2007年6月29日は、米国で初代iPhoneが発売された日でした。その翌年、2008年7月11日に、日本でもiPhone 3Gが発売されました。初代発売から9年、日本での発売から8年がたったことになります。
当時の日本では、iPhoneはさほど大きな評価を得ていませんでした。性能面で比較すれば、多くの人々が手元に持っていたケータイの方が、よっぽど高性能だったからです。
初代iPhoneは3G通信が対応しておらず、カメラのオートフォーカスが搭載されたのも2世代後のiPhone 3GSから。また、ソフトウェア面でもコピー&ペーストができないなど、そのまま日本に持ってくると不便に感じる点が多かったでしょう。
米国においては、ジョブズの言葉を借りれば、iPodと電話とインターネットデバイスが融合した製品で、どちらかというと携帯電話というよりは、ネットやコンピュータよりの系譜から登場したデバイスという印象を与えていました。またデザインが優れていたことも、既存の携帯電話と同一視されにくかった理由ではないでしょうか。
ニューヨークでのiPhone初体験を思い出す
筆者は、2007年9月にニューヨークに旅行した際に、初めてきちんと通信ができる状態のiPhoneを利用する経験をしました。当時最も感動した機能は、地図でした。
今でこそ小さいながら、当時のケータイからすれば十分に大きかった3.5インチのディスプレイの中で、拡大縮小も自由自在。初めてではなかったとはいえ、外国の都市でガイドブックを開きながらキョロキョロするよりもはるかにスマートかつ安全に、旅先を過ごすことができ、これはすごいと驚いたのを覚えています。
iPhoneの地図については、iOS 6でGoogleマップから独自のAppleマップに移行したことから、世界的な混乱を招いていました。日本では「パチンコガンダム駅」なる謎の施設が登場したり、Appleマップのナビゲーションを辿って行ったら、車が沼にはまって動けなくなる事件が発生したり。
筆者がiPhoneのすごさを地図で感じたように、多くのユーザーにとっても地図の満足度低下を巻き起こすほど、地図は重要事項だったようですね。ちなみに、iOS 9からは日本でも駅の形などがきちんと表示されており、iOS 10からは東京でも乗換案内を利用できるようになるとのことです。
日本でのiPhone発売行列への参加
若かれしころの筆者は、実は8年前のiPhone 3Gの行列に並んでいました。ソフトバンク表参道から伸びる行列で、五輪橋を渡り、山手線沿い、岸体育館まではいかないあたりにいました。
雨こそ降りませんでしたが、とにかく湿気が多く暑い中での行列は過酷なものでした。最近はiPhone発売が9月になって、台風の可能性がより高くなっていることを考えると、まだ7月の方がよかったのかもしれませんが。
深夜、ソフトバンクの孫正義社長が行列を見物しに来たり、朝方飲み物が配られたり、iPhoneをゲットした人に対してサンプルを配布していたレッドブルのマーケティング戦略(成功体験の上塗り)は賢いなと思ったり、そんな思い出が残っています。
iPhone 3Gの登場で、名前の通り3G回線に対応し、カメラの画素数も向上し、またApp Storeをサポートしてアプリが追加できるようになりました。それでもまだまだiPhoneのスペックと体験は日本のケータイには及ばなかったことを覚えています。
筆者はiPhone 3Gの前に、日本のメーカーの端末とともにNokia N95を使っていました。日本のケータイからすれば、まだまだ驚くことは少なかったiPhoneも、海外の端末と比べれば整理されてキビキビ反応するユーザーインターフェイスに、海外でのiPhone人気を予測することができました。
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