今回は、グーグルより昨年リリースされ、今年5月に開催されたGoogle I/Oでも話題の中心だったPWA(Progressive Web Apps)についてまとめます。
PWAとは?
PWA(Progressive Web Apps)はグーグルがモバイルユーザーのユーザー体験向上を目的とし、今までのWebアプリ(サービス)にWebとアプリの両方の利点を兼ね備えた仕組みのことです。
詳しい仕様は、グーグルのPWAのページやGithubにありますので、そちらを参照してください。
- Progressive Web App Dev Summit | Google Developers
- GoogleChrome/ioweb2016 | GitHub
PWA対応でできること
PWA対応することで、今までアプリでしかできなかった施策がWebサイトでも実現できます。下記ではPWA対応することによるメリットを中心にまとめました。
1.レスポンス向上によるユーザーのストレス軽減
従来のWebサイトに比べて速度が断然早いので、ユーザーがサイトを見ている際に、「遅い」と感じることが少なくなり、コンテンツを読み進むようになるのではないかと思います。
2.ユーザーにインストールという行為をさせてなくてよい
ブラウザー上でアプリと同内容のサービスを展開できるため、ユーザーにとって利用障壁となるアプリインストールの手間を省けます。この手間が省けることによって離脱率も改善されると考えられています。
3.プッシュ通知が可能になる
今まではアプリを導入しているユーザーにしかできなかった「プッシュ通知」ができるようになります。また、Chrome50 Payload対応により、プッシュ配信時に動的なコンテンツを入れ込むことも可能です。
4.アプリで必要だった、アップデート/リリース審査が不要に
ネイティブアプリの場合、機能を変えようとすると常にアプリアップデートの壁とリリース審査が入る手間がかかります。そのため、Webサイトと比べて新しい技術を機能追加をする導入障壁がありましたが、PWAの場合はWebサイトなので機能追加が比較的楽になるようです。
5.GPSが補足できる
今までは、IPアドレスベースでの地域ターゲティングだったため、特にスマホでのターゲティングの精度が低いのが懸念でした。しかし、PWA対応によりGPSを利用したより精度の高い地域ターゲティングが可能になります。
6.オフラインでのコンテンツ利用が可能に
アプリでは可能だったオフライン時でのユーザーのコンテンツ利用ができるようになるため、Webサイトの利用時間が増加すると思われます(インターネットがつながりにくい場所がある地下鉄の移動の場合などに便利ですね)。
PWA導入の注意点
ユーザー/デベロッパー共に利点の高いPWAですが、デメリットも押さえておく必要がります。
1.2重管理になっていく可能性
既にネイティブアプリを導入している場合は、引き続き管理は必要なため、2重管理は発生すると思われます。また、プロモーションについてもアプリダウンロードだけでなく、Webサイト(PWA)へのプロモーションが加わるため、プロモーションコストが2重でかかる可能性もあるでしょう。
2.対応ブラウザが限定的
主なブラウザだとSafariが未対応です。
3.SSL化の課題
今までHTTPを前提に作成されているサイトだと、全画面のリソースをhttpsへリダイレクトさせたり、ローカルストレージと同期する仕様にしたりなど、導入にとても時間がかかります。
まとめ
PWAを実装するには、Safariが未対応であったり、今までのコンテンツ管理を変えていく必要があるので、移行や運用には2重の管理がかかることが懸念となっています。
しかし、PWAの取り組みに関しては、Web/アプリ双方の欠点を解決していく非常に良い取り組みです。
他の施策のリソースとのバランスを考慮して実行していく必要はあるものの、以前の記事『AMP、3つのメリットとデメリット』で紹介したAMP(Accelerated Mobile Pages:加速化モバイルページ)と同様に、各Webサービスへの導入が進む施策であると思われます。
(記事提供:D2Cスマイル)