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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第161回

Apple Watch登場でも揺るがないウェアラブルデバイスの王者、Fitbitの中核はヘルスケアにある

2016年10月14日 15時30分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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Fitbitのデバイスが企業のヘルスケア支出を抑える?

 10月に入り、FitbitはFitbitと健康の関係を示す調査結果を発表した。2社の従業員866人に3年間Fitbitを使い続けてもらい、健康に関するデータと治療費と薬代の請求を収集したところ、使い始めて2年目で、会社がカバーするヘルスケアのコストは25%も下がったという。一人当たり1300ドルの節約になったとのことだ。

 これとは別にある会社では、医療費を自己負担にする際に従業員のFitbit購入に助成金を出した。2年でヘルスケアコストを15%削減できただけでなく、参加者のコレステロール値は12%、血糖値は17%改善したという。なおこの会社は米国のバス会社で、座りっぱなしの運転手に多く参加してもらったようだ。

 日本と米国とでは、フィットネスの必要がある人の数や、国民皆保険が浸透していないなど事情が異なることもあり、このようなニーズは他国ではそのまま当てはまらないかもしれない。また医療や健康に関する情報共有は国により規制が異なる。だが少なくとも米国では会社、あるいはジムやヘルスケアセンターが配布するようなシナリオがうまくいけば、潜在性の高い市場が開けそうだ。

 Park氏は「Fitbitは人々をヘルシーにする」と述べる。2015年秋に同社訪問時に見せてくれたサービス戦略の上のスライドが示すように、ハードウェアは入り口であり、その後巨大市場であるヘルスケア市場につなげていくのがFitbitの戦略だろう。フィットネスバンドそのものは、Apple Watchはじめスマートウォッチに入れ替わっていく可能性は十分ある。それまでに、データを活用したサービスでどこまで地位を確立しておくかが自社の運命を分けると考えているのかもしれない。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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