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ユーザーが数クリックでカスタムAIアプリを作成、パーソナライズも促進

セールスフォース、新しいAI機能群「myEinstein」を紹介

2017年11月13日 08時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 米セールスフォース・ドットコムが開催したプライベートイベント「Dreamforce 2017」で注目を集めたのが「myEinstein」だ。昨年のDreamforce開催直前に発表されたCRM向け人工知能「Einstein」を進化させるとともに、数回のクリックでカスタムAIアプリケーションを作成でき、さらにパーソナライズ化したアプリ開発を促進できるものと位置づけている。

今回のDreamforceで発表された「myEinstein(マイアインシュタイン)」

 IBMとの提携で「Watson」の活用などにも乗り出していたセールスフォースのAI戦略が、myEinsteinへの進化によって新たな一歩を踏み出したことになる。より多くのユーザーが、カスタマイズしたアプリ環境でもAIを利用できるようにしたことが見逃せない。

Einsteinに16の新機能を発表、重要な2つの機能について説明

 Dreamforce 2017の会期2日目、「Blaze New Trails with AI」をテーマに講演したセールスフォース Einstein担当 GMのジョン・ボール氏は「第4次産業革命の時代を迎え、その中心にあるのがAIだ」と述べたうえで、Einsteinの特徴とこの1年間の取り組みを次のように説明した。

 「Einsteinは、CRM用のAIを一から作らずとも先進的なアルゴリズムが簡単に活用でき、予測したり、予防したりできるようになるのが特徴だ。発表からわずか1年で20ものAI機能を提供し、40言語に対応した。毎日5000万以上の予測を行っており、さまざまな規模の企業に成功をもたらしてきた。企業は、AIによって、より顧客にフォーカスできる時代が訪れている」(ボール氏)

 今回のDreamforce 2017では、Einsteinに関して新たに16の機能(一部はパイロット版)が発表された。ボール氏は、今後もEinsteinに対する投資を続け、さまざまなクラウドで利用できるようにすると説明した。

発表されたEinsteinの新機能群

 「SalesCloudやServiceCloudで提供していたカスタマイズ機能がEinsteinにはないという不満があった。セールスフォースでは、カスタムオブジェクト上にあるレコードが全体の80%以上を占める。新たにメタデータ指向のプラットフォームを構築することで、Einsteinによってこれらの環境をさらに高度化できる。しかも、世界的に人材が不足しているデータサイエンティストがいなくても、あるいはデータサイエンティストの資格を持っていなくても、よりよい予測ができ、ワークフローを改善して課題を解決できるようになる。そして、これはあらゆる業種において利用が可能になる。これが『myEinstein』だ」(ボール氏)

「セールスフォースの顧客はカスタマイズが大好き」。80%以上のレコードがカスタムオブジェクト上にある

 16個の新機能のうち、myEinsteinでは2つの機能が重要な役割を果たすという。

 ひとつは、SalesforceのフィールドまたはオブジェクトにカスタムAIモデルを作成して、顧客の解約の可能性やアカウントの価値などに関するビジネス結果を予測できる「Einstein Prediction Builder」。そしてもうひとつは、自然言語処理技術により、質問への回答や情報検索などのタスクを自動化することにより、顧客サービスのワークフローを強化できる「Einstein Bots」である。

 Einstein Prediction Builderでは、たとえば金融サービス会社の管理者が、当座預金口座や履歴にリンクしているアカウントを個別に分析し、どの顧客が解約する可能性が最も高いのかを予測、解約を事前に防ぐことができるようになるという。この予測モデルを構築するためには、まず設定ツールを用いてモデルを構築するフィールド、使用するデータを選択し、これをもとに抽出した結果を自動的に通知するという手順だけだ。

 基調講演で、自ら希望してデモンストレーションに登壇したのは会場で聴講していた女性だった。彼女は「データサイエンティストの知識は持っていない」と語ったが、わずか4回のクリックだけで、myEinsteinを実装してみせた。

 またEinstein Botsも、わずか数回のクリックだけでカスタマイズされたサービスボットを構築でき、その後もトレーニングおよび展開することで進化させることができるのが特徴だ。過去のサービス履歴データや蓄積したCRMデータを使ってトレーニングすることで、一般的な問い合わせに対し、自然言語処理による正確な対話ができるという。これにより、カスタマセンターの人員は、単純な問い合わせではなく、より複雑で専門的な知識が求められる問い合わせに集中することができるようになる。

 「Einstein Botsは、継続的なトレーニングを行うことで改善され、より正確で関連性の高い情報を提供できるようになる」(ボール氏)

 具体的なユースケースとしてボール氏は、eコマース企業における注文/配送状況の追跡、紛失したパスワードのリセット、返品の受付といった業務を、Einstein Botsで自動化できることを挙げた。

 また基調講演では、先行導入顧客として大手スポーツ用品メーカーのアディダスが紹介された。アディダスでは、シューズの購入手続きを行ったユーザーが、その後、シューズの色を変えたいと思った場合に、Einstein Botsとの対話によって色の変更手続きを終えられるというデモンストレーションが披露された。

 「一般的な顧客の問い合わせに、迅速かつ正確に対応し、日常的な問題を解決することが可能だ。Salesforceでできることは、Einstein Botsでもできるといえる。いまは英語だけの対応だが、今後は、多くの言語にも対応する」(ボール氏)

myEinstein、正式版の提供は2018年夏ごろを予定

 myEinsteinでは、そのほかにもいくつかの新機能が追加されている。

 顧客の感情や態度などを認識する「Einstein Language」では、顧客の問い合わせの根底にある「意図」を分類する「Einstein Language for Intent」によって、たとえばマーケティングキャンペーンのパーソナライズなどができるという。

 また画像認識技術を提供する「Einstein Vision」は、複数のオブジェクトが認識できるようになり、小売店舗などにおける棚割り業務などで、より効果的な陳列提案が可能になるという。

 「Einstein Discovery」は、データに基づいて潜在的な洞察を得られるもので、ボール氏は「洞察に関する時間を短縮でき、データサイエンティストとしての専門知識を持たない場合にも最大の効果を発揮する」と説明した。

 myEinsteinが提供する主要機能の多くは、現時点ではパイロット版であり、正式版の提供は2018年夏ごろを予定しているという。セールスフォース Einstein担当プロダクトマーケティングディレクターのアリー・ウィザースプーン氏は、「myEinsteinによって、すべてのスキルレベルの管理者が、クリックだけでAIを構築して展開することができる。これからの期間、多くの利用者のフィードバックを反映し、改善を加えることで、2018年夏の正式版提供を目指す」としている。

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