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島精機製作所、3D編み物で繊維産業革命

2017年04月07日 07時57分更新

文●Michael Reilly

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横編み機で世界首位の島精機製作所の「ホールガーメント(全服編み)」が注目されている。生地からではなく、衣服を3Dプリントするため、顧客ひとりひとりにカスタイムメイドできるだけでなく、オンデマンドで製造すれば、在庫リスクを最小化できるメリットもある。

ボストンにある「ミニストリー・オブ・サプライ」(アパレルブランド)の店舗には、だいたいグランドピアノほどの大きさの編み機がレジの隣に設置されている。異様な光景だが、工業用織物製造機が、高級服ブティックと出会ったのだ。

しかし、ミニストリー・オブ・サプライのアマン・アドバニ共同創業者の言うとおりなら、これは服飾産業の未来なのかもしれない。日本の島精機製作所製の織物製造機は「ホールガーメント(全服編み)」でカスタムデザインのブレザー全体を一度に印刷してしまう。ホールガーメントの製造工程は3Dプリントと似ているため、「3D編み」とも呼ばれる。

基本技術は、工業的編み物機械の改善の積み重ねの賜物だ。さらにカスタマイズできるソフトウェアと、優れたハードウェアは、当然、機械性能の向上を意味する。だが重要なのは、簡単にホールガーメントの機械をプログラムできることだ。すでに2013年には、英国のスタートアップ企業ニッタン(Knyttan)が、どんなデザインでも編み物機で製造できる、独自のソフトウェアを開発していた。ニッタンによれば、1着あたりのコストは、たとえば50着のセーターをひとつのデザインで製造する場合と同じだという。ニッタンはこのアイデアを展開するために数百万ドルの資金を集め、現在、ブランド名「アンメイド」でセーターや「サービスとしてのセーターソフトウェア(SSaS)」を販売中だ。

2016年、アディダスはこのアイデアの論理的帰結として、顧客の体を3Dスキャンし、セーターをデザインし、世界に一着しかないメリノウールの上着を4時間で200ユーロ(約215ドル)で作れるポップアップ・ストアをベルリンにオープンした。3月に「ニット・フォー・ユー」の実験店舗は閉じられたが、アディダスは、より高速な製造工程を推進する一環だと述べた。

「ミニストリー・オブ・サプライ」のブレザーは、従来製法の服より、見た目も感じも優れている、とクオーツへのインタビューでアドバニ共同創業者は述べた。さらに、布地の廃棄量を減らせ、需要があるときにだけブレザーを作ることになる、と派手に宣伝された。言い換えれば、売れ残りリスクを少なくできるのだ。345ドルのブレザーだから、すいぶんコスト削減になるのだろう。

当然と言えば当然だが、島精機は3D編み物にはオンデマンドの服だけではなく、さらに大きな可能性があると信じている。2016年下期、島精機は「ユニクロ」ブランドを展開するファーストリテイリングと提携した。ホールガーメントの編み機で大量に洋服を生産する工場を作るのだ。現時点では、新たなテクノロジーによって、繊維産業革命がもう一度起きるかどうかはまだわからない。

(関連記事:Quartz, Reuters, The Guardian


転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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