世界規模のカスタムカーイベントで
カスタムカーを満喫
1月13日~15日まで幕張メッセで開催された東京オートサロン2017。3日間の来場者数は32万人を突破し、屋内イベントとしてはコミックマーケットに次ぐ来場者数となり、クルマイベントとしては当然ながら日本一。カスタムカーのイベントとしては世界規模となったようだ。
コンパニオン目当ての来場者も多いだろうが、メインはやはりカスタムカー。国内は当然ながら、海外からも多くの出展者が集まる東京オートサロン。ここから海外に発信するカスタムカートレンドも多く、映画「ワイルドスピード」シリーズやエナジードリンク「MONSTER」のプロモーションビデオなど、その影響を受けたものは数多い。
そんな東京オートサロン2017に出展されたカスタムカーたちは1000台を軽く超える。その中から筆者の目に留まったカスタムカーを紹介してみたい。
今回、非常に目立った車種はベントレー初のSUV、ベンテイガ。写真はドイツのマンソリーが出展したものだが、それ以外にも5台以上は出展されていた。ハイエンドの高級車をカスタムする需要というのはかなり多く、今まではベントレーでもコンチネンタルGTやフライングスパー、ロールスロイスなどのクーペかセダン、リムジンが主流であったが、ベンテイガーの登場でこの世界にもSUVの波が来ている。来年以降はもっと激しいカスタムが期待出ると感じた。
ハイエンドと言えばスーパーカーだが、スーパーカーの世界もカスタムの需要が高い。冒頭のフェラーリ 488もそうだが、速さを追求するスーパーカーはエアロやオーバーフェンダーのボディーパーツを中心に、数多くのパーツメーカーが出展をしている。
その中には早くもNSXの姿も見受けられた。また、今後のカスタムの方向性を示すコンセプトとしてランボルギーニウラカンのワンメイクレース車両を展示しているブースもあった。
カスタムカーの発想は自由で柔軟
カスタムカーを作る出展者は、何者にも縛られない、とにかくやってみる、と言う職人魂に満ちあふれている。
公道走行をしないという前提であれば発想はもっと自由だ。上の写真はスズキの軽4輪駆動車「ジムニー」に日産「シルビア」のエンジンと駆動系を移植したもの。エンジンは運転席にまではみ出し、ラジエターはスペースのなくなったエンジンルームからリアのラゲッジスペースに移されている。
一見、ミニのクラブマンをサーフィンモチーフで塗装しただけに見えるが、ベースはなんとトヨタのライトバン「プロボックス」。専門学校が出展するクルマはその授業で培った技術をお披露目するため、かなり大胆な発想でカスタムカーを製作している。
こちらも専門学校の出展車で、スズキ「ジムニー」をメルセデス「AMG」の6輪SUV風にカスタム。また、もう一台はトヨタ「MR2」を往年のスーパーカー、デトマソ「パンテーラ」風に仕上げたものだ。こういった専門学校では、出展したカスタムカーでナンバーを取得するまでが授業の一環だという。
公道を走らずにサーキットでのタイムアタックや最高速チャレンジに特化したマシンも出展される。「スカイライン R32 GT-R」は、現行の「R35 GT-R」のエンジンと駆動系を移植して世界最速のR32 GT-Rを目指す。
また、タイムアタック用のトヨタ「86」は公道用のラジアルタイヤに限定されるタイムアタックで最高のグリップ力を得るために、強大なダウンフォースを生み出すスポイラー類を装着している。
ヴィンテージカーの需要も年々高まってきており、「サバンナ RX-3」のように往年の姿をそのまま残すものや、それを題材にカスタムを施すものなど、取り組み方は自由。カスタムカー向けのタイヤブランドであるニットータイヤでは映画「60seconds」で有名になったヴィンテージカー、フォード「マスタング エレノア」の本物を持ち込み、タイヤとのマッチングを披露していた。
ヴィンテージカー市場での盛り上がりに応えて、横浜ゴムは往年の名タイヤ、ADVAN HF-Dの復刻を宣言。ホイールメーカーのWORKもヴィンテージカー用のホイールを展示していた。ほかには、比較的に入手しやすいサニートラックをフルレストアした出展者もいた。
カスタムカーの基本は「自分が乗りたいクルマ」を作ることだ。その代表となるのがホンダ「S660」をベースに作られた「無限 GARU」。無限のスタッフが「自分たちの乗りたいスポーツカーを作った」と豪語するほどのできばえだった。
カスタムカーと一口で言ってもさまざまな切り口と発想があり、それこそ乗る人一人一人で同じものはありえない。その発想力を養い、自分のクルマと向き合うためにも東京オートサロンへ行く価値はあるだろう。