9月1日、ソニーはドイツのベルリンで開催中のIFA 2016に合わせてプレスカンファレンスを開催した。ステージにプレゼンターとして登壇した同社社長兼CEOの平井一夫氏が強調していたのが「ラストワンインチ」というキーワードだ。
ユーザーの最も身近にあるデジタル機器
ソニー製品が狙う「ラストワンインチ」
平井社長は、「ラストワンインチ」とはユーザーのすぐそばにある距離感という意味で、ユーザーの最も近くにあるデバイス、それがソニー製品であると説明。このラストワンインチの最たる製品として紹介したのが、最高の音楽リスニング体験が可能となる新しいオーディオシリーズの「Signature Series」だ。
ステージで紹介された製品は、ヘッドホンアンプの「TA-ZH1ES」、ウォークマンのハイエンドモデル「NW-WM1Z/WM1A」、そしてヘッドホンアンプの「MDR-Z1R」の3つ。いずれもハイクオリティーなサウンドを再現するオーディオ愛好家をターゲットとした製品だが、ほかのメーカーとの差異化が図れるアイテムでもある。
さらに10月に発売が予定されている「PlayStation VR」についても触れ、PlayStation VRが世界各国で注目を集めているアイテムであるとし、平井社長は「VR関連はゲームにとどまらず、デジタルイメージングやコンテンツ制作なども関連しているので、ソニーの強みが発揮できるポジションである」と語った。
社内スタートアップによる成果をアピール
Xperiaブランドの周辺機器も今年後半に続々発売
また、新規ビジネスを作り出すプログラムもソニーでは進んでいることをアピール。昨年のIFAでは、スマートウォッチの「wena wrist」を発表したが、その開発の土壌となった、ソニー内部のスタートアッププログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」が成果を上げてきていることをアピールした。
プレゼン内では、電子ペーパーをディスプレーに採用したスマートウォッチの最新モデル「FES WATCH U」を紹介。さらにLife Space UXとして発売されたグラスサウンドスピーカーが英国で発売されたことや、ロボット事業もすすめていくなどオーディオやゲーム意外の分野にも力を入れておくことをアピールした。
スマートフォン関連については、平井社長に代わりソニーモバイルコミュニケーションズ EVP セールス&マーケティング担当の古海英之氏が登壇。Xperia Xシリーズの最新モデルとしてフラッグシップモデルの「Xperia XZ」と、コンパクトモデルの「Xperia XZ」を発表した。
さらにMWC 2016で発表されていた、Xperiaブランドのスマートプロダクトについても紹介。スマホと連携するイヤホン型のコントローラー「Xperia Ear」は11月以降に発売予定とのこと。
さらにタッチ操作対応の単焦点プロジェクター「Xperia Projector」はYahoo!ショッピング、パーソナルエージェントの「Xperia Agent」はネスレのコピーメーカーと連携するなど、他社のサービス・製品との連携を発表。単なる変わったデジタルアイテムという位置づけではなく、「人と密着して生活が便利で楽になるような製品にしていきたい」とのこと。これもいわゆる「ラストワンインチ」の製品のひとつと言える。
昔のソニー製品が提供してきた「ラストワンインチ」
それを再度実現できるかどうか
このように「ラストワンインチ」をテーマとして、ソニーの新製品や開発、サービスへの取り組みが語られた。平井社長は「Signature Series」を発表する前に、ソニーが初期に発売した3つの製品、日本発のテープレコーダー「G型」、トランジスタラジオの「TR-55」、そして「ウォークマン」を紹介している。この3つの製品も「ラストワンインチ」を体現していた製品だが、それ以上にユーザーのライフスタイルを変える革新的な製品でもあったのだ。
これから発売される「ラストワンインチ」の各種製品が、再びユーザーのライフスタイルを変えるほどのインパクトとなるか、今後のソニーに注目したい。
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