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HPEの“ProLiant史上最小”サーバー、TM200はどんな可能性を開くのか 第3回

超小型のHPE ProLiant TM200は「サーバーらしくない」からこそ「売りやすい」?

パートナーは「HPE TM200」の魅力をどう見る? 製品担当が聞く

2017年05月31日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

提供: 日本ヒューレット・パッカード

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「ソリューションベンダーに大きな価値を与えてくれる」TM200

前田:ところで、「Ekran on TM200」の動作検証で、うまくいかなかった点や苦労された点はありましたか?

松尾氏:それはなかったですね。TM200ではWindows Serverが動きますし、EKRAN Systemが軽量なシステムということもあって、パフォーマンス的にもまったく問題はありませんでした。――あ、強いて言えば、検証機が届いたのがまだ製品発表前で、ハードウェアに関するドキュメントやドライバがなかったことかな(笑)。

前田:すいません、発表前のことなので許してください(笑)。もちろん、現在はどちらもご提供していますよ。

松尾氏:それから、TM200がハードウェアRAIDも搭載していたらもっと良かったな、とは思います。機能をそぎ落としてコンパクトにするというコンセプトのサーバーなので、仕方がないのですが。

前田:それについてはパートナーの皆様からよくご意見をいただきます。やはりハードウェアRAIDは重要ですか。

松尾氏:実際に検証してみると、パフォーマンスはソフトウェアRAIDでも問題ないんですよ。ただ、EKRAN Systemは重要な証拠(データ)を保存するシステムなので、万が一OSに障害が起きてもデータを保護したい。そうなると、ハードウェアRAIDのほうがより安心ですからね。

 とはいえTM200は、われわれソリューションベンダーに大きなバリュー(価値)を与えてくれるサーバーだと思います。実際、松尾商店としても、EKRAN SystemをTM200でアプライアンス化することによって、これまでの販売モデルにはなかった新たな付加価値を提供できるようになりました。先ほど言った「売りやすい」「買いやすい」の部分ですね。

 発表後、さまざまな販売パートナーさんに「Ekran on TM200」をご紹介していますが、すでに売れそうな手応えを感じています。今年10月末までに100台という販売目標を掲げていますが、うまく展開すれば十分に実現可能な目標だと思っています。

TM200ソリューションのパートナーコミュニティを立ち上げ、販売支援

前田:松尾商店さんにもご参加いただいていますが、国内のパートナー様と共同で「TM200ソリューションコミュニティ」を立ち上げました。

松尾氏:TM200コミュニティの前に、昨年の夏ごろから、HPEさんが全国で開催している「IT Ecosystem Forum」に参加してきました。これは、当社のようなソフトウェアベンダーと全国の販売パートナーさんをつなぎ、実ビジネスを盛り上げていこうというイベントです。わたし自身も何度か講演させていただきましたが、それがきっかけとなり、すでに全国で6つくらいの実ビジネスが立ち上がっています。

前田:すごい効果ですね! TM200ソリューションコミュニティでも、HPEからさまざまな販売支援策をご提供していく計画です。TM200ソリューションをまとめて紹介するパートナーサイトのほか、販促ツールへの支援、あとIT EcoSystem Forumでの登壇機会などもご提供したいと考えています。

 実はHPEがこのように、特定のサーバー機種とパートナー様のソリューションにフォーカスしてコミュニティを立ち上げるのは初めてのことなんです。今回はこのとてもユニークなTM200というサーバーをきっかけにして、パートナー様と協力しながらパッケージソリューションを盛り上げていこうと思っています。日本市場のことをよく理解されているパートナー様と共同で、日本市場に最適なTM200ソリューションを展開していきたい、と。

松尾氏:われわれパートナーとの共同マーケティングも、ぜひお願いしたいところです。やはりHPEさんのお客様にリーチできるとなれば、われわれにとっては魅力的ですからね。

前田:はい、検討させていただきたいと思います。

HPEはパートナーとともにTM200ソリューションを育てていく

前田:さて、第一弾ソリューションの「Ekran on TM200」は無事にリリースされましたが、ほかにもTM200ソリューションの展開を考えていらっしゃいますか。

松尾氏:これはすでに仕込み始めているのですが、TM200上でVM(仮想マシン)を切って、EKRAN Systemだけでなくほかのセキュリティ製品も一緒に搭載するアプライアンスを提供しようと考えています。たとえば「Ekran+UTM」とか「Ekran+脆弱性診断」「Ekran+DLP(Data Loss Prevention、情報漏洩防止)」といったセキュリティアプライアンスですね。しかも、お客様が必要なセキュリティ機能だけを選択できるようにすれば、価格も抑えられます。

 もうひとつは、製造業のお客様向けに“IoTモデルのEKRAN System”を考えています。工場にあるFA機器も、最近はその多くがWindowsベースで動いています。これまでは現場の職人さんが熟練の技でFA機器を操作してきたわけですが、労働人口が減ってくる今後は、現場で働く人よりもFA機器のほうが多くなるかもしれない。熟練の方の操作内容を、EKRAN Systemで可視化、記録することで、現場のほかの方の技術習得を容易にできるのではないかと思っています。

前田:なるほど、EKRAN Systemをセキュリティ以外の用途へも展開するというのは面白いアイデアですね。

松尾氏:「Ekran on TM200」の海外展開も進めたいですね。アプライアンスとして販売する発想はハンガリーの開発元にはなかったようで、今回の話をすると驚かれました。“日本発”の販売モデルとして海外へ展開していく、これもチャレンジしたいと思います。

前田:TM200はこれまでのサーバーにはない特徴を持つ製品ですので、パートナー様にとっても、われわれHPEにとっても、チャレンジは大きいと思っています。ただ、それと同時に、これまでのサーバーにはできなかったようなソリューションも、新しい販売チャネルも、そのすそ野を広げられる大きな可能性があります。パートナーの皆様と一緒になってTM200ソリューションを育てていけるよう、HPEも全力で頑張りたいと思います。

(提供:日本ヒューレット・パッカード)


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