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有機ELテレビメーカー4社を巡って技術を解説! 第1回

プラズマの技術で自然な再現! 他社はマネできないパナソニックの有機ELテレビの秘密を聞いた

2017年06月12日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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プラズマテレビで培った自発光制御技術を駆使して
有機ELのポテンシャルを引き出す

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 ここからはパナソニックの有機ELテレビの画質面の特徴を紹介する。有機ELは自発光ならではの高コントラストが大きな特徴で、プラズマでは難しかった薄さや消費電力といった面でも液晶と同等。ディスプレーとしては優れた性能を持つ。

 これに加えて、同社は同じ自発光パネルであるプラズマテレビの自発光制御技術や、ハリウッドの映画会社と共同で磨き上げた色の忠実再現技術を盛り込み、独自の高画質を追求している。

 まず自発光制御技術だが、自発光型の表示は特有の発光特性があり、入力された信号に対して正確な表示をすることが難しいという。これを入力信号に対して忠実な表示ができるようにするのが、自発光制御技術だ。

 また、RGBの光の三原色でも表示特性には微妙なバラツキがあるため、これをきちんと揃えることも重要だ。

 たとえば、それぞれの色の特性がずれているままだと、黒からグレー、白へと連続的に変化するグラデーションを表示したときに、黒に近いグレーが赤っぽく、あるいは緑っぽく色がついてしまうようなことが発生する。

 これらを正確に表現することが重要であり、自発光パネルを使った経験がないとなかなか対処しにくいところだという。プラズマテレビで自発光制御を行なってきたパナソニックの良さがよく出る部分だ。

映像設定。キャリブレーションやプロフェッショナルという設定もある

映像設定。キャリブレーションやプロフェッショナルという設定もある

モードが「ユーザー」なら映像の調整も細かく行なえる

モードが「ユーザー」なら映像の調整も細かく行なえる

 こうした制御技術が盛り込まれているのが「ヘキサクロマドライブプラス」。これは、パネルの発光制御だけでなく、忠実な色の再現技術についても独自の技術を備えており、有機ELテレビでは、業務用マスターモニターに極めて近い正確な色再現力を実現しているという。

 また、色再現は彩度の正確さだけでなく、輝度の変化についても正確であることが求められるが、そこは「3D-LUT」(ルック・アップ・テーブル)により、低輝度、中~高輝度、高輝度域のそれぞれで色のズレを補正し、特に低輝度領域での豊かな色再現を実現している。

 さらには、色の階調表現についても、16bit映像処理でスムーズな階調表現を追求し、ノイズ感の少ない自然な映像を目指したという。

 そして、最終的に画質を仕上げるチューニングでは、パナソニックだけでなく、ハリウッドのスタジオでの監修を受け、クライアントモニターとして適した実力を持つモデルであるとの認定を得るなど、映画制作の現場でプロが使える性能を備えているという。

 こうした輝度と色の忠実な再現技術が、リアルで臨場感豊かな映像を可能にしているのだ。

オーディオブランド「テクニクス」がチューニングした
本格的なスピーカー

EZ1000のスピーカーは前面の脚と一体化するように配置されている

EZ1000のスピーカーは前面の脚と一体化するように配置されている

 TH-65EZ1000では、臨場感豊かな映像にふさわしい音にもこだわっている。スタンド部に内蔵されたスピーカーは、トゥイーター×1、ミッドレンジ×2、ウーファー×4、パッシブラジエーター×2と9つのユニットを使用し、それが左右のそれぞれに搭載される。

 合計18ユニットのスピーカーだ。駆動するアンプも、高音域20W、中音域20W、低音域40Wの最大出力80Wの大出力となっている。

 スタンドのスピーカー部は保護ネットでカバーされて内部を見ることができないが、薄型の形状ありながらも、多数のユニットを使用することで迫力ある音の再現を可能にしているのだ。

 オーディオ回路の設計も、電解コンデンサーなどにオーディオ専用の高音質部品を採用するなど、テクニクスのチューニングにより音質の改善と豊かな音に仕上げられている。

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