この1年でタイの首都バンコクのPC市場、スマホ市場、ゲーム・アニメ・コミック市場が激変した。今後タイに行く人は今までの情報が使えない可能性があるので、まとめて紹介したい。
バンコクのPC市場・電脳街といえば、まずは「パンティッププラザ」(Pantip Plaza)。街の中心にある伊勢丹から北西方向に徒歩10分程度で行ける……のだが、残念ながらかつて入っていたテナントの多くが消え、明るい廃墟化が進んでおり、行く価値はなくなりつつある。
調査会社のIDCによると、パソコン市場は2012年を頂点に、クーデターとスマートフォンのダブルパンチで下落の一途。PantipPlazaでは、より高性能な2スピンドルの世界的なメジャーメーカーのノートパソコンや、定番のパソコンパーツばかりが売られている状態となっている。
タイ製の製品は作られず、中国から輸入されたカオス成分高めな製品もなく(あったとしても日本で売られている程度の斬新ではないものばかり)、タイ人としても日本人としても面白くなくなった感がある。
ただ、完全にニーズがなくなるかというとそうでもない。タイの掲示板では現在のところ、パソコン需要ほかプリンターインクの補充でも、とりあえずバンコク住みならPantip Plazaなどの電脳街に、という声がある。
ちなみにタイ最大の掲示板サイトの名称は「Pantip」だ。飛び交う言葉はタイ語だが、英語翻訳を行なえば、かなり文意はわかる。
チャイナタウンのスマホ売り場が盛況
では、スマートフォン市場は盛り上がっているかというと、これもまた微妙だ。「MBK」(マーブンクロンセンター)というショッピングセンターの上階にスマートフォン売り場となっているが、以前に比べて客が減少し、テナントで空きが見えはじめている。
アップルやサムスンなどの定番メーカーに加え、OPPOなどの中華系が目立ってきているし、根強く低価格低スペックのタイメーカーの製品が出ているのだが、人が少ない。
日本と同じように、タイでもそこそこの地方都市ではモールがあり、そこには大きなスマートフォン売り場があるので、地方の人々はそこで潤沢な選択肢の中で買える。また、都市部の人はECで買うこともできる。
IDCによればスマートフォン市場は緩やかながら上昇はしているが、4Gが軌道に乗っておらず、買い替えのきっかけになっていないのだとか。
なるほど、中国では人々はスマートフォンで見るものがテキストから動画やゲームに移ったが、タイではLINEやFacebookへのアクセスと自撮りばかりで、動画やゲームを利用する人は、中国と比べればほとんど見かけない。
MBKの場所は、街の中心にあるNationalStudiam駅の駅前。アクセスしやすいし、とある理由(後述)により、実は行く価値はある場所だ。
一方、バンコク西南部のチャイナタウン「ヤワラー」のスマートフォン関連製品売り場は大変盛り上がっている。
建物内ではなく、小さな店舗が集まっているので暑いのだが、バンコクでスマートフォン製品を見るなら、ヤワラーに行く方がいいだろう。文房具屋や雑貨屋や食材店や屋台に交じって、中国系の怪しげなスピーカーやLEDライトやスマホケース類といったスマートフォン用アクセサリーを並べるショップが連なる。
タイの華人は、タイ社会に溶け込み、中国人らしさはないと言われるが、怪しく面白いものはチャイナタウンでのみ生き残っていたのだ。
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