ヤマトホールディングス(株)が4月28日発表した2017年3月期連結決算は、売上高にあたる営業収益が前年比3.6%増の1兆4668億5200万円、営業利益が同49.1%減の348億8500万円、純利益が同54.2%減の180億5300万円となった。
デリバリー事業の利益は85.2%減
宅急便の取扱数量が同7.9%増の18億6700万個と過去最高を更新し、増収となったが、時間外労働による未払い金を約190億円計上したことなどで、大幅な減益となった。
デリバリー事業は、宅急便の取扱数量の増加などで、売上高が同3.5%増の1兆1510億2800万円となった。利益面は、取扱量の増加と人員不足などで労働需要が逼迫したため、外部戦力を含めた人的コストが増加したほか、社内調査で判明した時間外労働に対する未払い金を計上したことなどで、同85.2%減の56億3800万円となった。
通販市場に向けては、小さな荷物をリーズナブルな料金で配送する「宅急便コンパクト」「ネコポス」の販売を拡大したほか、フリマサイトと連携して発送窓口を広げるなど、利便性向上に取り組んだ。また、オープン型宅配ロッカーの設置を拡大し、手軽に荷物を受け取れる環境の整備を進めた。次世代物流サービス開発に向け、自動運転技術を活用したオンデマンド配送サービスを提供する「ロボネコヤマト」プロジェクトを始動した。
次期に向け、グループ全体で「働き方改革」に取り組み、労働環境を改善・整備し、デリバリー事業全体を時代に合わせて再構築する。上期は宅急便の総量規制や価格交渉を実施する期間とし、収益は厳しくなると予測。下期以降は、総量コントロールやプライシング効果で、利益が回復基調に入ると想定した。通期では売上高が前年と同水準の1兆4700億円、営業利益が同13.8%減の300億円、純利益が同5.6%減の170億円と見込んだ。