このページの本文へ

日本HPが2017年の事業戦略を紹介

革新の精神忘れず、2017~2018年はPC市場のV字回復目指す、日本HP

2017年01月16日 12時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

2016年は分かりやいデザインから、2017年はセキュリティとコラボ性へ

 その後、日本HPの執行役員で、パーソナルシステムズ事業本部長 兼 サービス・ソリューション事業本部長の九嶋俊一氏が登壇。PC事業についてより詳しく解説した。強調したのはビジネス環境の変化から、PC市場もモノからコトつまり“よりよい仕事、よりよい暮らし”を実現するためのソリューション(問題解決)型のビジョンが重要になるということだ。

パーソナルシステムズ事業本部長 兼 サービス・ソリューション事業本部長の九嶋俊一執行役員

 そのためにデジタルネイティブなミレニアム世代の求める“デザイン性”の高さ、公衆環境なども含めた、様々な場所での利用に耐えうる高い“セキュリティ”、そしてワークスタイルの変化に沿ったコラボレーションしやすい、直感性や使いやすさなどがポイントとなる。

10年でこれだけPCは薄くスタイリッシュになったという説明

 「2016年はこのうち最も手が付けやすいデザインから始めた」(九嶋氏)そうだが、Spectre 13などをはじめとしたスタイリッシュなノートは大きな反響を得た。また夏ごろに出したEliteBook Folio G1は企業向け製品だが、薄さ12.4mm、約970gとスタイリッシュ性を重視しており、2006年以来つい最近まで変わらなかった機能重視で大型のノートからの転換だったとする。

会議室利用に特化した、HP Elite Slice コラボレーションモデル

BIOSレベルからのセキュリティーは押し出していきたいポイント

HPが持つ2大セキュリティーソリューション

スマホと連携した新しいセキュリティーも模索している

 2017年に投入予定の製品としてCESで発表した「HP Elite Slice コラボレーションモデル」も紹介。これは会議室に置くPCとしての機能に特化した省サイズのデスクトップPCで、集音範囲が半径5mと広いマイクや360度に音が広がるスピーカー、天板のボタンを押すだけで30秒でビデオ会議に参加できる機能や、ケーブルなしで会議参加者同士の画面/ファイルを共有できる機能などを持つ。

 またPCのセキュリティについても、4年以上前に作られ脆弱性を持つPCが全世界に40億台あり、毎分2789件のデータ損失/流出の問題が起きているという状況に触れながら、特に見つかりにくいファームウェアを狙った攻撃に対応できる仕組みが必要だとした。自己修復BIOSの「HP Sure Start Gen3」、多要素認証の「HP Client Security Suite Gen3」を紹介し、MBRやパーティションテーブルの保護が可能になる点や、スマホを活用したセキュリティー(スマホ内蔵のBluetoothなどを活用し、利用者がPCから離れた際には自動でロックするなど)を利用できる点が、特徴になるとした。

商業デジタル印刷は期待できる成長分野

 日本HPの執行役員で、デジタルプレス事業本部長の小池亮介氏は、デジタルプリンティング事業が、実際には非常に有望な市場であると解説した。一般には縮小傾向にあるとされる印刷業界だが、デジタル出力に関しては成長分野であるとした。特にIndigo社など、2000年代の前半に買収した企業の技術を活用した商業印刷の分野は成長が見込まれている

デジタルプレス事業本部長の小池亮介執行役員

 この分野で注目の技術としては、溶剤ではなく“Latex”とよばれる水性インキを利用し、30m2を超える壁紙など大判に出力しても臭気がないインクジェットプリンター。固定した印刷ヘッドの上に紙を高速にフィードすることで毎分30枚もの出力ができる“PageWide”、小ロットのオンデマンド印刷に効果的な高速インクジェット輪転機、デジタル印刷の利点を生かし1枚ごとにデザインを変えたり、1枚ずつ異なるデザインの段ボール箱の出力が可能なコルゲートインクジェット輪転機などがある。

 事例としてHP Latexを利用したサントリー美術館の壁紙出力や、海上保安庁の海図出力用に納入したA1サイズを毎分最大30枚出力できる「HP PageWide XL」、日本コカ・コーラのカウントダウンイベント“YOU MAKE SHIBUYA” COUNTDOWN 2016-2017で、約6万7000人に配布した特別ボトルの制作にHP Indigoデジタル印刷機が用いられたことが紹介された。

菓子や飲料水のパッケージにもプリンターは使われている。刷版がないデジタル印刷の利点を生かし、1つ1つ異なるデザインで出力するということもできる。

 また高速インクジェット輪転機は、2016年にA4レターサイズ換算で約600億ページを出力したという。長さでいうと地球と月を21往復できる距離に相当するそうだ。

カテゴリートップへ