今回のことば
「日本IBMの女性幹部の比率は、日本全国平均の7倍。企業内ダイバーシティのペースセッターの役割を果たしてきた」(米IBMコーポレーションのジニー・ロメッティ会長兼社長兼CEO)
日本IBMが、2016年6月22日に、東京・六本木のグランドハイアット東京で開催した「IBM ウーマンズ・リーダーシップ・フォーラム」は、企業で活躍する約200人の女性リーダーが参加。講演やパネルディスカッションを通じて、日本の女性リーダーのさらなる活躍に向けた提言や意見交換を行なう貴重な場となった。
特別ゲストとして登壇したのが、安倍晋三首相夫人の安倍昭恵氏。「女性が社会のなかで活躍するには、一歩進む勇気を持つことが大切だ」と参加者にエールを贈った。
安倍明恵氏「女性の特性を生かして企業のなかで働いてほしい」
「若いときには、結婚して幸せな家庭を持ちたいと思っていた」と思っていた安倍氏だが、安倍晋三氏と結婚後には、後援会活動などに力を注ぐ日々のなかで、「安倍家の嫁として、恥ずかしくない行動をしなくてはいけない」というプレッシャーが常に付きまとう生活。しかし、その後、50歳になったことを機に、「型にはまった自分ではなく、正しいと思うことを言ったり、やってみたりといった人生を送ること」へと、考え方を変えたという。
50歳の節目の年であった2012年は、安倍首相の2度目となる首相就任の年。フルマラソンに挑戦したり、選挙区である山口県で作り始めた無農薬米を使用して、その料理を振る舞うための小料理店を東京・神田にオープンしたりといった、自分がやりたい新たなことに挑戦しはじめた。
ところが周囲からの風当たりは強く、小料理店に関しては、関係者から「全部買い取るので店をやめなさい」と進言させたり、週刊誌には、「裏路地の居酒屋の女将に成り下がった」といった内容の記事が掲載されたりしたという。
だが、安倍氏はそれでも店をやめなかったという。「無農薬で作った米や野菜を食べてもらったり、山口県の人たちが集まって、家に帰ってきた気持ちになってくれたりすることを望んだ店。いいことをしようと思っていたので、やめることはないと確信し、その店はいまでも続けている」とした。
今年の結婚記念日には、初めて店を安倍首相が小料理店に来店。さらに、サミットにあわせて来日したオバマ大統領夫人も来店してくれたという。
安倍氏は、「人生には無駄なことはなにひとつない。つらい時期があったからこそ、いまがある。若いときには、キャリアアップしたり、家庭を築く友人をみて、私には何もできないと焦ったこともあったが、いまは、人をつなげていくことが私の役割であると考えている」と語り、「女性が大企業のなかで昇進していくことはすばらしいが、男性と同じ仕事で昇進していくのではなく、女性の特性を生かして企業のなかで働いてほしい」と呼びかけた。
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