楽天(株)が13日発表した2016年12月期連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年比9.6%増の7819億1600万円、営業利益が同17.6%減の779億7700万円、純利益が同14.5%減の379億9500万円と、2期連続の減益となった。
「FinTech(インターネット金融)」は好調だったものの、インターネットサービスの減益が大きく、増収減益となった。また、動画配信関連事業を展開する海外子会社「Vivi」(米国)の減損損失を243億円計上したほか、海外関係会社の株式評価損を64億8800万円計上したことで、純利益が落ち込んだ。
セグメント別に見ると、「インターネットサービス」は、売上高が同13.7%増の4928億3600万円、セグメント利益は同38.9%減の555億6800万円となった。新規ユーザーや長期的なロイヤルカスタマーの育成に向け、カードやアプリなどの利用でポイント獲得率が上昇するSPU(スーパーポイントアッププログラム)を継続したことなどが奏功し、増収となった。一方、SPUによるポイント付与率のアップや、「楽天モバイル」のプロモーション費用などの販促活動の影響で、減益となった。主力の国内ECは、売上高が同9.3%増の3112億円、営業利益が19.6%減だった。
「FinTech」は、売上高が同7.6%増の2751億3600万円、セグメント利益は同2.6%増の655億8700万円となった。「楽天カード」会員の増加で、ショッピング取扱高やリボ残高が伸長したほか、銀行サービスが好調で増収増益となった。
セグメント利益では、「FinTech」が100億1900万円の差をつけて、初めて「インターネットサービス」を上回った。これは同社が05年に「楽天カード」を発行して金融事業を開始して以来、初となる。
楽天市場・楽天モバイルなどのEC関連サービスを含めた国内EC流通総額は、前年比12%増の3兆95億円となり、初めて3兆円を突破した。この要因として同社は、SPUの継続と品質の向上を挙げた。SPUによって注文件数は前年同期比14.7%増、購入者数は同10.1%増、新規・復活購入者層は5.9%増となった。国内EC流通増額には、前期から新たに「Rebates」「爽快ドラッグ」「フリル」などが加わっているが、数カ月の流通額がプラスされているだけで、全体への影響は軽微としている。
第4四半期での楽天市場モバイル流通総額比率は、同6.6ポイント増の60.8%となった。楽天市場流通総額の楽天カード決済比率は、過去最高の51.2%に上った。また、楽天カードのショッピング取扱高は前年比20.7%増の5兆円となり、国内3位(きんざい「月間消費者信用」)となった。17年中にトップとなることを目指す。グローバル流通総額は同18%増の10兆7000億円だった。Ebatesが好調で、米国事業が黒字に転じた。