に使いやすいと感じますし、私も海外滞在中は普通に音声を使います。


SEO は無駄になるのか?何が影響を受けるのか?

人々の検索の方法や使い方が変わるのですから、その行動変化にあわせた検索マーケティングの戦略や方針は変える必要があります。音声による情報アクセスは、ディスプレイとテキスト入力による情報アクセスとは大きくその方法が異なることでしょう。

たとえば、あるエリアのおすすめの飲食店を知りたいときに、現在は画面に一覧を表示させながらお店を選ぶ方法ですが、音声で飲食店を10件読み上げられても私たちは記憶できません。音声でお店を選んでもらうならば、AI と対話しながら条件が絞り込まれていくことになるかもしれません。このように検索の方法が変わってきたら、SEO のユーザーエクスペリエンス面での取り組み方は変わってきますね。

音声による対話(検索)は、テキスト入力による検索とはクエリが大きく異なる可能性があります。単純に自然文と単語入力の違いだけでなく、尋ねる事柄自体も変わるということです。たとえばスマホ検索の増加によって、現在地と関連する検索が増えましたが、音声の検索も同様に検索する時と場面が変われば尋ねる事柄やその方法も変わると考えられるからです。このあたりは、スマートスピーカー用のアプリを開発してデータを集めておきたいところ。

一方で、テクニカル面においては、影響はさほどないと考えています。つまり良質なコンテンツの取り組みや検索エンジンフレンドリーなベストプラクティスは(Google のプラットフォームの進化にあわせた変化はあっても)普遍的なものであり、音声検索云々の話とは直接関係がないと考えます。


日本人は音声検索を使わない?

過去に存在しなかった新しい商品やサービスは、懐疑的に受け取られるものです。過去に経験したことがないものは、実際に体験しないと本質は理解できないからです。私が SEO のビジネスを始めたころ(1997~2000年)、検索エンジンによる集客の重要性を理解してくれた人は 5% もいませんでした。むしろ変人扱いされたくらいです。でも今はどうでしょうか。マーケティングの過去の事例を紐解けば、いまは広く普及した温水洗浄便座やカーナビなども当初は懐疑的だったのです。

欧米でも、あらゆる場面で音声が使われているわけではなく、ある特定のタスク(友達に電話をかける、アラームを設定する など)での利用が多いのが実情です。まだ私たちの生活環境で、音声で操作をするもので満ち溢れているわけではないのだから当然でしょう。もっと身の回りで、接触する、利用できる機会が増えてくると、利用が広がるかもしれません。

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