サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。
本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第14回では、他のアプリで登録した情報を参照して自動入力する。
アプリ間のデータ連携機能で混乱を防ぐ
kintoneで業務システムを作る際、ありとあらゆる情報ひとつのアプリに集約させるのは避けた方がいい。たとえば、「顧客情報管理」というアプリに、企業名や住所、電話、担当者を始め、入金サイクルや銀行口座情報、営業案件管理、問い合わせ管理などすべてのフォームを用意したりすると、訳がわからなくなってしまう。そもそも入力の手間がかかるし、誤操作の可能性も高くなる。担当者が見る必要のない情報を目にしてしまうことにもなりかねない。
アプリは基本的に、目的ごとに切り分けて作成した方がいい。とは言え、複数のアプリで利用する共通のデータを毎回入力するのは面倒だ。そもそもミスも発生しかねない。たとえば、住宅を建てる建築会社の場合、最初の契約は夫名義なのに、設計案件管理では妻名義になったりすると、別の顧客として認識されてしまうことがある。そうすると、フォローも入金管理もぐちゃぐちゃになってしまう。
そこで活躍してくれるのが、アプリ間のデータ連携機能だ。今回は、「ルックアップ」という機能を利用してデータを参照する方法を紹介する。まずは、「顧客情報」というアプリに顧客データをまとめてあるとする。そこに、「アフターフォロー管理」というアプリを入れて、定期的にフォローするようにしたい。当然、「アフターフォロー管理」アプリには顧客情報を入れるが、これを「顧客情報」アプリと連携させてみよう。
フォームの設定画面で、「ルックアップ」をドラッグ&ドロップで配置。設定画面を開き、フィールド名や必須項目の有無などを設置する。次に、「関連づけるアプリ」に「顧客情報」を選択し、「コピー元のフィールドに「会社名」を選択。「保存」をクリックしてアプリを更新したら、入力画面を開いてみよう。
入力フォームの隣にある「取得」ボタンを押すと、会社名の一覧が表示され、「選択」をクリックすると自動的に入力できる。登録したデータはクリック可能になっており、クリックすると「顧客情報」の該当ページが表示される。
企業名を指定しても、連絡先や担当者名を入力するのが面倒! というのであれば、これらのデータもまとめてコピーできる。それぞれでルックアップを利用するのではなく、企業名を参照する設定の中でまとめて指定するのだ。
もう一度「顧客名」フィールドの設定画面を開き、「ほかのフィールドのコピー」のプルダウンメニューから担当者やメールアドレスなども一緒にコピーするように設定しよう。
企業名を選択する際、数十件程度なら目視で選べるが、数百数千という顧客がある場合は手間がかかる。何らかの条件で絞り込めるなら、あらかじめリストアップする項目を減らすことができる。たとえば、いくつかの製品を扱っている場合、製品Aを購入した顧客だけをリストアップできるようになるのだ。
まずは「顧客名」フィールドの設定画面を開き、「絞り込みの初期設定」をクリックし、「顧客情報」アプリ内の「利用製品」を指定する。次に条件として、「次のいずれかを含む」もしくは「次のいずれかを含まない」を選び、製品を指定すればいい。これでアプリを更新すれば、製品Aを購入した会社しか一覧に表示されなくなる。
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