製薬会社がビジネスプランコンテストを開催する理由とは?
提供: MSD株式会社
健康医療業界では近年、ヘルスケアをキーワードにしたスタートアップとのつながりがより密接、強固になっています。それは世界的な形で、外部と連携したオープンイノベーションとしてヘルスケア業界でより意識されるようになってきています。
そのような中、製薬会社MSD株式会社は、日本の糖尿病領域における医療課題を解決するビジネスプランを募集するコンテスト「Diabetes Innovation Challenge(ダイアビーティスイノベーションチャレンジ)」(募集期間2017年5月30日~8月31日)を開催し、アイデアを募集しています。
医療や製薬の専門ではない
スタートアップ企業を募集する理由とは
製薬メーカーであるMSDが医療や製薬の専門ではないスタートアップ企業を募集するコンテストを開催することを珍しく思う方もいるかもしれませんが、製薬会社がスタートアップ企業と連携し、新たなビジネスを模索する動きは世界中で始まっています。その要因には、製薬業界を取り巻く環境変化があげられます。
これまで製薬会社のビジネスの基盤となってきたのは新薬開発でした。ところが、特許期間が切れると独自開発した薬剤のジェネリック薬品が登場しますし、新薬開発にかかるコストは年々大きくなっているのが現状です。そのため、大学発の研究やスタートアップ、さらには医療とかかわりがなかったさまざまな産業との交わり、新たなビジネス展開が期待されています。
IoTやAI、新たな技術をどのように既存の医療などに活用できるかがカギとなっており、実際に製薬会社とIT業界が連携する事例では、大手IT企業が製薬企業と提携し、通常とは異なる方法で血糖値測定を行うデバイスを開発していると発表なども出ています。
求めるのは、医療とはまったく異なる
目的で作っていたアイデアや技術
今回MSDが募集しているプランは、糖尿病領域における、「健康診断等の受診率の向上」、「糖尿病が疑われている人の医療機関受診率の向上」、「糖尿病薬の服薬アドヒアランス(服薬遵守)不良の改善」の3つです。
これらは言い換えれば、「健康診断を受けるようにする」、「病院で診察を受けるようにする」、「薬の飲み忘れを防ぐ」という内容となっており、医療知識がないスタートアップ企業であっても、持っている発想、ノウハウ、技術を使えば課題解決提案ができる可能性があります。また、製薬会社主催のコンテストと聞くと、医療知識を有する企業を募集するコンテストと思われがちですが、今回のコンテストでは医療従事者以外が対象となっております。
これまで医療とは関係のなかったテクノロジーを活用することで医療改善につながった例としては、ゲーミフィケーションを治療に活用した例があります。薬を正しく飲む習慣をつけるために、ゲームプレイにおける習慣化を利用し、患者の服薬に対する精神的負担の軽減につながりました。
特に、糖尿病は生活習慣病であり、自覚がないまま進行してしまうケースが多く、糖尿病と診断された後でも、定期的に薬を飲むことを忘れたりやめたりすることによって症状が進行してしまうケースへの解決策が求められています。
「医療とテクノロジーはこの先どんどん近くなります」
「Diabetes Innovation Challenge(ダイアビーティスイノベーションチャレンジ)」を主催するMSD株式会社の担当者からのメッセージ
――「Diabetes Innovation Challenge(ダイアビーティスイノベーションチャレンジ)」の実施理由と、どのようなベンチャー・スタートアップとのタッグを考えているか教えてください。
「糖尿病薬は当社の主力製品です。糖尿病薬の価値を最大化することに取り組むべきと考えています。世界的に見た既存の取り組みは専門性が高いものが多いですが、今回のコンテストではもっと幅広い内容を目指しています。たとえば、最近はボイステクノロジーを搭載したスマートスピーカーが話題になっていますが、家庭にスマートスピーカーを置いて、糖尿病に関する生活習慣をチェックしてもらうといった使い方もできるかもしれません。医療業界だけでは考えつかなかった発想に触れる機会になると考えています」(久保田)
――テーマに「日本の糖尿病領域」と明記されていますが、日本発がターゲットである理由を教えてください。
「改善できるテクノロジーを提供することができれば、社会的な意義も大きいと思います。糖尿病の病態は、人種や民族によって多少異なる場合があります。そのため、日本発で糖尿病を改善するテクノロジーを見つけ出すことは、日本人にとって大きな意義があることだと思います」(チェン)
――今回のビジネスプランは、糖尿病以外での応用も想定していますか?
「製薬会社が主催するコンテストと聞いて、関係ないと思われているスタートアップ企業の方が多いと思います。今回募集しているプランは糖尿病に関するものですが、課題自体は医療全般の問題でもあるので糖尿病以外での応用も十分考えられます。また、元々は糖尿病を対象としたものではない、医療とはまったく異なる目的に作っていたアイデアや技術であっても、今回のコンテストに向いたものがある可能性があります。完成品だけでなく、アイデア段階のものでもかまいません」(チェン)
――企業間でのオープンイノベーションという観点では、スタートアップ企業を対象としたアクセラレータープログラムなどが盛んになっています。MSDとしてのベンチャーとの関わり方について教えてください。
「まだ手探りの部分もあります。米国本社(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.)ではすでに同様のコンテストを開催しているのですが、日本でプランを公募するのは未開拓です。昨年、公募ではなく、ソーシングによって日本でもスタートアップ企業との連携を模索しました。しかし、今回は幅広く、我々の取り組みを知ってもらうために、公募としました。医療分野とテクノロジーについては、『へルステック』という言葉が広く使われるようになっていることからわかるように、今後、より近い関係となっていくと思います。AIやIoTなど、今後、医療分野とテクノロジーの連携は欠かせないものとなるでしょう。それを踏まえ、今回、公募によってオープンイノベーションによる新しい世界を創造したいと考えています」(久保田)
事前説明会を都内で7月22日(土)に開催
今回のコンテストの審査には、MSD社員だけでなく、糖尿病専門医、ベンチャーキャピタル(VC)も参加します。応募されたアイデアの中から優秀なものに対しては、MSDからの支援はもちろん、VCによる支援など、新しいチャンスを得られる可能性があります。
7月22日には交流会を兼ねた事前説明会を開催予定しておりますので、MSDが展開しようと考える熱量や規模、そしてコンテスト詳細を知りたいと考えている方は、ぜひご参加ください。
Diabetes Innovation Challenge事前説明会・交流会
※7/21(金)申し込み締切
日時:7月22日 11時~13時(10時30分開場)
会場:MSD本社(北の丸スクエア)
東京都千代田区九段北1-13-12
参加費:無料
内容:講演(糖尿病の基礎知識・課題など)/懇親会・ネットワーキングパーティ(ケータリングあり)
詳細はこちら(http://www.msdhealthtech.com/dic.html)
(提供:MSD株式会社)