さくらインターネットは1月3日(現地時間)、テクノロジー見本市「International CES 2017」の会期に合わせて発表会を開催。2015年後半から取り組んでいる、IoT製品の通信機能とデータ保全を簡便化するプラットフォーム「さくらのIoT Platform」の世界展開を開始すると発表した。
世界対応版モジュールは、2017年秋頃のリリースを予定する(国内向けの「製品版」は2017年春を予定)。気になる価格については、現状の国内版価格に近い50ドル前後を想定しているという。CES2017のブースでは、実動するパートナー製品の展示も行う。
さくらのIoT Platformの特徴は、既存のIoTプラットフォームが"IoT製品からデータを取得した後の処理」が中心だったのに対して、「通信手段」(LTEモジュールなどのハードウェア)と「安全な通信経路」まで含めて1パッケージで提供することにある。
具体的には、現在β版をリリースしている国内版については、Cerevoと共同開発した通信モジュール単体でキャンペーン価格4980円(税別/2017年1月10日まで)という安価な導入コスト、一定の通信費用込みで月額100円という極めて低廉な月額通信費になっている。
同通信モジュールは、IoT向けの超低消費電力規格「カテゴリー1」に対応しており、「カテゴリー1対応LTEモジュールなら、1万mAh程度バッテリーでも月に一度LTE網につなぐような用途なら約10年間通信できる」(田中社長)。ハードだけを提供するのではなく、通信網だけを提供するのでもない、”通信に関する部分を丸ごと”提供することによって、安全な通信・安価なコスト・開発しやすさを武器に、普及を図ろうというのが狙いだ。
■さくらのIoT Platformの世界展開でスタートアップのものづくりをどう変えるか?
さくらのIoT Platformが描く世界展開のイメージは、端的にいえば、”さくらがIoT開発企業の通信部分の悩みをそっくり肩代わりする”というもの。なかなかユニークだ。
つまり、モジュールが世界対応になるということは、平たく言えば日本のみならず、アメリカやアジアの企業であっても、仕向地ごとの通信のローカライズや認証の取得を考える必要がなくなるということだ。
手元資金を効率よくまわしていかなければいけないのは、全世界のスタートアップ企業に共通の鉄則。特定地域でビジネスモデルが一定の成功を収めたら、すぐに海外進出もできるという敷居の低さは、いわゆるスタートアップ企業にとっても、大企業の社内スタートアップにとっても、大きなメリットになり得る。
国内でのα版→β版開発で得たフィードバックから、従来の1個からの販売、90個以上でのドライパック梱包に加えて、基板を自由に形を変えて設計できるハードウェアライセンスモデルの提供も行う。
パートナー企業tsumugの海外向けスマートロック「TiNK」
パートナー企業として紹介されたtsumugは、2016年5月にも、不動産業者向けのスマートロック「Sharing Key」を発表している。今回のスマートロックはそれとはコンセプトがまったく違うものだ。(「Sharing Key」の記事はコチラから)
「Sharing Key」はキーシリンダーを交換する方式で単価も抑える方向性だったが、「TiNK」は高級マンションや一般住宅などの用途を狙っている。
内蔵するセンサー類もリッチで、指先で絵を描くことでロック解除するジェスチャー認識、顔認識、NFC、指紋認証をそれぞれ搭載。
参考出展のためあくまでプロトタイプだが、いずれのセンサーについても実働していた。NFCのセンサーはユニークで、反応するものであればどのカードでも登録できるという。たとえば既存の社員証のようなものでもOKだし、iPhone やApplePayもキー代わりに登録できる。
さくらのIoT Platformは、遠隔での解錠といったLTE通信と、顔認識などの特徴データの保存・読み出し先として使われる。バッテリーやモーター駆動系は「Sharing Key」とは逆の内鍵側に設置。バッテリーの方式については、一般的な電池か、リチウムイオンなどの二次電池にするか検討中という。
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