前回のAMD CPUロードマップはThreadRipperその他の出荷前ということもあり、いろいろな推測を書いたが、その後さまざまな製品が実際に出荷されるとともに、先日AMDがRyzen Mobileの詳細を発表したので、このあたりの情報をまとめて紹介することにしたい。
ローエンドのRyzen 3と
ハイエンドのThreadripperを投入
まず7月27日、RyzenのローエンドであるRyzen 3の2製品が発表された。価格は2万を切るお手ごろなもので、先のレポートにあるようにCPU性能は良好なものの、GPUを内蔵しない点がハンデと評価されたのは、競合と比較すれば当然とは言える。
次いで8月10日、Ryzen Threadripperが発売された。当初こそ「Threadripper 1950X」が15万円弱、「同1920X」は12万円弱(どちらも税抜)くらいの価格だったのが、同月23日に突如価格改定が行われ、それぞれ13万弱、10万強とだいぶお値打ち度が改善された。
初期の価格で購入したユーザーには、クオカードで損失補填がされるといった、ややグダグダな感じはあるものの、一応これで不公平感も改善されたことになる。
また9月1日には8コア/16スレッドの「Ryzen ThreadRipper 1900X」が税込7万円台と、かなりお手ごろな価格で投入された。この3製品に続くラインナップは今のところ予定されていないという話で、少なくとも今年中はラインナップが増えたりはしない模様だ。
Ryzen Mobileが延期したため
1年前のAPUを自作市場に投入
9月1日には、もうチャネル向け販売はあきらめたのかと思われたBristol Ridgeベースの「A12-9800E」と「A10-9700E」が発売された。OEM向けの提供開始から実に1年が経過している。
普通に考えれば1年前の製品が今ごろ流通してもどうしようもない、というべきところなのだが、AMDに関してはRyzen Mobileベース製品がまだ流通していないため、Kaveri/Godavari(2014/2015年発売)しかGPU統合製品がなく、それもあってむしろ新鮮に思えてしまうという、なかなかに斬新な状況になっている。
残念ながら発売されているのはTDP 35Wの「A12-9800E」と「A10-9700E」のみで、TDP 65Wの「A12-9800」や「A10-9700」は流通していない。もっともこれは日本だけの問題かもしれない。というのは米国のAmazonでは「A12-9800」が普通に購入できるからで、これがいかなる理由によるものかは判断できない。

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ

