新しいマーケティングキャンペーンを開始するとき、どのようなチャネルであっても、状況をしっかりと把握してから始める必要があります。競合相手がどこまでコンテンツマーケティングに力を入れているのかを調査するのもその一環です。競合調査にはとんでもない時間と労力がかかりますが、マーケットでの立ち位置の決め方、迅速かつ簡単に競合より優位に立つためにはどうしたらよいかといった重要な洞察が得られます。
コンテンツマーケティングでは、専門家を呼んで他社のビジネス戦略や優位性を学ぶ必要はありません。注意深く調査することで、利益につながるコンテンツマーケティングが見えてきます。
競合のコンテンツの見つけ方
コンテンツマーケティングの競合調査の第一段階は、競合のコンテンツを見つけることです。もし競合サイトの規模が大きく複雑な場合、さまざまな場所にたくさんのコンテンツが点在しているので、大変な作業になりますが、隅から隅までくまなく調べます。
Webサイトのナビゲーションの確認から始めます。コンテンツを具体的に示しているリンクがあるかを、各オプションからサブメニューがあるかどうかも見ます。以下を確認します。
- 会社概要:社歴や製品、サービスの詳細を記載している会社もある。またニュースページやプレスリリースのコンテンツも確認する
- 学習センター:学習センターやトレーニング教材などはコンテンツが豊富で、Webサイトのエバーグリーンコンテンツ(evergreen content)を探すのにうってつけの場所だ。エバーグリーンコンテンツとは信頼できる詳細な情報で、長い期間にわたって適切なコンテンツであり続けてくれる理想的なコンテンツのこと
- ブログ:コンテンツを一覧にするには便利な場所になる。Webサイトの多くが違うタイプのコンテンツ用に複数のブログを用意している。たとえば、1つはニッチな話題の投稿用に、もう1つは会社や商品に関するニュース用とする。二度、三度と確認して、見落としのないようにする
- ウェビナー:コンテンツマーケティングはテキストに留まらず、ウェビナーやビデオなど、トランスクリプトつきの音声やビジュアルコンテンツは、WebサイトのSEOに効果があり、ブランド認知、製品の特徴、ソートリーダーシップ(thought leadership)を高める
最後に、ページ下のナビゲーションも確認します。大抵ここに、見つけにくいコンテンツやホームページから2、3回のクリックでたどり着くコンテンツへのリンクがあります。Webサイトが大規模であるほど、ページ下のナビゲーションに重要なコンテンツがよくあります。
WooRankのwebsite auditで自分のサイトと競合サイトを3つまで分析できます。似たようなコンテンツの他社サイトを発見するのに役立つ関連サイトなど、有益な情報が得られます。
またDeepCrawlやScreaming Frogなどのツールを使って、競合サイトを調べる方法もあります。これらのツールはWebサイトをクロールして、タイトルタグ、メタ情報、H1ヘッダー、画像の代替テキストなどの重要なページ情報に沿って全URLをリスト化します。この情報はあとで調査するときにかなり役立ちます。
クローラーを使っていなければ、自分で競合のページとコンテンツをスプレッドシートに入れます。URL、タイトルタグ、記事タイトル、カテゴリー、トピック、コンテンツタイプ(ブログ投稿、白書、製品特徴のページなど)、公開日を入力します。
コンテンツ監査
競合のコンテンツすべてを一覧にするという、長くて骨の折れる作業ができたら、やっと本題のコンテンツ監査を始めます。競合サイトは誰をターゲットとして、なにをしているのか、またうまくいっている場合、彼らに追いつくにはなにをすればよいのかを明らかにする作業です。
競合サイトのターゲットキーワードはなにか?
コンテンツマーケティングには通常2つの目標があります。オーガニック検索結果で自社サイトを高順位に入れることと、Webサイトの訪問者をコンバージョンさせることです。この目標を達成するのに有効なコンテンツ能力は、使用するキーワードと、そのキーワードのためにページを最適化することで決まります。競合サイトがどう対応しているかを把握することが、コンテンツ監査の第一段階です。
競合サイトの有効なコンテンツリストをまとめたら、各ページを見ていきます。ページで使われているワードやフレーズに注目してターゲットキーワードを見極めます。
- タイトルタグ
- URL構造
- H1タグ
- 記事タイトル
- 画像の代替テキスト
- 内部・外部リンクのアンカーテキスト
- キーワードの整合性(ページの各要素でキーワードが使われている頻度)
コンテンツ監査はその性質上労力がかかりますが、DeepCrawlやScreaming Frogなどのツールをまだ試してなければ、少し自動化できるので利用してみてください。Webサイトをクロールしたら、URL一覧をスプレッドシートにエクスポートして、上に列記したようなタイトルタグ、H1タグなどのページ要素の重要情報が得られます。ページコンテンツの各URLは自分で評価しなければなりませんが、それでも時間と労力を節約できます。
競合サイトのターゲットキーワードを探すのにWooRankのAdvanced ReviewにあるKeyword Cloudも使えます。
スプレッドシートに各ページ要素で使われているキーワードを入力します。そしてそれらのキーワードで簡易検索します。競合の順位はどの位か、自分の順位は何位ぐらいか、競合相手は自分より上にランクインしてるか、などを調べます。
ライバルがターゲットにしているキーワードを特定したら、WooRankのSERP Checkerで自分自身がターゲットにしているキーワードの追跡を続けます。SERP Checkerはとても優れており、コンテンツマーケティングキャンペーンの有効性を測れます。キーワードでの順位を時間ごとに監視し、競合サイト(最大3つ)と比較します。
コンテンツ調査
コンテンツ監査の第二段階は競合サイトのコンテンツ調査です。コンテンツ調査をすると競合のコンテンツ戦略の全体像がつかめ、自分と比較できます。以下は競合のコンテンツ調査で評価する4項目です。
- コンテンツの質:競合サイトの各コンテンツアセットタイプの分量。山ほどのブログを投稿しているか、ホワイトペーパーやウェビナー、ebookはどのような内容か、将来のコンテンツに影響を与え得る大きなコンテンツライブラリーはあるか、などを評価する
- 公開頻度:各タイプで新しいコンテンツを作成する基本的な頻度。ブログは毎日か、1日に複数回か、数日に1回か、週に1回かなどを評価する。特に、競合が鮮度が長持ちするエバーグリーンコンテンツを作成している場合などは、コンテンツに日付があるとは限らない
- 取り上げるトピック:各トピックごとの公開コンテンツの回数。ここでの眼目は、競合がどのトピックをソートリーダーにしたいのかと考え、高順位を狙っているのか解明すること。できるだけ緻密な調査が必要。この情報は、競合のコンテンツで弱い分野を見つけるのに役立ち、優位に立つチャンスになる
- エンゲージメント:一般的にユーザーは役に立ったり、価値があると思うコンテンツに興味を持ち、シェアする傾向がある。競合のコンテンツにコメント欄がある場合は確認する。ほかよりもエンゲージメントを高めるようなコンテンツやトピックの特徴はあるかどうかも評価する
- リンク:優れたコンテンツを作るメリットのひとつは、自然にリンクされること。被リンクがもっとも多いコンテンツタイプが分かれば、トピックやコンテンツタイプを探すときに参考になる。競合サイトのもっとも被リンクの多いコンテンツを探し出す、Majesticという便利なツールがある
このデータ分析は、競合の優位性だけでなく、コンテンツ戦略の弱点も明らかにしてくれます。特定のテーマのコンテンツが手薄なら、深みのある記事で競合との差を埋められます。反対に、あるタイプのコンテンツで読者の反響が大きければ、コンテンツマーケティングの重点をそのタイプに移すことを検討します。
コンテンツ評価
コンテンツ監査の第三段階はコンテンツの質を見極めるという、もっとも本質的で、人によってはもっとも苦手とする作業です。まず質の客観的尺度は以下のようになります。
- スペル、文法、句読点の誤りはないか
- 最新かつ正確な情報が掲載されているか
- 自然な文章になっているか。ネイティブスピーカーが書いた文章のように読めるか
- 筋の通った文脈でキーワードが使われているか。不自然でスパムのような文脈になっていないか
次に読者にとってのコンテンツの価値を評価します。一番良いコンテンツは信頼できる、包括的なものです。コンテンツに深みがあるか、あるいは表面的なものにすぎないか判断してください。また特別な情報や見解を提供しているかも見てください。なにも新しい情報がないコンテンツはユーザーにとってもSEO的観点からもあまり価値はありません。各記事の良い点、読みやすく最後まで読めるか、興味深く書かれているか、読んでいて楽しいか、退屈か、などについても評価します。
コンテンツの質を測る方法としてソーシャルメディアのシェアも評価します。質が低かったり伝える価値のないコンテンツはシェアされません。BuzzSumoなどのツールを使って、Facebook、LinkedIn、Twitter、Google+などもっとも人気のあるソーシャルメディアプラットホームのシェアを追跡します。競合のドメインやサブドメインをそのまま検索し、どの記事がソーシャルメディアでもっともシェアされているか確認します。
競合調査を応用しよう
競合サイトのコンテンツを見つけて監査したら、最後にその結果を生かして自身のコンテンツ戦略に応用します。コンテンツ監査で明らかになった競合との差を埋めるコンテンツを計画することから始めます。
たとえば、スポーツ道具の小売り業者が、同業の競合調査をしているとします。コンテンツ調査で商品案内10件、ショッピングガイド10件、プレスリリース15件、ブログが1営業日につき1回の頻度で投稿数が250件だったとします。トピックはサッカー、フットボール、バスケットボール、野球、ランニングがほぼ同じ割合で取り上げられ、すべて用品などを販売しているカテゴリーです。またラクロス、ホッケー、水泳、ロッククライミングでもそれぞれ1件か2件のブログ投稿していますが、わずか200~300ワードほどと内容的が乏しく、めったに投稿されていません。こうした点が、対策を打てる、競合のコンテンツ戦略における差異です。
競合のコンテンツからヒントを得て、競合をやっつけましょう。内容が薄いコンテンツや期限切れになっている古いコンテンツを探し出し、改善します。
- 更新する:しばらく前に公開されたコンテンツが時代遅れになっていたら、更新する良い機会。古いコンテンツは、商品スペック、産業ニュースや練習方法などの新しい関連情報にリフレッシュする。リンク切れは自社サイト上の新しいページに完全に張り替える
- 充実する:詳細や情報源のない中身の薄いコンテンツを見つけたら、例を挙げたり、文脈や背景がわかる情報源にリンクして各ポイントを充実させる。一覧を扱っているなら、エントリーの数を2倍か3倍になるまで改善する
- デザインを変更:コンテンツを更新したり増やしたりしたあとは、見た目もよくする。デザインの良いページは見るのが楽しいだけでなく読みやすいものだ。商品イメージやスクリーンショットなどの関連画像を追加する。よりシェアされやすくなるよう、項目別一覧をインフォグラフィックに変えることも検討する
このプロセスは定期的に実施します。世間一般では、四半期ごとに競合を監査するよう言われていますが、競合のアウトプットに合わせて実施するのがいいでしょう。競合が頻繁に投稿しているようであれば、もっと頻繁に分析する必要があります。最後に、競合サイトの一語一句を真似しないよう気を付けてださい。競合サイトにとって有効なことが必ずしも自分にあてはまるとは限らないし、コピーするとSEOでペナルティとなる重複コンテンツと見なされる羽目になります。競合調査のポイントは、自身のコンテンツマーケティング戦略を改良して、競合と差別化し、検索結果の順位を上げることです。
※本記事はWooRankのSEOシリーズの1つです。SitePointでの記事公開に協力してくれたパートナーへのサポートに感謝します。
(原文:Improving Your Content Marketing with Competitive Research)
[翻訳:和田麻紀子/編集:Livit]