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ディープラーニングで与信審査の精度向上、言語処理技術で取引明細データの活用

ネットプロテクションズとキヤノンITS、フィンテックで実証実験

2017年07月19日 10時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ECサイト向けの後払い型決済サービス「NP後払い」などを提供するネットプロテクションズとキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は7月19日、フィンテック領域における協業を発表した。ネットプロテクションズが保有する過去の取引データを活用し、ディープラーニングによる与信審査の精度向上、言語処理技術による取引明細のデータクレンジングなどの実証実験を行い、すでに一定の実績を得られたとしている。

 ネットプロテクションズでは、2002年から未回収リスク保証型の後払い型決済サービス「NP後払い」を提供してきた。これはECサイトなどにおいて、購入者が商品を受け取った後に、ネットプロテクションズから届く請求書を使ってコンビニや銀行などで代金を支払う決済サービス。ECショップ(加盟店)にはネットプロテクションズが立替払いを行う。購入者側には商品確認後に代金を支払えるメリットがあり、ECショップ(加盟店)側では代金未回収リスクなしで売上向上が期待できるメリットがある。現在、同サービスの月間利用ユーザー数は300万人(累計1億人)、また導入店舗数は2万3000店に及ぶという。

ネットプロテクションズが提供する「NP後払い」サービスの概要

 この仕組みを実現するうえでは、加盟店に代わって代金未回収リスクを請け負うネットプロテクションズで与信審査の精度を向上させ、いかに「貸し倒れ取引」を減らすかが鍵を握る。同社ではこれまで、機械学習技術を活用した独自の与信審査ロジックを利用し、過去の取引実績などからその判別を行ってきた。

 今回の実証実験ではまず、キヤノンITSのR&Dセンサー先進技術開発部が独自開発した「AI開発基盤」環境を用い、ディープラーニング技術を活用した新しい“与信審査AI”の開発と検証を両社共同で行った。ネットプロテクションズが保有する過去の取引実績情報の一部(約100万件)を用いてAIの学習と比較テストを行った結果、貸し倒れ取引の見逃し確率を従来比でおよそ「5分の1」に減らし、教師データ(この場合、問題のある取引)件数の少ない条件下でも精度の向上が確認できたという。

キヤノンITSが提供した「AI開発基盤」の概要

 両社ではさらに、大量の取引明細データにキヤノンITSの言語処理技術を適用し、業務活用可能にするための実証実験も行った。

 ネットプロテクションズでは、これまで同社決済サービスを利用して購入された商品名などのデータを大量に保有している。ただし、この商品名は加盟店が自由記述で入力するテキストデータでばらつきがあり、また商品名以外のレコード(送料、手数料など)も混在していることから、そのまま各購入者の購入傾向分析などに使うことは困難だった。

 今回は、この取引明細データ(約800万件)に教師データなしのデータクレンジング処理を行い、不要レコードを除去するとともに、商品名の推定/抽出を実施。そのうえで各購入者の商品購入傾向を把握し、購入パターンの類似する購入者間での類似度を分析した。その結果、購入パターンの類似する購入者に対し、商品を推薦(レコメンド)できる可能性が見いだされたとしている。

今回の実証実験で行ったデータクレンジング処理(一部)の概要

 両社では、今回行った2つの実証実験によって得られた知見を活用し、実システムへの実装も検討しながら、ネットプロテクションズのコア事業である後払い型決裁サービスの深化、および新たな事業への展開を模索していくとしている。

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