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“ゼロ”から立ち上げた育成プログラム「社会全体のモデルケースを目指す」

高専初「サイバーレンジ」も、都立産技高専のセキュリティ人材育成が目指すもの

2017年05月29日 07時00分更新

文● 谷崎朋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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「社会全体で学生を育てるモデルケースを目指す」

 小早川さんと岩田さんは、「これからもハンズオンや講話、進学、研究、インターンシップ、就職活動などあらゆる機会を提供し、より多くの経験が積めるよう場を提供していきたい」と口を揃える。「伸びる子たちの着地点をできるだけ遠くに導くことが、教師の使命だ」。

 今年4月から新履修生が加わり、サイバーレンジ演習も始動する今、「サイバー演習教育システムをうまく進められるか、時間数は足りているのか、コンピューターサイエンスで教え足りない部分はあるかなど、カリキュラム体系の改善の余地はまだある。また、学生の倫理観の維持や、教員の意識のベクトル合わせも取り組む必要がある。不安は尽きない」と小早川さんは明かす。

 「履修生が卒業、就職して、講話などで母校の後輩にセキュリティについて教えにきてくれて、ようやく軌道に乗ったと感じられるかもしれない。目標は『社会全体で学生を育てるモデルケース』になることだ」(小早川さん)

楽しそうな笑いも聞こえるCTF中のバックエンド

 現在、文部科学省による産学協働の高度IT人材育成ネットワーク「enPiT」や、独立行政法人国立高等専門学校機構が推進する情報セキュリティ人材の育成プロジェクトなど、サイバーセキュリティ人材育成の取り組みは全国に広がっている。より良いモデルケースを目指し、試行錯誤を続ける都立産技高専と学生たちの挑戦も、いま始まったばかりだ。

放課後や泊まり込みでリハーサルや準備を繰り返した履修生、終了後に一瞬寝落ちする場面も。頑張りが実となる日は近い

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