電子メモパッドの「Boogie Board」を初めて買ったのは、今から6年以上昔の2010年の正月だった。その後、日本ではキングジムが輸入代理店となり、今までずっと継続しているこの業界では珍しい長寿商品だ。
その間、いくつかの新しいテクノロジーやデザインを採用した新モデルが登場し、そのうちいくつかは今も残っている。シンプル大好きな筆者は、その初代から現在までのすべてのモデルを持っていると思っている。
そんなある日、いつものようにアマゾンを徘徊していて、Boogie Boardそっくりなイメージだがどこにも見慣れたBoogie Boardロゴの見えない怪しいプロダクトを発見したので衝動買してみた。
12インチ(?)の大画面となった
「LCD Writing Tablet iQbe」
商品名は「LCD Writing Tablet iQbe」(以下、iQbe)。ミーハーでカラフル大好きな筆者は、フレーム外郭が何色か用意されている中から派手なオレンジカラーのiQbeを購入した。
スタイラスはBoogie Boardの最新製品と同様、下辺にホールドするタイプ
従来のBoogie Board系では考えられなかったスクリーン磨き布とストラップが付属している。サイズはウェブ上では、12インチ大画面と記述されていたが、LCD画面もスマホやタブレットと同じように表示画面の対角線がサイズ表示を現すのであれば、このiQbeを実測すると11.5インチで、見た目も12インチはない感じだ。
しかし、筆者が持っているすべての純正Boogie Boardを含めても、今回の衝動買い商品が最大サイズであることだけは間違いない。
中国のショッピングサイト「Alibaba」などでは見かけることはあっても、同様サイズのBoogie Boardがご本家のiMPROV electronicsから“Boogie Board”ブランドでは発売されていないことから、限定市場向けのOEM商品なのか、元々製造を受け持っていた中国製で、Boogie Boardブランドを掲げない商品なのかは不明だ。
イレースボタンのアイコンもBoogie Boardのそれとは違っている
「SMART AS ALWAYS BE」というメッセージワードを従えたiQbe
使わないときのスタイラスのホールド方法などはご本家の新しいデザインと類似しており、実際の筆記感覚もまったく差がない。一方で、背面には意外と便利な定規機能を搭載してみたり、消去ボタンのアイコンも従来とは異なっている。
どこまで行っても、筆者は2010年発売の初代Boogie Boardが大好きなのは変わらないが、iQbeのスペックや実際の使用感は決して悪くない。
Boogie Board系のLED(Kent Diplay製)はまだまだ進化の途中なのか、製品の発売時期やモデルなどによって、その筆記跡のカラーが大きく異る。
2010年の登場当初は黒い画面に明るいグレー色の筆記跡が特徴だったが、その後、イエロー系になったり、ブルー系になったり、最新ではグリーン系の蛍光イメージが強い感じもある。
日本市場ではなぜか見当たらなくなった「Boogie Board Jot」(左)と、今回のiQbe、Boogie Boardロゴ製品では最新の「Boogie Board Jot 8.5」(右)。みんな微妙に筆記後の色が違う
Boogie Board Jot 8.5(右)に比べて大きなスクリーンのiQbe(左)だが、実測では12インチはなく、実測では11.5インチだった
今回のiQbeは、少しブルー系のグレーに感じる。ほぼ同世代の「Boogie Board Jot 8.5」とiQbeを比べると、画面サイズの違いが3インチほどあるが、その体感スペックは極めて類似している。
多くの人が実際の筆記に使用する確率の高いA4コピー用紙サイズと、米国人大好きのリーガルパッドの標準サイズと比較してみると、iQbe(自称12インチ)とBoogie Board Jot 8.5のサイズ感覚はよくわかるだろう。
iQbeはスクリーンの端までしっかり筆記すれば、かなりA4紙やリーガルパッドサイズに近い。
サイズはその通りだが、特殊なタッチ式LCDは、基本的に筆跡が太く、細かな字をたくさん描けないのも特徴だ。
Boogie Board(左)と「Boogie Board Sync」(右)。前者はUSBケーブルでPCと接続でき、データ保管を可能にしたが、後者はBluetoothでスマホ接続やクラウド転送を実現し、細かな字もかけるLCDを採用。最も高機能高価だが、最も使いみちの少なかった
3年ほど前に登場した「Boogie Board Sync 9.7」という、大画面サイズでスマホを介してクラウド連携を実現した多機能なBoogie Boardは、同時に細かな文字が書けるのを特徴としてビジネスエリアへの拡大を狙った商品だった。
しかし、細かな文字を可能にした一方で、細い筆跡はパッシブ式LCDスクリーンのスペックが災いし、暗い見づらい画面が短所となってしまった。
筆者も、iMPROV electronicsも同じように、市場の声とネットワーク環境の変化、基本テクノロジー変遷の間で悩んできた傾向はあるが、どうもこのKent DisplayによるLCDにはさまざまな使用環境条件があるようだ。
結局のところ、スマホなどが採用している最新のネットワークテクノロジーを採用してクラウド共有などを考えるには、多少マッチしない特殊な性格のモノなのかもしれない。

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