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まだ会社で消耗してるの?世界45カ国を旅して働いてわかった5つのこと

2016年07月18日 01時00分更新

文●Tomas Šlimas

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好きなWebやデジタルの仕事をしながら、時間や場所に縛られずにもっと自由に働く。そんなデジタルノマドのJacob Laukatisさんへのインタビュー。

Jacob Laukaitis Motorbiking

ほんの10年、20年前まで、仕事はただ収入を得ること以上の意味がありました。仕事を効果的にこなすには職場にいるしかなかったため、会社の近くに住まなければなりませんでしたし、勤務時間(「8時から5時まで」など)は決まっており、働く人のスケジュールもそれに基づいたものでした。単に同じ部屋で過ごす時間が多いというだけで、友人も同僚であることが普通でした。

しかし、後にインターネット革命が勃発。「ペーパーワーク」はもはや紙そのものではなくクラウドサーバーを使うことになり、絵もキャンバスではなくPhotoshopで描くようになりました。また、Skypeでチーム会議をしたり、Trelloでプロジェクト管理をすることも増えました。

懐古主義の変化を拒む人なら、紙を使う仕事に戻りたいと不満を言うかもしれません。しかし、それは論点がずれているためまともに受け取ってはいけません。作業机で働くことばかりにしがみついていると、数週間滞在して、仕事をしてみたいと決めた、たとえば台湾のすばらしい熱帯森林の香りを味わうチャンスを見逃しているからです。

そう、デジタルノマドワーカーのことを言っているのです。彼ら以上に現代世界の恩恵を享受している人びとはなかなか思いつきません。デジタルノマドは、好きなときに好きな場所を旅行する自由、安定した満足のいく収入、柔軟なワークスケジュールなど、すべてを持ちあわせています。もちろん環境を整えるのにいろいろと労力が必要ですが、ほとんど誰にでもできることです。

記事では正真正銘のデジタルノマド、Jacob Laukatis氏を紹介します。22歳にしてアメリカで急成長を遂げているオンラインクーポンWebサイト「ChameleonJohn.com」の共同創業者を務め、オンラインワークをしながら過去3年間で45か国を訪れたことのある青年です。

Jacobさんに旅行と仕事について話を聞きました。ノマドワークをしながら気づいた点を教えてくれましたので、さっそくまとめました。

1.世界は報道されるよりもずっと安全で洗練されている

映画では、アメリカまたは西ヨーロッパを除く国は、若干ネガティブな印象をもたれがちです。アジアならほとんどの場合、伝統に固執している、技術が未発達である、食べ物が清潔ではないといったトーンで描かれます。

南米や東ヨーロッパでアクション映画を撮ろうものなら、犯罪、戦争、圧政に苦しむ貧しく汚い街が舞台になることが多くあります。

しかし現実のグローバル化社会では、世界中の人びとがみな同じような生活をしています。もちろん、文化、ジョーク、マナー、衣服はそれぞれ異なります。建物だって違います。しかし、地球の反対側に行ったとしても、なじみのブランドや製品を見つけられるのです。プリペイド携帯、ホステル、タクシー、スーパーマーケット、ドラッグストア、無線LAN、ウエスタンユニオンの窓口は、世界中の主だった都市なら見つかります。

Jacob Laukaitis in Asia

2.自分で経験するということは有意義で、また得るものが多い

旅先では、ほかの誰かの体験を見聞きしたり、コメントを読んだりするのではなく、すべてを自分ですることになります。

バイクは不便で危険、お金もかかり、天気を考えれば実用的な趣味とは言えません。バイクを買う人が少ない理由でもあります。しかしアジアに行けば1日5ドルという安さでバイクを借りられ、山から山へと最高のバイク旅行を楽しみ、爽快な気持ちで帰って来られます。

それから、サーフィン。サーフィンが楽しいことは誰でも知っていますが、ボードの上で一息つきながら、背中に優しい風を、足には冷たい水を感じながら朝日を楽しむ…、なんて経験はめったにできません。そのときの香りや音もなかなか味わえないものです。

旅はただおもしろいだけではありません。旅行中はさまざまな人に会い、人びとの生き方や考え方が学べます。こうした経験はほかでは決して味わえない教訓が得られます。

Jacob Laukaitis

3.旅行に大金をかける必要はない

旅行はお金がかかるというのは、もはや古い概念です。もちろん、観光客としての旅行は高くつきます。旅行代理店に行ってお勧めの5つ星ホテルを予約し、追加料金を払って飛行機のプレミアムシートを購入し、観光客向けレストランで食事をして、高いお店でお土産を買っていたら、たしかに大金が必要です。

こうした旅行は、数週間リラックスしたいので多めの支出もいとわない、というバケーションには最適です。しかし、そこで1か月以上生活や旅行をするつもりなら、お金のかかる観光客向けの場所ではなく、もっと長続きできる暮らしを考えなくてはなりません。

具体的な金額を言うなら、タイ(といっても首都のバンコクではない)のような国であれば1か月1000ドルくらいでも快適に暮らせます。それも3つ星ホテルに泊まってレストランで食事をして、お金を使うレジャーも楽しめます。

最後に考えなくてはいけないのは航空券ですが、少し工夫すれば格安チケットの入手も難しくはありません。必要なのは、オンラインで仕事をする能力だけなのです。

4.孤独を感じるのは、自分のせい

お金の問題が片づいたら、次に心配になるのは、いつも旅行しているために起こる人間関係の問題です。または、人間関係の不足とも言えます。

ノマドワークを考える人びとを悩ませるのは、いまいる友達を失ったり、新しい友達ができなかったりするのではないかという不安です。ただ、Jacobさんの実体験によると、すべてその人次第だそうです。新しい人脈作りは長期旅行をする上でとても大切なこと。現地に住む友人がいないのなら、現地の人びとと交流(毎日の雑談以上)をしないと、旅から得られる教訓の多くを逃してしまいます。

文化背景の異なる人びととの人脈を作れれば、その人たちの生活や抱える問題、またそれらについてどう思っているかを学べます。活発な交流が大事です。コミュニケーションをとることから始め、Facebookなどの旅行グループに投稿し、質問をするのがお勧めです。そうしないと、とても寂しく悲惨な気持ちになってしまいます。

「昔からの友人についても心配無用だ」とJacobさんは語ります。本当の友達なら自分がどこにいても関係なく応援してくれるし、友達の絆を深める術を見つけてくれるからです。

5.ただ自由を得るのが旅ではない

旅はただ自由を得ると言うだけではなく、身を委ねるべき正しいチャンスを探すということでもあります。数週間もある場所に住んでいると、そこでの生活をどれだけ気に入っているか必然的に評価するようになります。

冷戦後の東ヨーロッパで育ったJacobさんは、バリの生活様式、東京の公園、台湾の人びとなどアジアの街を気に入ったようです。永住におすすめの街を聞くと、上の3つは絶対に良いと教えてくれました。

ずっと旅をしていると、故郷以外の街に住むことが怖くなくなります。本当に定住したいと思う場所が真の故郷だと悟ることもあります。まあ、これは未知の世界への恐れがないからこその少し大胆な考えかもしれませんが。

惹きつけられるのが必ずしも「場所」である必要はありません。気が合う人に会い、一緒に外国に移る機会があるかもしれません。別の国で仕事のチャンスをつかみ、特に考えもせずに移住するかもしれません。

繰り返しになりますが、旅からは自由そのものを得られるだけではなく、従事したいと思えるような価値ある機会を探す自由も得られるのです。

Jacob Laukaitis

会社で仕事をするという従来の仕事の形はゆっくりと崩れつつあります。毎日何百万ものデジタルノマドワーカーが、親の世代が想像できないような生活を営んでいます。また、Jacobさんの話にもあるように、旅行と仕事を一緒にすることは難しいことではなく、絶対に価値があるものなのです。

(原文:5 Digital Nomad Lessons from Jacob Laukaitis

[翻訳:加藤由佳]
[編集:Livit

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