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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第421回

イベントで見せた隠し玉はRadeon RX Vega Nanoか? AMD GPUロードマップ

2017年08月21日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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2016年~2017年のAMD GPUのロードマップ

GPU管理ツール「Wattman」を改良

 さて、ちょうど消費電力プロファイルの話が出たので、このあたりの話を補足しておく。Radeon Software Crimson Relive EditionはVegaの世代で、GPU管理ツール「Wattman」の機能が大幅に拡充された。

幅に拡充された「Wattman」。以前のWattmanは、Radeon Chillの設定を行なえるだけだった

 この画面でわかるように、Performance ProfileとしてPowerSave/Balanaced/TurboとCustomの4つの設定項目が出現している。このうちCustomは自分で性能を調整できるというものなのでおいておき、PowerSave/Balanced/Turboについては、下の画像のように設定が変更できる。

VBIOSがプライマリーかセカンダリーかでも動作周波数の設定が変わるのがおもしろい

 Balancedが言わば定格であり、Radeon RX Vega 64なら295W、Liquid Cooled Editionならば345Wがこれに当たる。PowerSaveは、消費電力を63~75%に抑えるように動作周波数を制御し、消費電力を随時チェックして、これを超えそうなら動作周波数を下げるという仕組みだ。

 逆にTurboでは最大115%まで許容するので、長時間最大動作周波数で動き続けることになる。では、各々の場合で消費電力がどうなるかを試算したのが下表である。

Wattmanの設定による消費電力の違い
    PowerSave Balanced Turbo
Radeon RX Vega 64 Primary 221W 295W 339W
Secondary 201W 266W 310W
Liquid Cooled Edition Primary 259W 345W 397W
Secondary 217W 286W 335W

 なるほどRadeon RX Vega 64で補助電源が8ピン×2になっている理由がわかろうというものである。この構成では理論上は375Wまで供給を受けられることになるが、Radeon RX Vega 64ですらTurboだと300Wを超えるため、8ピン+6ピンでは不足することになる。ましてやLiquid Cooled Editionでは最大で400W近くになるため、相当電源を選ぶことになる。

 筆者もRadeon RX Vega 64のベンチに際し、当初500Wの電源を用意したら普通にOSのインストールはできたのに、3DMarkのIceStormでいきなりシステムダウンに見舞われた。

 計算上は500Wで間に合う(12V系は合計で34Aの供給が可能な電源を利用)はずだったが、実際には足りなかったようで、1000W電源に切り替えてやっと無事に動くようになった。

 ちなみにAMDは性能/消費電力比について、150W動作ではGeForce GTX 1080と同等としており、逆に220Wだとやや劣るとする。220Wというのは、先の表で判る通りRadeon RX Vega 64をPrimaryのPowerSaveモードで利用した場合であり、150W動作はおそらくRadeon RX Vega 56でないと実現できないだろう。

性能/消費電力比。テスト項目が3DMarkのPerlin Noiseというあたり、なんでこんな選択にしたのか理解に苦しむ部分ではある

 もちろんここまで絞ると性能は当然下がるわけで、間接的にではあるがAMD自身もRadeon RX Vegaの消費電力がかなり大きいことを認めた形になる。筆者がテストした限りでは、Radeon RX Vega 64はGeForce GTX 1080と比較して100W増し、Radeon RX Vega 56は30W増しといった結果になっている。

 残念ながら今年中に発売されるVega 10コアベースの製品に関しては、この消費電力の多さはどうにもならないだろう。ただ来年登場するVega 11ベースの製品は、14nm+に切り替わると思うので、この世代である程度改善されることは期待できるとは思う。

 おそらく10月か11月、それこそRadeon RX Vega Nano(仮称)が出た後で、AMDも次期製品としてVega 11ベースのリファレンスカードをOEMに供給し始めると思われる。この頃には、もう少し詳細な情報が出てくるであろう。

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