2020年の必修化に向け急拡大するプログラミング教育と、その親世代におけるITリテラシーについて紹介します。
2020年のプログラミング教育必修化に向け、2016年度から総務省による「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業が始まっています。
急拡大をするプログラミング教育市場ですが、大人にとっても、プログラミング、ITリテラシーといった事柄を正しく理解することがますます求められる時代になってきたのではないでしょうか。
そこで、子どものプログラミング教育を考えるメディア「こどものミライ」では、全国の小学生~高校生までの子どもを持つ親世代を対象にアンケートを実施しました。「自分は教育熱心である」と回答したユーザーの声から、子育て世代におけるITリテラシーの現状をレポートします。
【調査概要】
方法:インターネット調査
調査期間:2016年8月2日~2016年8月11日
対象:全国の「自分は教育熱心である」と答えたパパ・ママ111名
※本記事は「こどものミライ」掲載記事を再編集しました。
「HTML」の意味がわからない親は3人に2人
最初に紹介するのは、IT用語に関する認知度について下記のような質問です。
【「HTML」とは何のことかわかりますか?】
- わかる 34.2%
- わからない 65.8%
結果は、全体の3分の2が「わからない」という結果となりました。
「わからない」という回答した人に、「HTML」がどのようなものを指すか「何となくで良いので説明してみてください」と回答を求めたところ、寄せられた回答は以下のようなものでした。
- ホットメール(男性/58歳/総務・人事・事務)
- インターネット上のその画面があるところ(男性/49歳/営業・販売)
- 説明できる知識が無い(女性/53歳/主婦)
- メール文書(男性/52歳/営業・販売)
- メールシステムのひとつ(男性/42歳/企画・マーケティング)
- パソコン上のなにか?(男性/59歳/その他)
- セキュリティ(男性/52歳/総務・人事・事務)
頭文字をとった略称が「HTML」と捉えている人から、セキュリティと断言する人まで、かなり誤解をしている人がいることがわかりました。
また意外と多かった誤回答は「http」と「HTML」を勘違いした回答でした。
- インターネットのホームページなどの、住所みたいなものの頭につけるもの(女性/34歳/主婦)
- アドレスの枕詞(男性/42歳/コンピュータ関連以外の技術職)
- URLの一番最初についているが、どういう意味かはよくわからない(女性/45歳/主婦)
ちなみに、「http」は「HyperText Transfer Protocol(ハイパーテキスト・トランスファ・プロトコル)」の略で、WebサーバとWebクライアントの間でデータの送受信に用いられるプロトコル(通信規約)のことです。
「HTML」は「Hyper Text Markup Language(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)」の略で、Webページを作るためのもっとも基本的な言語のひとつです。
2つを見比べれば一目瞭然なのですが、共通しているのは「ハイパーテキスト」の部分のみで、見た目は似ていても実際はまったく別のものです。
ブログもHP作成も身近でなかった親世代
次に、ITに関連する自身の作成経験についても質問してみました。
【ホームページなど、ネット上に自分で作った・開設したものはありますか?】
- ある 9.9%
- ない 90.1%
結果は、10人に1人程度しか自分のブログやサイトを作った経験がないことが判明しました。現在の10代・20代からすれば、かなり低い数値ではないでしょうか。
一方、少数派の該当者は果たして一体何を作ったことがあるのでしょうか?
- ブログ。大手サービスを使ったので、大したもんじゃないよ(男性/46歳/コンピュータ関連技術職)
- 自分の趣味の情報を発信して行くためのブログを書いている(男性/32歳/公務員)
- 週末のサークル仲間との連絡用にfacebookでグループをつくり日々やりとりをしている(男性/48歳/総務・人事・事務)
知識がなくても簡単に開設ができるブログをあげる人が多く、中にはサークル仲間用にSNSでグループを開設した人もいます。その一方で、ホームページやゲームやアプリなど、素人ではなかなか手が出せなさそうなものをあげる強者もいました。
- 趣味でやってる少林寺拳法のホームページとその活動ブログ(男性/51歳/その他)
- 診断ゲーム。生年月日を入力したら今日の運勢が出てくる、というよくあるやつで、暇な時間に遊びで作った(女性/34歳/公務員)
- 自分のHP。趣味の釣りがこうじて活動日誌的なのを作ったら、いつの間にかHPに(男性/53歳/コンピュータ関連技術職)
- たいしたものじゃないけど、ちょっとしたアプリ(女性/42歳/総務・人事・事務)
作成経験のある人の中には知識がないとできないレベルの回答もありましたが、初心者レベルのものから9割の親が未経験であることを考えると、インターネットおよびパソコンという存在が馴染みのないものだったということがうかがえます。
初心者だからこそ子どもと同じ目線で学んでみよう
こうしたことは何も家庭に限ったことではありません。プログラミング教育については、まだまだ指導者不足やノウハウ不足など課題が残されており、解決へ向けた政府の取り組みも進んでいます。
すべての人がコーディングできる必要はありませんが、自分自身のスキルアップのためにも、最低限の知識を持っておくに越したことはありません。
そこで、子どもにも人気の「ビジュアルプログラミング言語」をいくつかご紹介します。
「ビジュアルプログラミング言語」とは、コードの知識がなくとも、ビジュアル(視覚)だけでプログラムを組むことができる言語のことで、子どもにも、これから勉強してみたいという大人にも向いていると言えるでしょう。
- Scratch
もともとマサチューセッツ工科大学で開発された言語で、ビジュアルプログラミング言語の中でももっとも有名。日本でも、多くの小学生向け教室で使用されている。動物などのキャラクターを動かすことでコードを書くことができるため、親しみやすさも◎ - プログラミン
文部科学省が独自に開発した言語で、これもScratch同様、イラストを組み合わせることでプログラムを組むことができる。イラストがあるため視覚的に楽しめ、より直感的で覚えやすい仕組み - VISCUIT
上の2つと同じく、子ども向けのプログラミングスクールでも多く使われるビジュアルプログラミング言語。すでにあるイラストやブロックを組み合わせるのではなく、自分で描いた絵を動かすのがほかと違い、絵の得意な子どもであれば、より楽しくなる
子ども向けプログラミングツールは大人にとってもチャンス!
今日までのテクノロジーの発展を考えると、インターネットは今後なくなるどころか、むしろ今以上の速度で発展していくと思われます。
しかし、パソコンやネットは使いこなせても、「プログラミング」となると途端に及び腰になる人は少なくありません。子どもでも使える入門向けプログラミングツールの開発が活発になっている今だからこそ、大人にとっても始めやすい環境が整ってきたと言えるでしょう。
D2Cでは、2011年より全国の中高生を対象にしたスマートフォン向けアプリ開発コンテスト「アプリ甲子園」を始めとし、若手クリエーターの発掘と育成支援に力を入れてきました。また2016年度は総務省の「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業で、全国11団体の採択事業者に選出されました。子どものプログラミング教育を考えるメディア「こどものミライ」も開設するなど、今後も、プログラミング教育の浸透・普及をサポートしつつ、情報発信していく予定です。
(記事提供:D2Cスマイル)