オンキヨー&パイオニアイノベーションズは3月8日、ハイレゾ対応デジタル・オーディオ・プレーヤー(DAP)のエントリーモデル2機種と、ハイレゾ対応ヘッドフォン3機種を発表した。プレーヤーとイヤフォンのセットでも“5万円以下でバランス駆動を楽しめる”ようにするのがコンセプトだ。
手のひらサイズ・4万円台でもバランス駆動やDSDネイティブ再生
プレーヤーはオンキヨーブランドの“rubato”(ルバート)として「DP-S1」(実売4万5000円前後+税)と、パイオニアブランドの“private”(プライベート)として「XDP-30R」(実売4万円前後+税)をラインアップする。発売は3月中旬で、privateのシルバーモデルのみ3月下旬となる。
ともに手のひらに収まる小型のサイズで、バランス駆動用の2.5mm4極端子を備えている。内蔵DACはESS Technology社の「ESS 9018C2M」を2基、ヘッドフォンアンプは「ESS 9601K」を2基搭載する。既発売のGRANBEATと同じチップだ。エントリー機という位置付けではあるが、フルバランス回路となっており、機能とスペックは上位機に迫る。
メモリー容量は内蔵16GB。さらに200GBのmicroSDメモリーカードを2枚同時に差しできるので、合計416GBまでの拡張が可能だ。連続再生時間も最大15時間と十分に確保している。IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LAN機能を持つ。本体サイズは幅63×奥行き15×高さ94mm。重量は130g(DP-S1)/120g(XDP-30R)。
機種面は共通で、再生フォーマットは最大32bit/192kHzのPCMと最大5.6MHzのDSD再生に対応。DSD再生はPCM変換で実現する機種が多い中、ネイティブ再生にこだわっている点は特徴だ。直径2.5mm4極のバランス駆動用端子を持ち、一般的なBTL接続のほか、Active Control GND駆動ができる点やロックレンジアジャスト、3種のデジタルフィルターなどが利用できる。こういった機能は上位モデルを踏襲している部分だ。
クロックは48kHz系と44.1kHz系の2つを備える。CD品質の音源も32bit/192kHzで再生するHi-Bit/アップサンプリングモードを持つ。
液晶ディスプレーは2.4型でタッチ対応。Bass Enhancerやグラフィックイコライザー(プリセット6種、カスタマイズ3種)を用意。スマホとBluetooth Low Energyで接続し、専用アプリで操作できる。通勤電車などで移動中、プレーヤーはカバンやポケットの中に入れたままでも、手元のスマホで操作できて便利だ。ともにアルミブロックから削り出したシャーシを利用するが、コーナー部分の処理など若干デザインは異なる。
ストリーミングサービスや楽曲購入時のセキュリティに配慮して、パスコードロック機能を提供したり、HOLD時に動作を止める要素の細かな選択、フルジャケ写表示、LINE-OUTモードの用意といった細かな機能にもこだわっている。
アップデートで長期にわたって使い続けられるように
Android搭載ではないが、DP-X1Aなどと同様、ソフトウェアのアップデートで機能改善していく計画だ。夏をめどにMQA再生やe-onkyo musicの自動ダウンロード機能を追加するほか、要望があれば ほかの機能の提供も検討する。一例としては、すでにあるradikoやTuneInに加えて、AmazonやSpotifyのストリーミングサービスに対応したり、DLNAでNASに保存したファイルを再生するといったものが考えられる。
音質に関しては両ブランドそれぞれの音質責任者の監修を経ている。rubatoとprivatoのカタログスペックはほぼ同じだが、デザインの違いに加え、コンデンサーなど一部利用部品が異なる。ESS DACだとだいたいこんな音という評価がある中、使用チップ以外の部分の改善でよりブランドの考え方に沿った音が出せる点を示したいという。
rubatoが約5000円高い理由としては、利用パーツの違いに加え、開発期間の差も考慮しているとのこと。DP-X1が発売された2015年当初から、オンキヨーブランドはHi-Fi指向が強かった。オンキヨーブランドのrubatoはすでに高級DAPを所有しており、ハイレゾをより楽しめる解像感・透明感を重視。すでにDP-X1を所有している人のセカンド機といった用途も想定しているという。試聴もできたが、現状では8割程度の仕上がりとのこと。さらなるノイズ低減や電源の改善など、サウンドチューニングに取りくんでいるそうだ。
一方、パイオニアブランドのprivateは、音質傾向としては、まとまり感や力強さを重視。アップサンプリングやHiBitが活用できる特徴を生かしつつ、CD品質やMP3/AACなどの音源を高音質に再生したり、アンバランス接続のイヤフォンでも好ましい音質が得られるようにチューニングしている。
新開発ドライバー採用、1万円以下でバランス駆動を
合わせてパイオニアブランド初のハイレゾ対応イヤフォンも発表した。
バランス接続に対応した「SE-CH5BL」(実売8500円)、リケーブル対応の「SE-CH9T」(実売1万2000円前後)、ハイレゾ対応で4色のカラバリを持つ「SE-CH5T」(実売5000円前後)となる。
CH9はMMCX端子を持ち、ケーブル交換ができる。MMCXの装着を安定させるためのコネクターシールドも同梱する。アルミ製ハウジングの内側に真鍮製のノズルを入れ共振を排除、中高域の付帯音を減らすとともにタイトな低域が得られるという。CH5BLは、バランス駆動で左右のセパレーションに優れ、より透明感のあるサウンドが提供できるとのこと。なお、一般的な3.5mm3極端子搭載のCH5も用意している。
3製品に共通する特徴としては、振動板の振幅の改善、ドーム形状の改良した直径9.7mmの新ドライバーを採用したこと。さらに筐体から空気抜きをするための通気部にチューブ(Airflow Control Port)を入れ、低音の音圧バランスを最適化。低音と中音の分離も改善するといった取り組みを入れている。
出力音圧レベルは108dB、再生周波数帯域は5Hz~50kHz(CH9T)、8Hz~45kHz(CH5BL/T)、インピーダンスは26Ω。発売は3月中旬。
なお、3月11日(土)12:00~16:00まで、東京のGibson Brands Showroom TOKYOおよび大阪のオンキヨーカスタムIEMポップアップストアで発売前先行体験会を実施する。