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T教授の「戦略的衝動買い」 第387回

強風でもひっくり返らない! 6000円超のビニール傘を衝動買い

2016年07月13日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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ビニール傘ながら大きくて豪華なたたずまい

一般的な短いビニール傘と比べて見ると、その背丈や高級感の違いは一目瞭然

一般的な短いビニール傘と比べて見ると、その背丈や高級感の違いは一目瞭然

 ホワイトローズは、江戸時代には大名行列用の雨具を提供していた傘問屋「武田長五郎商店」がその前身だ。

 戦後は、米軍が持ち込んだビニールに注目し、当時は高級だった“綿傘”を雨の時に保護するためにビニールのカバーを発売したところ、そのカバーを被せるのが極めて斬新でトレンディーだったことから飛ぶように売れ、これが後のビニール傘の誕生に繋がったようだ。

 1964年の東京オリンピックの年には、米国から日本を訪れた米国大手洋傘流通のバイヤーの目に止まり、無駄のない目的特化のビニール傘は突然注目を集め、膨大な数を出荷した。

 しかし、すぐにコストの安い海外生産の代表的な商品である“安物傘”となり、本来、同社が目指す方向性とはかけ離れてしまった。

 そして“安物傘”というビニール傘の悪いイメージを払拭すべく、長年の研究の成果として発売されたのが、ホワイトローズの“究極のビニール傘”なのだ。

 元々は、“交通事故現場検視用”として存在していた透明ビニール傘を改善改良し、選挙演説で聴衆から候補者が見える傘、同時に候補者からも聴衆の表情が見える傘として再登場した。

 その後は、その効果から、海外から来日した国賓や要人が使う傘、皇后陛下が自ら選んだビニール傘として急激に有名になった。おかげで、ホワイトローズの究極のビニール傘はいつも売り切れ状態だ。

 今回、筆者が偶然購入できたのは「ホワイトローズ シンカテールクラシック」という持ち手が極めてクラシックな風貌のビニール傘だ。畳んだ時の全長は87cm、開いた時の実行直径は110cmと、ビニール傘にしてはかなり豪華で大きめである。

 重量は525gあり、これも一般的なビニール傘の250~300gと比較すると2倍前後。しかし、持ち手も含めた全体の重量バランスに優れ、それほど重く感じないところが優れモノだ。

フェイクだが寒竹のようなイメージの持ち手は気に入っている

フェイクだが寒竹のようなイメージの持ち手は気に入っている

 持ち手は一見して寒竹に見えるが、ABS樹脂製のよくできたフェイクでやや太め、男性の手ならグリップ感は抜群だ。

FRP(繊維強化プラスティック)製の8本の骨や、それを支えるパーツはすべてホワイトカラーで極めておしゃれな印象だ

FRP(繊維強化プラスティック)製の8本の骨や、それを支えるパーツはすべてホワイトカラーで極めておしゃれな印象だ

大型サイズなので技術的に難しいのか、別のブランドイメージか、ビニール傘の代名詞でもあるようなジャンプ傘ではなく手動開閉式だ。ファンとしては、まったくジャンプ傘である必要はないと思っている。“クラシック”の名前にも反する

大型サイズなので技術的に難しいのか、別のブランドイメージか、ビニール傘の代名詞でもあるようなジャンプ傘ではなく手動開閉式だ。ファンとしては、まったくジャンプ傘である必要はないと思っている。“クラシック”の名前にも反する

骨の結合部分など、要所要所は丁寧に同じ素材でカバーされている

骨の結合部分など、要所要所は丁寧に同じ素材でカバーされている

袋に骨の先端を引っ掛ける合理的だが安易な手法はとらず、あくまでクラシックで、エレガントな処理を優先しているところが素晴らしい

袋に骨の先端を引っ掛ける合理的だが安易な手法はとらず、あくまでクラシックで、エレガントな処理を優先しているところが素晴らしい

実際に室内でも開いてみたが、下ろくろを指先で押し上げて、上はじきにカチッと止まるまでの、指先に加わるタクタイル感と止まる寸前のテンション、そして音が心地よい

実際に室内でも開いてみた。下ろくろを指先で押し上げて、上はじきにカチッと止まるまでの、指先に加わるタクタイル感と止まる寸前のテンション、そして音が心地いい

 傘の骨部はFRP製の8本骨で、全体を覆っているビニールは、従来品のポリエチレンやポリ塩化ビニールではなく「ポリオレフィン系多層フィルム」と呼ばれるモノだ。

 柔らかく透明度の高いエチレン・酢酸ビニール共重合体を、同じく透明度が高くベタつかない新タイプのポリエチレンで、上下からサンドイッチした素材を使用している。

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