アマゾンジャパン合同会社が「Amazonマーケットプレイス」への出店で、価格や品揃えを他の販売ルートと同等にすることを出店条件にしていた問題で、公正取引委員会は1日、アマゾンジャパン合同会社の独占禁止法の審査を終了したと発表した。審査終了は、出店条件だった価格や品揃えの同等性を、アマゾンジャパンが放棄したことを受けたもの。
ECサイトの競争が正常化
「Amazonマーケットプレイス」の出店条件から、価格と品揃えの同等性が排除されたことで、Amazonの出店者は、「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などの大規模セールや自社サイトのイベントで、Amazonより低価格で商品を出品することができるようになった。また、自社サイトや別の販売ルートで「自社サイト限定商品」など、各販売ルートでの限定商品を販売できるようになり、ECサイトの競争の正常化が期待できる。
アマゾンジャパンは「Amazonマーケットプレイス参加規約」などで、Amazonに出品する商品について、出店者が楽天市場やYahoo!ショッピング、自社ECサイトなど、Amazon以外のルートで販売する商品の価格のうち、最も低価格で販売している価格と同じ価格にすることや、色やサイズなどの全バリエーションを含めて他の販売ルートで販売する商品はすべて「Amazonマーケットプレイス」に出品することを、出品の条件にしていた。
これらの規約などは、独占禁止法第19条(拘束条件付取引)の規定に違反し、出品者の自由な事業活動を制限している疑いがあったことから、公取委は独占禁止法の規定に基づいて審査を進めていた。
Amazonの取扱商品が減少?
アマゾンジャパンは、公取委に対し、「Amazonマーケットプレイス」の出店関連契約で条件にしていた価格や品揃えの同等性を放棄し、今後もこれらを出品の条件に加えないことを誓約することなどを申し出た。このことから、公取委はアマゾンジャパンの独禁法の疑いが解消されたとして、審査を終了した。
今回の出店条件の撤廃で、Amazonユーザーは出店者の商品を最低価格で購入することができなくなるケースも出てくるが、Amazon以外のECサイトユーザーは、Amazonでの販売価格より低価格での購入が可能となった。
今後はAmazonの取扱商品数の減少や、Amazonマケプレ出店者による売上が減少することが考えられるが、出店の規制が緩和されたことで、「Amazonマーケットプレイス」への出店者が増える可能性もある。
(山本 剛資)