ビジネスリーダーを対象とした「Microsoft Foresight」2日目基調講演レポート
“重厚長大”な三井住友銀が「デジタル変革の旅路」を語る
2016年09月08日 07時00分更新
顧客との関係もデジタル変革、さらにパブリッククラウドの積極的活用も
谷崎氏はまた、ワークスタイル変革という行内での取り組みの次のステップとして、「『お客様との関係』に、どれだけデジタルトランスフォーメーションの流れを取り入れられるかが勝負になるのではないか」と考えていると語る。平野氏が上げた「お客様とつながる」の取り組みだ。
「たとえば法人営業の現場。現在は、お客様の要望をうかがったら、いったん行内に持ち帰って、いろんなセクションと打ち合わせをしたうえでお客様に提示する。これだと、提示できるまでに1日、2日とかかってしまう。コミュニケーションツールがどんどん進化すれば、客先ですぐに行内の専門部署を交えた話し合いができ、その場でパッと提示もできるようになる」(谷崎氏)
谷崎氏は、現在は行内のコミュニケーションに活用している「Skype for Business」を顧客コミュニケーションにも活用したいと語った。コミュニケーションにおいては特に「リアルタイム性」と「効率性」を重視しており、それらを実現できるチャットやWeb会議なども活用して、「お客様とつながる」をさらに進化させていく考えだという。
「たとえば当行では『住宅ローン事前審査アプリ』を開発した。これを使ってタブレット端末から申し込んでいただければ、15分でローン事前審査の回答メールが返ってくる。これまでは回答までに何日も待っていただいていたが、まったく無駄でしかない。このように、社内だけでなくお客様との間でも、コミュニケーションのリアルタイム性と効率性をどんどん追及していかなければならない」(谷崎氏)
もう1つ、谷崎氏は“第4次産業革命”とも言われる大きな変化の流れを受けて、パブリッククラウドの積極的な活用も考えていると語った。前述した今年5月のOffice 365採用発表の際には、併せて「Microsoft Azure」の採用も明らかにしている(ただし、具体的にどのようなシステムをクラウド移行する/したかについては言及していない)。
「金融機関という性格上、基幹システムの勘定データなどをパブリッククラウドに載せることは難しい。しかし、その一方で、金融機関と言えども一般企業と同じように、パブリッククラウドが持つ数多くのメリットは享受したいと考えている。どこまでをクラウド移行すべきかという議論はあるにせよ、そのメリットをまったく享受せず、放置するというのではもったいない」(谷崎氏)
加えて谷崎氏は、新しい金融サービス、新しい営業スタイルを顧客に提供することを目的として、クラウドに限らず新しいテクノロジーを貪欲に吸収していくスタンスが必要になっていることを指摘した。
「“デジタル”という言葉が経営のキーワードになっているように、テクノロジーはどんどん進化し続ける。われわれもそれに追いついていかなければ取り残される」「われわれ自身は、まだ“デジタルトランスフォーメーションジャーニー(デジタル変革の旅路)”という道のりの途中だと考えており、まだまだやらなければいけないことはたくさんあると考えている」(谷崎氏)