いつからコーヒーを淹れないとダメな体になってしまったのか。朝の眠気がひかないばかりかメールチェックをしても内容が頭に入ってこない。カフェイン依存のわたしにとってドリッパーと電気ケトルはもはや仕事道具だ。
2万円超えの高級トースター「BALMUDA The Toaster」で知られるバルミューダが電気ケトル「BALMUDA The Pot」を発売したというので、さっそく仕事道具として試用してみた。直販価格1万1880円。結論からいうと普通に良い。
静かにお湯をそそげる細口ノズルの電気ケトルで、容量は0.6リットル。1回にマグカップ約2杯分のお湯を沸かせる。消費電力1200W。サイズは幅269×奥行き128×高さ170mm、重量約0.6kg、コード長1.3m。
普段使っているラッセルホブスのカフェケトル「7410JP」(1.0リットル)と比べると、ラッセルホブスの「かっこいい、重厚、安定」という印象と正反対の「かわいい、軽量、ふんわり」という女性的な印象が残った。
まず注ぎ心地はいい。
ラッセルホブスは注ぎはじめにドプッと一気にお湯が出てしまうことがあったがそれがない。軽めの力でつーっとお湯を注げるのでうちの奥さんも使いやすそうにしていた。すばやくお湯も出せるので、カップめんなども作りやすい。
ただラッセルホブスも注ぎ心地は静かでドリップに不都合はなかったし、わたしのような素人はおそらく言われなければ気づかないほどの違いだ。
沸騰時間は600mlで約3分間、ラッセルホブスより10秒ほど早かったがほとんど同じ。沸騰音はラッセルホブスより小さくて比較的静かだ。
フタは樹脂製で熱くならず、取りはずしも軽いので便利だ。パッキン付きで若干の保温性もある。ラッセルホブスはフタがやけどするほど熱くなり、本体にフタをはめるとき異様に力がいるのが不満だったのでうれしい。一方、本体はマットな質感だがステンレス製でやけどするほど熱くなってしまうので注意が必要。
デザインは重厚感があったBALMUDA The Toasterとちがって愛らしい。
加熱中にグリップ部でむきだしのネオン管が光るとか、グリップ部分のシルエットが丸みを帯びてかわいいとか、実用性よりはポエムを感じるアートなデザイン。普段使いの道具というよりは、趣味のデザイン雑貨という印象が残った。
気になった点としては、台座に本体をセットしたとき左右にゆれがちなこと。熱いものを扱うのでやや不安だ。Facebookでフタの開閉について紹介したときは、「(フタの裏側に)ネジがむきだしで見えているのが残念」というようなコメントがあった。小さな点だがたしかにもったいない。質感は細部に宿る。
BALMUDA The Potで数杯目のコーヒーを淹れながら、まあ普通のおしゃれなコーヒーポットだなと感じた。注ぎ心地もいいし、デザインもかわいい。ちょっとかわいすぎる気もするがそこは趣味だと思うのでこれ以上言わない。
BALMUDA The Toasterとちがって革新性があるわけではないが、普通にいいコーヒーポットであることは間違いない。ラッセルホブスから買い換えようとは思わないが、電気ケトルを探している人にはいい選択肢になると思う。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味のカジメン。来年パパに進化する予定です。Facebookでおたより募集中。
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