IoTや地方創生、ワークスタイル、スマートシティなどのセッションも開催
イベントでは、その後IoT検定制度委員会、KDDI総合研究所、ITbook、慶應義塾大学などが、IoTや地方創生、ワークライフバランス、スマートシティなどさまざまなお題でセッションを展開した。各セッションのサマリをレポートする。
「いま求められるIoT人材とその育成方法とは?」(IoT検定制度委員会)
IoT検定制度委員会の事務局長を務める近森 満氏(サートプロ代表取締役)は、「IoTを支えるのは、やはり人。誰がやるのかが重要なテーマとなってくる」と語り、技術の総合格闘技であるIoTにおける人材育成の重要性を強調。また今までシステム開発は分業化していたが、IoT時代には他の技術の理解やノウハウは必要になってくると説明し、開発エンジニアのみならず、経営者や管理者、営業、プロジェクトマネージャーなど幅広い職種で、IoT検定が有効であるとアピールした。
「社会の変化に対応する顔の見えるテレワーク」(KDDI総合研究所)
登壇したKDDI総合研究所のイノベーションセンター大木 朱美氏は、人口減少や高齢化などの影響によって労働人口が大幅に減少し、潜在的な労働力率の高い女性の活用が必要になってくる社会情勢について説明。また、介護のために仕事を辞める介護離職も毎年10万人に上るという。これに対して、日本マイクロソフトや総務省、KDDIなどがテレワークを推進しており、KDDI総合研究所でもフルタイムテレワークを実施しているという。同社ではSkype For Businessで映像や音声を常時共有する形の在宅勤務を試験導入し、宅内の背景画像を除去するプラグインや使いやすいUIの改善などのトライアルを進めた。同社は今後もさまざまな就労形態に対応するための研究開発を進め、「先々は高齢者や子育て中のお母さん、学生さんなどで共同で仕事できるプラットフォームを作っていきたい」(大木氏)という。
「未来をつくるしごとをしよう」(ITbook みらい株式会社)
ITbookの執行役員の妹尾暁氏は、「IoT×地方創生がビジネスになるのか?」という疑問に対して、「なります。しないと地方は終わります」と、冒頭からショッキングな提言を投げかける。今後、人口が減少し、地方の産業がシュリンクしていく中、IoTを活用し、低コストで自動化・共働による付加価値を創出する共有型社会・共有型経済に移行しなければならない。2020年、1人あたり7つのIoTデバイスがつながるという予測から考え、IoTは生活に欠かせないインフラになり、行政サービスの提供やあり方が大きく変わっていくのが、妹尾氏の主張だ。これまでITbookでは行政や独立行政法人、民間企業に対してさまざまなコンサルティングを提供してきたが、こうした地方創生の流れを加速すべく、妹尾氏は新会社みらいを設立。社会課題を抱える行政と課題を解決する企業をマッチングさせるという。
「スマートシティ実現へ向けた都市情報産業の可能性と課題」(慶応義塾大学米澤 拓郎氏)
藤沢市のスマートシティ化に携わっている慶応義塾大学 米澤 拓郎氏は、スマートシティについて「都市状況の理解、予測(Awareness)」と「都市機能の変容と行動変容の促進(Responsiveness)という2つの機能を持つと説明。実世界のデータをIoTで収集し、分析によってデータを価値に変え、最終的には小売やサービスなどに活用していく「都市情報産業」への道筋を示した。米澤氏は世界各国で行なわれているスマートシティの取り組みを披露した後、市内を回る清掃車でデータを収集している神奈川県の藤沢市の事例について説明。収集したデータをAPIによってオープンデータ化することで、市民向けサービスの充実や既存産業の活性化に行かせる点をアピールした。
なお、当日のセッションの動画は以下のURLで配信中。
(提供:KT-NET事務局)