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キーマンが集結した「Japan VR Sumit」で語られたポイントを総括!

2016年05月14日 15時00分更新

文● 佐藤カフジ 編集●ジサトラ ハッチ

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VRか?AR?市場の成長と技術の推移についての予測

 第5セッション「投資家から見たVR戦略」でトークを行なった、VR専門のアクセラレーションプログラムやファンドを展開する投資家側の人物たちも、同様にVRの未来を楽観的に考えている。

 その中で登壇した、gumiの國光宏尚氏、グリーの青柳直樹氏、コロプラの山上愼太郎氏、Presence CapitalのAmitt Mahajan氏といった投資家陣は、VRからAR(Augmented Reality)へ、ARからMR(Mixed Reality)へ、という、長期的な技術的推移を前提に、現在の投資戦略を考えているという点で共通している。

 北米のアーリーステージにフォーカスした1200万ドル規模の「GVR Fund」を運営するグリーの青柳氏は「VRは来ると確信している。昨年末、サンフランシスコとロサンゼルスのVR関連の会社を50社くらい訪問したが、ビジネスとしてもコミュニティとしても立ち上がってきていることを実感した」と、特に北米、シリコンバレーを中心に広がるVR熱に可能性を感じているようだ。

グリーは「GVR Fund」の設立のほか、自社でのコンテンツ開発、他社への開発支援など多岐にわたるVR事業を展開する。

 この辺りの実感は登壇した各氏ともに共通するところだが、VR、AR、MRというそれぞれの技術がどういった形で市場を形成するかについては、各人の見解が微妙に異なっているところもおもしろい。

「近い将来、ARが市場の多くを占めることになると思う」と語るのは、北米でVRスタートアップ向けのファンディングを展開しているPresence CapitalのAmitt Mahajan氏。これに対し、VR専門ファンドとして設立された5000万ドル規模の「Colopl VR FUND」を運営するコロプラの山上氏は、「ARはまだ時期尚早。もうしばらく様子を見たい」と、すくなくとも短期的にはVRへの投資に集中する考えを披露している。

コロプラグループは自社コンテンツ開発に取り組みつつ「Colopl VR Fund」を設立。VRのソフトウェア面にフォーカスした投資戦略を取る。

 これらの見解をまとめたのが、VRインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」を運営するgumiの国光氏だ。国光氏は、2020年という短期的な将来について「VR/ARの市場規模は1200億米ドルになり、ARの市場規模はVRの4倍になる」とのデータを提示しつつ、しかしその先には、ARとVRの良いところを融合させたMRが最終的に主流になるのではないか、という見解を示した。

 その上で、国光氏は、現時点の“VR元年”に始まり、3年後くらいにはARの本格始動、さらに3年後くらいにはMRが立ち上がっていくという形で「3年おきに新しいメディアのローンチを楽しむことができる」と、将来の流れを実業家として非常に楽しみにしているという展望を、満面の笑顔で語っている。

gumi國光氏が示した将来の技術ロードマップ。およそ3年おきに、VR、AR、MRと、新技術が次々に立ち上がってくるだろうと予測した。

幅広い応用領域の中でも、主流はソーシャルに?

 HTCのRaymond Pao氏が「VRはすべての産業に活用される」と語っている通り、実際に、黎明期にある現世代のVR技術は、ゲーム以外の産業にも様々な応用例が広がってきている。

 例えば、第4セッション「VR開発者を支える最新技術動向」で登壇した、エピック・ゲームズ・ジャパンのデベロッパーサポートマネージャー下田純也氏は、同社が展開するゲームエンジン「Unreal Engine 4」にて既に、建築や、自動車の設計、トレーニング用途など、VRアプリへの活用が多岐に広がっていることを報告している。

「VR開発者を支える最新技術動向」セッションのモデレーター、リブゼント・イノベーションズ社長の橋本善久氏が示したVRの応用例。あらゆる産業にまたがっている。

 VRの多彩な応用領域の中でも、特に多くの登壇者が「これは来る」と予想するのが、VRを対人コミュニケーションの媒体として活用するソーシャルVR分野だ。

 前述したようにOculus 池田氏がFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏の言葉を引用したことにもそれは現れているが、VR関連の幅広い研究開発に携わるTencentのLi Shens氏も「VR Socialは大きな成功領域になり、多くの人が繰返し利用するものになる」と語り、VRが全ての人に広がり、スマホの役割りを代替していく課程において、ソーシャルVRが特に重要であるとの見方を表している。

 これを受けて、「VR空間内で人の関わりが生まれると、突然、環境全体がリアルに感じられるマジックが起きる」と語るのが、実際にソーシャルVRのソリューションを開発している、VRChatの共同創業者CTOのJesse Joudrey氏だ。同社が開発するソーシャルVRシステム「VRChat」では、ユーザーメイドの様々なVR環境で過ごしたり、ミニゲームを行なうことができる。そこで実際に人と人とのコミュニケーションが発生することにより、その空間が現実と同様の重みを持ち始める、という考えだ。

「VRChat」が環境やアバターのデザインにUGC(User Generated Contents:ユーザー制作のコンテンツ)を大胆に導入していることは、VRの世界を加速度的に広げていく可能性を広げるもので、非常に興味深い。

「VRChat」は環境そのものやアバターをユーザーが制作し、世界を拡張していける。

 その意味では、第4セッション「VR開発者を支える最新技術動向」で登壇した、各ゲームエンジン企業の人物から報告された、Unityや前述のUnreal Engine 4の進化という側面も重要だ。ゲーム業界を二分する人気の両エンジンは、ともにVR向けの対応や最適化を急ピッチで進めている。特に興味深いのは、VR内でコンテンツクリエイションを行なえる「VRエディター」機能をどちらのエンジンも準備していることだろう。

 これについて、既にVRエディター機能をGitHub上で公開しているUnreal Engine 4は、既存の編集機能をVRを使って拡張する、というアプローチ。これに対して、現時点はコンセプト映像の披露にとどまっているUnityのほうは、VR専用の簡便なインターフェイスをゼロから構築し、「誰でも使えるような」エディター機能を目指しているという姿勢の違いがある。

Unrealn Engine 4のVRエディター。空間内に3Dモデルをザクザクと配置し、制作することができる。

 同セッションで登壇したユニティ・テクノロジーズ・ジャパンのエバンジェリスト伊藤周氏は、UnityのVRエディター機能について「2Dではできない表現も可能になるほか、誰でもコンテンツ制作ができるようになる。ノンゲームでの活用も期待している」と、大きな期待を寄せている。最終的には、「プログラマがかぶりっぱなしで使えるようになるのが完成形」と考えていることも興味深い。

 そのためにはHMDの解像度向上や、シースルーカメラ機能の充実といった改良が必要となるのは間違いないが、それが実現すれば、コンテンツ開発に必要なほとんど全ての作業をVR内で完結することにつながり、VRとノンVRの区別なく、コンテンツクリエイションのありかたを劇的に変えていくことになるだろう。

UnityのVRエディター機能はコンセプトムービー段階だが、まったく新しいインターフェイスで誰にでも使えるものを目指している。

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