3つの「誤った通説」を否定し、データの「量」ではなく「価値」で判断を
このように、企業ストレージに膨大なデータが無秩序にため込まれている背景には「誤った通説」と、それに基づく行動があると、高井氏は指摘した。誤った通説とは、「ストレージは無限で無料」「データが多いほど価値が高まる」「データの価値はすべて同じ」という考え方だ(2番目については、ビッグデータの文脈では部分的に正しいものの、すべてではないと高井氏は注釈を加えた)。
こうした誤った考えに基づいて企業がストレージ戦略を進めることで、無駄なストレージ投資が拡大していくことになる。たとえば、データの「量」の増加だけを見てストレージへの追加投資を行っていっても、そのデータがそれに見合う「価値」を持っているとは限らない。
ちなみに、こうした問題は、クラウドストレージの普及によってさらに加速するおそれがある。オンプレミスとクラウドのストレージにデータが分散することで、管理の目が行き届かなくなり、長期的にはROTデータ/ダークデータの割合がさらに拡大し、保存コストも高まる可能性がある。
高井氏は、まず前述のような“誤った通説”を否定すること、そして“水面下”にあるダークデータに光を当てることが重要であり、そのためには「ダークデータを特定するテクノロジーを活用すること」、そしてベリタスが提唱する「データの価値に基づく情報ガバナンス戦略を企業が確立すること」が必要であると強調した。
そのうえで、たとえばITポリシーにおいて「定期的なROTデータの削除」を定めたり、あらかじめ会社の保存方針に沿って個々のデータへのタグ付け(いわば“格付け”)を従業員自身で行ったりすることで、より的確な情報ガバナンスが推進されると説明した。
新たにダークデータのアセスメント支援サービスも提供開始
ベリタスでは、こうした情報ガバナンス全体をカバーする包括的なテクノロジー(製品)とサービス群を提供している。ストレージベンダーなど競合他社は、あらゆるデータを保持しつつ重複排除などのストレージ技術で何とかしようというアプローチを取っているが、ベリタスは「情報ガバナンスのフレームワークに基づく異なるアプローチ」だと、高井氏は説明する。
今回、ベリタスでは新たに「ダークデータアセスメント」を開始している。これは企業がROTデータ/ダークデータを把握することを支援するアセスメントサービスだ。同社の「Data Insight」ツールを使って企業の保有データを分析し、さまざまな角度からROTデータ(あるいはその可能性があるデータ)に光を当てる。サービス内容によって無償、有償の両方がある。
高井氏は「すでに欧米企業などでは、経営視点からデータの価値を見極める責任者としてCDO(Chief Data Officer)なども出てきている」と紹介し、日本企業でも情報ガバナンスの確立を急ぐべきだと強調した。