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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第120回

WWDC16:macOSと名前が変わったMacと変わらない経験

2016年06月23日 00時01分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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iOS 10やmacOS Sierraが発表されたWWDC16

 6月13日から開催されたAppleの開発者イベント、WWDC16。個人的には、非常に開発者向けのイベントらしい基調講演だったと振り返ることができます。Facebook/Googleのイベントも含めて、総括はまた今後の原稿で。

 第一印象は、公開された4つの新しいOSの中でトリを務めたiOS 10。最も長い時間が割かれていたし、Appleの戦略の中核を担う製品であることをあらためて強調していました。これについては、さほど驚きもありません。

 Appleが現在、時価総額で1、2位を争う企業に成長したのも、米国企業で売上高トップ5に入ったのも、「iPhoneのおかげだから」です。ただ、この表現は正確ではありません。

 「iPhoneと、クリエイティビティーあふれる開発者のアプリのおかげ」と言うべきでしょう。Apple自身も、このことを認めており、開発者会議に集まったエコシステムの中にいる開発者たちを讃えることを毎回欠かしません。そのことも含めて、「開発者らしいイベントの基調講演だった」という振り返ることができます。

ところで、macOS Sierra

 さて、今回のWWDC16で、個人的に気になる存在が、OS XからmacOSに名称を変更したMac向けのOSでした。Sierraというバージョンネームは、カリフォルニア州とネバダ州の間に横たわる、南北650kmにも及ぶ巨大な山脈です。これまでのバージョンネームだったヨセミテ国立公園もこのシエラネバダに属しています。

OSの名称が再び変わることになりました

 開発者の反応の中には「これまでAppleのOSの中で特別な存在だったMacが、iOSと同じ命名ルールの下に入った」と惜しむ声もありました。確かにAppleが見せるスライドで、1つだけルールが違うのは気持ちが悪いかもしれません。

 一方で、Appleのメインストリームである「iOS系」ではないことから、異質感を残しておいてもよかったのではないかという意見にも同意できます。ただし、名称の論争についても、大した盛り上がりもせず、macOSが定着していくことになるのでしょう。

 ある意味、「Mac OS」時代にモダンに里帰りしたようなものですから。

5日間ほど試してみて

 macOS Sierraを5日間ほど試してみましたが、すんなりと使えました。

 そりゃそうだろうと思われる方もいるかもしれませんが、Windows 7からWindows 8への移行で、混乱をきたした経験を持つ筆者としては、OSのバージョンが上がることと、操作体系が変わらないことは、とてもありがたいと感じたのです。

 確かに新しいインターフェースに触れて、好奇心に燃えなかったかと言われると嘘になります。でも「普段の仕事をこなしたいだけなのに」という冷めた自分もいて、そちらの側面からすれば、新UIは単なるストレスと、習得コストの無駄でしかなかったのです。

 変化が少ないことは、「地味」な印象を与えます。ただし、OSの本来の目的を考えると、堅牢なシステムの上で今までどおりのアプリが動いてくれることが基本で、その上で便利機能が追加されているというのが理想でした。

 特にパソコンは成熟しきっている状態にあり、新しさがさほど必要ないプロダクトだからという理由もあります。だからこそAppleはモバイルデバイスに活路を求めたし、それがうまくいった結果が、現在、ということになります。

フラストレーションが減った4つの理由

 macOS Sierraの目玉機能は、筆者にとっては、わりと響くものばかりでした。しかも、毎日Macを使っていて、ストレスを感じなくなってくる、そんな効果もありました。

 まず、1日に15回以上お世話になるのが自動ログインです。同じApple IDで登録しているApple Watchを装着していると、MacBook Proの蓋を開けたり、iMacの画面をキーボードを叩いて起こしてあげるだけで、勝手に通信してMacにログインしてくれるのです。

 コンピュータもモバイルデバイスも、セキュリティーのためにロックをかけています。どちらにも15文字のパスワードを仕掛けてありますが、iPhoneやiPad ProにはTouch IDが装着されており、指を当てるだけで長いパスワードを回避してロック解除ができました。

 しかしMacは文字列をタイプする必要がありました。自動ログインは3メートル以内に装着しているApple Watchがある状態なら、その人がMacの前にいると判断してログインしてくれます。

 そしてストレージの最適化は、Macを管理する上で、定期的に起きる本体ストレージの容量不足を自動的に解決してくれる機能です。

本体ストレージが減ったときにiCloud上にあるファイルは自動的に最適化して本体から削除してくれます

 もちろん実際に活用するには200GB以上のiCloudの追加容量を契約しておく必要がありますが、写真や音楽、iCloudドライブ上のファイルを自動的に本体から削除し、クラウドからオンデマンドでダウンロードする仕組みにしてくれます。

 この時点で、依然として「選択型同期」で同期しないフォルダを選ばなければならないDropboxやOneDriveよりも便利になりました。しかもiCloudドライブの場合、Mac上にないファイルについてもFinderに表示されており、使い勝手は上回っています。

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