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山谷剛史の「アジアIT小話」 第127回

インドスマホ「micromax」に見るインド独特のアプリ事情

2016年07月07日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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コンシューマー同士の物々交換を支援する「Quikr」

「Quikr」の画面

 インドのオンラインショッピングシーンでオンラインショッピング以上に利用されているのが、売ります・買います・スタッフを募集します・家を貸しますなどのさまざまな情報が掲載される“クラシファイド”サービス。

 インドのニュースでは「C2C」(Consumer to Consumer)として扱われている。中国では先にECサイトが普及し、後からクラシファイドサイトが登場したが、インドの場合は、まずクラシファイド系掲示板が普及した。

 Quikrもそのひとつで、PCサイトからもアクセス可能。標準が英語表示(ヒンディー語ほか、インドの各公用語も選択可能)なので見れば雰囲気はつかめるだろう。

 無料でも出品できるが、月108ルピー(約160円)からの有料サービスを使えば、より多くのユーザーを対象に上位に掲載される。

 あまり参考にはならないが、スマートフォン普及状態がだいぶ異なる2015年1月の段階で、アクティブユーザーが3000万いるという。盛り上がっているジャンルだからOLXというライバルサービスと競争が起きている。OLXは南アフリカの会社だが、インドでQuikr以上に人気だとアピール。

航空機から長距離バスまで、充実の旅行アプリ「ixigo」

旅行アプリ「ixigo」。ツアー検索すると、アジア旅行といえばマレーシアやタイらしい

 より安くて快適な航空会社が揃ってきて、より多くのインド人が空路で旅行するようになっている。インドの旅行予約アプリ「ixigo」は、航空券の予約や、ホテルの予約や、インド国内外の旅行ツアーから、タクシーの配車までができる。

 また、インド国内の鉄道や長距離バスの予約もアプリを追加すれば可能になる。プリインストールされたアプリで、最も通知が多いアプリがこのixigoだった。お買い得旅行情報をよく送ってくるのだ。

デリー―ムンバイ間の航空券は5000円しないのが相場らしい

デリー―ムンバイ間の航空券は5000円しないのが相場らしい

ixigoの通知が多め

ixigoの通知が多め

 鉄道や空の時刻表を眺めてみたい、航空券の価格に驚きたいという旅行者は利用してみてはいかがだろう。アクティブユーザーは30万超。配車アプリでは「Uber」と地場でやっぱりソフトバンクが出資する「Ola」というサービスがあり、配車ではそれのほうが有名だ。

1億ユーザーのインド製メッセンジャー「hike」

インド製メッセンジャー「hike」

インド製メッセンジャー「hike」

 インドでインスタントメッセンジャーといえば、「LINE」でも「WeChat」でもなく、まず「WhatsApp」がくる。また、人気ではないものの「hike」というアプリもあり、このMicromaxのスマホにおいては、インスタントメッセンジャーではhikeアプリのみがインストールされている。

 特に他製品と比べて大きな違いはなく、ほかのアプリがそうであるように、知人の利用者がいれば利用する、という程度である。登録しているユーザー数は1億を突破した(アクティブユーザー数ではない)。

海外スマホはプリインストールアプリこそお宝!?

Micromax謹製のバックアップユーティリティーも入っている

Micromax謹製のバックアップユーティリティーも入っている

 このように、インドナンバー1スマホ「Micromax」のアプリは、インドらしいものが詰まっていた。

 何も知らずにこれをインド人が買えば、これらのアプリからやがてさまざまなサービスを利用していくだろう。

 インドが遠い国と感じる日本人においては、五感のうちでスマートフォンで感じれるのは視覚と聴覚だけであり、カレーをスマホで感じることはできないが、ボリウッドの音楽を聴きつつ、インドの鉄道の時刻表を見たり、インドで売られているスマートフォンをECサイトで見比べることはできる。

 外国でスマートフォンを買う際には、ハードウェア同様にプリインストールされているアプリにも注目すると面白い。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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