今回は「アプリ」と「検索」にまつわるお話です。
「アプリ」「検索」―この2語から何を想像しますか?
「アプリ」を「検索」するというと、Google Play StoreやApple App Store内での検索を思い浮かべる方が多いかもしれません。「そもそも、アプリってGoogle Play StoreやApple App Storeで検索するものじゃないの?」と思っている人も多いのではないでしょうか。
今回取り上げたいのは、ストア内検索ではなく「Web検索からのアプリ検索」についてです。実は意外と侮れないそのニーズと、実際のユーザーの検索傾向について、D2Cの調査データや、D2C広告掲載面である「dメニュー」の検索データなどを用いて解説していきます。
スマホのWeb検索における「アプリが欲しい」ニーズ
世の中では日々、膨大な数のキーワード検索がなされています。その中でもスマートフォン経由の検索数は、昨年PC経由検索数を超え、Googleがモバイルファーストに沿ったUIアップデートを発表するなど、検索の主戦場はすでにスマホに移行した感があります。
PC検索と比較して、スマホ検索で特徴的なのは、アプリ検索のニーズです。Google・Yahoo!はもちろんNTTドコモの「dメニュー」でも、Web検索結果内に(キーワードに応じて発動する)アプリ検索に特化した領域が挿入されています。「検索→ストアに遷移→ダウンロード」という一連の流れを検索結果UIで提供し、スマートフォンのWeb検索ニーズ内にあるアプリ検索のニーズに対応しています。
続いて、実際のユーザーニーズを示すデータを2つご紹介します。
1つ目は、アプリ開発者向けにASOツールを提供する米・SearchmanとD2Cの共同調査によるデータで、アプリストア(Google Play Store/Apple App Store) のオートコンプリート(検索窓のサジェスト)に表示されるキーワード群と、D2C広告掲載面である「dメニュー」検索で発生した検索クエリ群(上位群を抜粋)の重複を示したものです。アプリストアでサジェストされるワード群は、アプリ検索ニーズのあるキーワードの集合体であるわけですが、「dメニュー」検索全体の約2~3割のキーワードが、それらと重複することがわかりました。
具体的には、
- 「ユニークキーワード数ベース」で約30%
- 「検索回数ベース」で約20%
であり、軸をどちらで見るかによって割合は上下しますが、ユーザーをアプリのダウンロードに導く可能性のあるキーワード群は、数多ある検索キーワードの中でも一定の割合を占めているといえます。
また、「dメニュー」検索利用者を対象とした最新のD2Cの調査では、「dメニュー」での検索をきっかけとした行動経験として「アプリのダウンロード」が最も多い、という結果が出ています。ワード群としてのボリューム感に加え、実際のユーザー動態としても、スマホでの検索はアプリのダウンロードに結びつきやすい、ということがわかります。
アプリに関する検索傾向を覗いてみよう
続いて、Web検索で実際どのようなアプリニーズが検索さているのかを見てみましょう。今回は、2つの視点での検索傾向を見たいと思います。
- 「アプリ」を含むキーワード検索
検索キーワードにずばり「アプリ」が含まれているもの。「明確なアプリが欲しいわけではないが、何らかのアプリは欲しい」ニーズを示している…、のでしょうか? - 具体的なアプリ名でのキーワード検索
既に目的のアプリが定まっている状態の検索キーワード。「モンスト」などのゲームタイトルをイメージしていただければわかりやすいかと思います。
「スシロー」⇔「スシロー アプリ」に見る「アプリ特有のニーズ」
「アプリ」を含むキーワード検索の傾向から見ます。ずばり「アプリ」というキーワードは、どんなワードと一緒に検索されているのでしょうか。2016年8月の実績から上位ワードを覗いてみると、以下の傾向に分類できます。
仮説として挙げた「明確なアプリが欲しいわけではない」ニーズを超えて、「固有名詞+アプリ」という検索ニーズが幅広く存在していることがわかりました。特に、Webサービスと同時展開している「ヤフー」「アマゾン」「ユーチューブ」のようなワードや、実店舗を示す「スシロー」「ユニクロ」などのワードとの掛け合わせは、よりピンポイントに『「このサービス」の「アプリ」を使いたい』という明確なユーザーニーズを表しています。
「実店舗名+アプリ」の検索ボリュームは、いかに店舗(企業)側がユーザーニーズを汲んだアプリを提供できているか、を示しています。
例えば前述した「スシロー」と「アプリ」の掛け合わせキーワードは、単体ワードと比較して約13%の検索ボリュームとなっています。これは、他の実店舗キーワード群と比較すると高い数値です。店舗で順番待ちをせずに予約ができるなど、顧客に寄り添ったアプリ利用特有のニーズを生み出していることが検索傾向からも読み取れます。他にも、お得度の高いクーポン配信をしている「丸亀製麺」や「ガスト」のアプリが同等の割合でアプリ志向の検索を生んでいます。
表1:B.のアプリの用途・カテゴリを表すワードとの掛け合わせでは、「カメラ」「写真加工」「家計簿」などのキーワードでは「アプリ」との掛け合わせが単体での検索をしのぐボリュームである一方、以前よりWebベースのサービスが普及している「天気予報」「乗り換え案内」などは、アプリ特化のニーズが比較的薄いようです。前述のワード群は「アプリ」での利用イメージが明確になっているからかもしれません。
Pokemon GOがモンストのユーザーを奪った?
続いて、具体的なアプリ名でのキーワード検索についてです。昨今の人気ゲームタイトル(ここでは私の独断と偏見で、「モンスターストライク」「パズル&ドラゴンズ」「Pokemon GO」「白猫プロジェクト」をピックアップします)の検索数推移と、各タイトル名と一緒に検索されているキーワード群を見ていきます。
検索数の推移から、やはり2016年一番の大事件は、「Pokemon GO」の配信開始だったと言えるでしょう。もともと「ポケモン」というコンテンツ自体には一定の検索ボリュームがあったものの、「Pokemon GO」配信開始前からの各メディアなどでの報道も手伝い、7月の1か月で急速に検索数を伸ばし、他タイトルを抜き去りました。「Pokemon GO」の登場まで、ゲームタイトルの検索数では「モンスト」が長らく首位を保ってきましたが、「Pokemon GO」の配信開始以降は検索数に落ち込みが見られ、8月の実績では「ポケモン」と「モンスト」が検索数としてはほぼ横並び、という状況になっています。あくまで検索数上の推移でしかありませんが、「Pokemon GO」の登場により、これまで「モンスト」をプレイしていたユーザーが一部離反した可能性も考えられます。
ポケモン、LINEに残る「ユーザーの伸びしろ」
続いて、掛け合わせキーワードの傾向です。上記のゲームタイトルに加え、「LINE」や「メルカリ」などの非ゲームアプリについても言及します。それぞれ、どんなキーワードと一緒に検索されているのでしょうか。
既に多くのプレイヤーがついている「モンスト」と登場したばかりの「Pokemon GO」を比較すると、前者は攻略やイベント情報の取得ニーズが数多く検索されており、キーワードのバリエーションも多数発生しています。一方後者で目立つのは「ダウンロード」というそもそもアプリを入手していないユーザーのニーズや「遊び方」などの初心者のニーズからの検索です。国内ではすでに息切れ感も伝えられている「Pokemon GO」ですが、dメニュー検索ユーザーにおいては、まだまだプレイヤー増の伸びしろがありそうです。
「ダウンロード」というキーワードは、「LINE」との組み合わせでも頻出しています。すでに国内で6800万人が利用(資料PDFダウンロード)しており、生活インフラとして定着した感のあるLINEでも、ユーザーの検索ニーズが少なからず存在しているのには驚きです。
「LINE」や「メルカリ」など非ゲームの実用系アプリでは、サービスの使い方にフォーカスした検索が発生しているのも特徴的です。ことLINEは、利用数が多いこともあり、使い方に関する掛け合わせ検索(引き継ぎ、ブロック等)がバリエーション豊富に発生しています。
まとめ
では実際に、アプリプロモーションにWeb検索をどのように生かしていけばよいのでしょうか。もっとも簡単なのは、Google Adwordsやユニバーサルアプリキャンペーン、Yahoo!スポンサードサーチのアプリ用キャンペーンを利用することでしょう。これらの商品を利用することにより、主要な検索ポータルでのキーワード検索に対してアプローチが可能になります。(D2Cでもアプリ訴求に特化したプロダクトを準備中ですが、そのご案内はまた次の機会に…!)
今回は、Web検索の中にあるアプリを求める検索ニーズについて、いくつかの切り口で分析をしてきました。長々と話しましたが、今日伝えたいことは一つだけです。
アプリ検索のニーズはストア内検索のみにあらず!
この記事が、アプリプロモーションに携わる人に少しでもお役に立てれば幸いです。
(記事提供:D2Cスマイル)