数年前、高嶺の花だった10Gbps Ethernet(10GbE)が一気に低価格化し、スモールビジネスでも導入の時期に入ってきた。3年前から10GbEスイッチを市場に展開してきたネットギアのスイッチラインナップを見ていこう。
L3相当のスマートスイッチとアンマネージプラス・スイッチ
豊富なスイッチラインナップを誇るネットギア。このうち10GbEスイッチは「スマートスイッチ」と「アンマネージプラス・スイッチ」に大別される。
スマートスイッチは「L2+」と呼ばれるカテゴリで、レイヤー2のVLAN、STP、SNMP、プロテクトポート、IEEE802.1x、LACPなどのレイヤー2の機能に加え、VLAN間ルーティング、IPv4/v6対応のスタティックルーティング、L2/3/4のヘッダー情報に基づいたACLやQoSなど充実したレイヤー3の機能を搭載する。つまり、LAN内で必要なサブネットのルーティングやフィルタリングは高価なL3スイッチなしに、すべてスマートスイッチで担えるわけだ。さらに設定はWebブラウザベースのツールから行なえるため、情シス部門の管理者が自ら設定・運用可能だ。
現在のラインナップは10GBASE-T×8、SFP+スロット×2の「XS708T」、10GBASE-T×16、SFP+スロット×2の「XS716T」、10GBASE-T×24、SFP+スロット×4の「XS728T」、10GBASE-T×44、SFP+スロット×4の「XS748T」の4機種になる。
一方、アンマネージプラス・スイッチは、いわゆる一般的なL2スイッチにあたり、VLAN、QoS、IGMPスヌーピング、ループ検知、ポートミラーリングなどの機能を有する。もちろん、リンクアグリゲーションをサポートしているため、複数の10GbEのリンクを束ね、広帯域のビッグパイプを構築することも可能だ。スマートスイッチに搭載していないループ検知機能を持っているほか、Webブラウザでの設定に加え、Windows版の専用ツールが用意される。
こちらはベストセラー機である8ポートモデルの「XS708E」がハードウェアリフレッシュされてラインナップされているほか、16ポートモデルの「XS716E」が新たに加わっている。
全機種ライフタイム保証を持っており、販売終了しても後継機種で保守が受けられるため、長年に渡って使うことができるのが大きなメリット。
ファイルサーバーや仮想化環境で10GbE化は必須
10GbEスイッチが想定する用途は、中小・中堅企業のネットワークのコアスイッチやアグリゲーションスイッチだ。たとえば、デザイン事務所のように人数は少ないけど、大容量のデータを扱うといったオフィスで、10Gbps対応のReadyNASと組み合わせて使うのが一般的だという。とはいえ、一般企業でもクライアントPCがギガビット化したことで、ファイルサーバー・NASも10Gbps化が必須となっており、今後IEEE802.11acで無線までギガビット化してくると見られる。そのため、上流のネットワークの10GbEが不可避となるはずだ。
また、ネットギアのReadyNAS上にデータを配置した仮想サーバーでvMotionを行なう環境を構築するのにも、10GbEの大容量ネットワークが必要になる。そのため、少ないポート数で仮想サーバーを集約するのに、ネットギアのスイッチは最適な選択肢になる。
同社が米国・欧州で行なった調査では、すでに3割以上の企業が10GbEを導入済みで、来年度中には7割が導入意向を持っているという。一方の日本ではまだまだ「10GbEは高い」というイメージがあり、導入はまだまだ。しかし、10GbE対応のサーバーやNASが増え、スイッチの低価格化が進んできた現在、いよいよ導入期に差し掛かっているといえる。
こうした市場動向の中、ネットギアはグローバルシェアの高さとライフタイム保証、そして優れた品質で他社と大きく差別化できるという。「SMB向けの10GbEスイッチでは、グローバルでも90%以上のシェア。3年前に製品を導入し、ハードウェアも世代交代しており、実績も多数ある。しかも人材が豊富なシリコンバレーで製品を開発しており、半導体メーカーと初期段階から共同で開発している。そのため、いち早く安価で、品質の高い製品をお届けできる」とネットギアジャパンの曽利雅樹氏は語る。