このページの本文へ
デザインからマーケティングまで、Webを仕事にする人の情報サイト
2016年12月05日 08時30分更新
文●Sam Gooch
今日、世界中のユーザーとのコミュニケーションがかつてなく簡単になっています。世界中にオフィスを構えて大規模な多国籍企業を経営しなくても、適切なWebサイトさえあれば良いのです。運営しているビジネスがもっぱらオーガニック検索のトラフィックに依存しているなら、SEOにおける一連の課題を克服する必要があります。この記事ではインターナショナルSEOで直面するもっとも一般的な課題と解決策を取り上げます。
hreflangタグは、グローバルなWebサイトでターゲットとしている適切な言語や国を検索エンジンに伝える簡単な方法です。Googleでもロシア最大手の検索エンジンYandexでも、hreflangタグを使って対象となる国のユーザーに対応した多言語サイトを提供できます。Bingではmetaタグの「language」を使います。以下は英語圏のユーザーに提供するサイトでのhreflangタグの正しい使用例です。
<link rel="alternate" hreflang="en" href="https://www.example.com" />
link: <https://www.example.com/>; rel="alternate"; hreflang="en"
ページにマークアップを追加する代わりにXMLサイトマップ内でもhreflangタグを使えます。各URLの<loc>タグに次のように<xhtml: link>を追加するだけです。
<url> <loc>http://www.example.com/</loc> <xhtml:link rel="alternate" hreflang="en-us" href="http://www.example.com/" /> <xhtml:link rel="alternate" hreflang="en-ca" href="http://www.example.com/ca/" /> <xhtml:link rel="alternate" hreflang="en-gb" href="http://www.example.com/uk/" /> </url>
簡単明瞭で微々たることのように見えるものの、SEOに大きく影響してダメージを与えかねない事柄があります。
グローバルなWebサイトでhreflangを使う際のもっとも一般的な課題の1つは、国・言語コードに関するものです。GoogleとYandexの場合、hreflangの値に言語コードではISO 639-1フォーマット、国コードではISO 3166-1 Alpha 2フォーマットの使用が指定されています。たとえば、hrefの値としてフランス向けのフランス語のWebサイトでは「fr-fr」、一方ベルギー向けのフランス語のWebサイトでは「fr-be」を使います。
もっとも一般的な問題の原因となるのは、United Kingdom(イギリス)をターゲットとするWebサイトで国コードに「uk」が使われることです。正しいフォーマットは「Great Britain」用の「gb」です。別のよくある誤りは欧州連合や北米などのターゲット地域(region)に対するhreflangの使用です。Googleは国コードを「地域(region)」としていますが、hreflangは国(country)レベルにおいてのみ有効です。
Googleサーチコンソールのインターナショナルターゲティングレポートで、運営しているサイトの言語・国コードにおける問題点を確認してください。誤った値や存在しない値が使われている場合、このレポートで見付けられます。
ちなみにhreflangは国だけをターゲットとしては使えません。hreflangの値を単独で「gb」「us」などと設定すると、検索エンジンに言語コードとして認識されるためエラーとなります。
リターンエラーはページにhreflangタグを追加した際によくある別の問題です。すべてのアノテーションにはリンク先ページから戻るリンクが必須です。たとえば、サイトに英語とスペイン語のページがあるなら、それぞれのページに戻るための双方向リンク、つまり英語のページにはスペイン語のページへのリンク、スペイン語のページには英語のページへのリンクが必要ということです。これらのタグの欠落はいわゆる「リターンエラー」の原因となります。
もう一度Googleサーチコンソールでインターナショナルターゲティングレポートをチェックし、リターンエラーのインスタンスを確認してください。
もっとも一般的なリターンエラーはおそらく自己参照用のhreflangの欠落でしょう。英語のページには英語のページ自体へのリンクが必要で、このリンクによって検索エンジンはページがターゲットとしている言語を識別できます。
hreflangタグに使われる言語や国の値で、組み合わせとして無効な値や不要な値が追加されている場合があります。このエラーは、言語の値が不適切な場合と国の値が不適切な場合で異なります。最初のケースは簡単明瞭で、hreflangタグで設定されている言語がページの言語にマッチしていません。
地域に関する値が不適切、不要という場合は、技術的に誤りがないにもかかわらずインターナショナルSEOへの取り組みに悪影響を与えるため、少し扱いにくくなります。サイトにスペイン語と英語のページがある場合のベストプラクティスは、hreflangの値を言語単独で使うことです。
困ったことに、必要もなくアノテーションで国コード、または重複したコードが追加されたり、図らずもトラフィックが一方の国に限定されたり、世界のスペイン語圏と英語圏のすべての国に関する不要なタグが記述されてしまっているWebサイトもあります。
これらのケースはたいていhreflangの値を自動的に追加するツールやプラグインが原因です。この点についてはエラーレポートに表示されないため、発見し修正するのがいくぶん困難な場合がありますが、手動でページを点検して言語と国の値がターゲットユーザーに適切かどうかを確認する必要があります。
あるいは DeepCrawlなどのツールを使えば、hreflangタグが有るか無いかが分かるページのリストが入手できます。hreflangアノテーションが存在するページのリストで、言語の値がページの言語にマッチしていること、使われている地域の値が適切かつ必要であることを確認します。ちょっとした付加的なメリットとして、リターンエラーがある場合、レポートで空白のセルとして示されます。
hreflangは正規の(canonical)URLと連動するように設計されています。正規のURLや優先ドメインを設定していないならいますぐ設定してください。重複コンテンツの問題があるのに気づいていないというケースが十分あります。hreflangは「rel="canonical"」タグと連動させると便利です。これら2つのアノテーションを連動させる際の一般的なミスに、誤って単一のURLをすべての言語・地域用の正規URLとして記述してしまうことがあります。こうしたミスは、サイトに1つの言語で異なる地域をターゲットとする複数のページがある場合にもっとも起こりやすくなります。
英語のページが2種類あって1つは米国向け、1つはカナダ向けである場合、誤って次のように記述してしまいがちです。
<link rel="canonical" href="https://www.example.com/US/" /> <link rel="alternate" hreflang="en-us" href="https://www.example.com/US/ /> <link rel="alternate" hreflang="en-ca" href="https://www.example.com/CA/ />
この例では「example.com/CA/」用の正規URLが誤って米国用のページになってしまいます。この記述では検索エンジンは2つのページの関係を正確に識別できず、一方のページが重複コンテンツとみなされてインデックスの対象から外される結果にさえなりかねません。
常に絶対パスと正規URLを使うようにしてください。特にサブドメインや国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)を使用している場合、「/en/US」などの相対リンクを使ったり、正規URLを使わなかったりすると、検索エンジンはページ間の関係について判断に苦しむでしょう。
ドイツの「.de」、フランスの「.fr」、アイルランドの「.ie」などのccTLDや国別コードサブドメインを使っていれば、検索エンジンは自動的に適切な国のページを判定してユーザーに提供します。一方「.com」「.org」などのジェネリックTLDを使っているなら、Webサイトがターゲットとする地域を別の方法で検索エンジンに伝える必要があります。Googleではサーチコンソールのインターナショナルターゲットで指定できます。
インターナショナルターゲットはドメインレベルで有効になります。サーチコンソールでインターナショナルターゲティング(hreflangのエラーを調べたのと同じ場所)を開き、「Country(国)」タブをクリックします。「select the country(ターゲットユーザーの地域)」のボックスにチェックを入れ、ドロップダウンメニューから目的の国を選択します。このツールで定義できるのは地域のみです。
Bingのジオターゲティング機能はもう少し柔軟性があり、ドメイン、サブドメイン、ディレクトリ、ページレベルでジオターゲティングができます。グローバルなサイトでサブドメインやディレクトリを使う場合、このツールが威力を発揮します。次のステップに従ってドメイン、サブドメイン、ページでターゲットを設定できます。
GoogleでもBingでも、ジオターゲティングを設定するのはジェネリックTLDを使っている場合のみです。ccTLDを使っていれば、検索エンジンは自動的に識別します。
とてもシンプルですが、ジオターゲティングは多くのサイトオーナーにとって問題の原因となっていることも確かです。GoogleとBingのツールは地域を設定するのみで、サイトの言語については検索エンジンにはなにも伝えません。ドイツ語のサイトを運営していてドイツ人とオーストリア人の双方をターゲットと考えている場合、ジオターゲティングは使わないでください。同じことは単一言語のコンテンツがグローバルなユーザーをターゲットとしている場合にも当てはまります。たとえば、アメリカ人のスポーツブログは、理論的には米国在住のアメリカ人だけでなく海外で暮らすすべてのアメリカ人の興味の対象となるからです。
グローバルなトラフィックの取得に苦労しているなら、最初のステップの1つとしてインターナショナルターゲティングの確認をおすすめします。
多くのWebサイトでは、従来のccTLD、サブドメイン、ディレクトリの代わりに、スプラッシュページを使ったり、ジェネリックトップレベルドメインをグローバル化したりしています。UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)の例です。ユーザーは最初に「ups.com」にアクセスした際、国と言語の選択を求められます。
グローバルサイトにおいて手軽で簡単な実装のように思えるかもしれませんが、実はSEOの観点からするとデメリットがあります。国が異なるとルールや規定、価格が異なるのでビジネスによっては重要な点です。しかし、ページがどの言語や地域をターゲットとしているのか、ということについてURLの構造からは検索エンジンやユーザーになにも伝わりません。
さらにスプラッシュページに表示できるコンテンツは限られているため、検索エンジンがスプラッシュページからサイトの内容を判断するのは大変です。スプラッシュページではユーザーが余分な操作をしなければならないので直帰率が上がってしまう場合もあり、検索エンジンの評価も悪化します。
これらの課題がUPSにとってさほど問題にならないのは、UPSがあれほどの巨大ブランドだからです。しかし世界最大の貨物配送会社を運営していないのなら、従来のccTLD、サブドメイン、ディレクトリを使う方法のうちの1つにしたほうがうまくいくでしょう。
Googleでは検索に使われたキーワードの言語、つまり英語のキーワードに対しては英語のページ、スペイン語のキーワードに対してはスペイン語のページが表示されます。当たり前のように思えるかもしれませんが、内部SEO、さらにキーワード検索の管理にとても大きな影響を及ぼします。
多言語に通じていないなら、現地語でキーワード検索を管理し、場合によっては内部要素を作成してくれる現地のSEOのエキスパートを検討するとよいでしょう。Google翻訳など無料の翻訳プラットホームはたくさんありますが、話し言葉や熟語となるとうまく訳せないこともしばしばです。予算が限られているなら、もっとも重要なページを現地の翻訳者に翻訳してもらい、サイトの残りの部分は翻訳などのソフトウェアを使うことを検討してください。
結局のところ、ターゲットとするのに本当の意味で正確なキーワードリストを取得するには、ターゲット国の現地語(複数の場合もある)に堪能な、たぶんネイティブのユーザーにキーワード検索をしてもらうことが必要なのです。
多言語・多地域対応のWebサイトを運営しているとトラブルが起きる場合が少なくありません。グローバルなデジタルマーケティングの大部分では、ユーザーの国や言語に基づいて、適切なユーザーに適切なコンテンツを確実に表示することに焦点が当てられます。この目的を達成するには内部・外部SEOの課題をいくつも克服しなければなりません。幸い、もっとも一般的なインターナショナルSEOの課題には解決策があるので、あらゆるターゲットユーザーに対して運営しているサイトがすぐに検索上位に表示されるでしょう。
※本記事はWooRankのSEOシリーズの1つです。SitePointでの記事公開に協力してくれたパートナーへのサポートに感謝します。
(原文:International SEO: Solving Common Issues)
Web Professionalトップへ
ビジネス
2024年12月14日、BacklogのユーザーグループであるJBUG(Japan Backlog User Group)は「Backlog World 2024 in YOKOHAMA」を開催した。Webプロジェクト、イベント運営、新規事業、オンボーディング、ミーティング、ワークスペース統合など多種多様なBacklog活用事例が披露された。
WebPro
2024年10月9日、プライム・ストラテジーはセキュリティに特化したWeb運用環境として「 KUSANAGI Security Edition」を発表した。
さくらインターネットは、「さくらのレンタルサーバ」の新機能として「新さくらのブログ」を提供開始した。
プライム・ストラテジーは、WordPress簡易脆弱性診断サービスを開始した。
クラウド
さくらインターネットとQTmediaは、行政専用ネットワークLGWAN「LGWAN対応自治体向けWebサイトホスティングサービス」の提供を2024年7月25日より提供開始した。事業者はLGWANに対応する環境を自ら構築することなく自治体のWebサイトを運営できるようになる。
プライム・ストラテジーは超高速CMS実行環境「KUSANAGI」のバージョンアップを発表。新バージョンでは複数のNginxのバージョンのインストールが可能となる。
プライム・ストラテジー 相原 知栄子 編集●大谷イビサ
UXデザイナー 瀧知惠美/ヤフー株式会社
大滝由子
森田哲生/Rockaku
ソウルドアウト株式会社
山下千尋/ウフル
ASCII.jp Web Professional