米マイクロソフトは7月29日をもってWindows 10の無償アップグレードの提供を終了し、それ以降は「有償化」することを発表しました。日本マイクロソフトも毎月10日を「Windows 10の日」と定め、アップグレードを促していく構えです。
10に上げるべきかどうか迷っているユーザーには悩ましい反面、Windows 7や8.1に残留することを決めている場合は、あの手この手のアップデート施策からついに解放される日が来ることになりそうです。
Windows 10のシェアが日本でも15%超え
1年間の期間限定で提供されてきた無償アップグレードが終わる7月30日以降、米国ではアップグレード版を119ドルで入手できます。しかし現時点で日本にはこのアップグレード版が存在せず、代わりに1万7600円(税別)の製品版を購入することになります(いずれもHomeの場合)。
ここ数ヶ月の間、米NetApplicationsの調査でもWindows 10のシェアは急速に拡大しています。日本国内のデータでも2016年1月にXPを上回った後、4月には初めて15%に到達。同時にWindows 7のシェアがついに50%を割り込んでいます。
ただ、これまで10への移行をためらってきたユーザーが、2万円ものお金を払って新しいOSを買うとは考えにくいところ。8月以降、個人ユーザーが10に移行するのはPCの買い替えが中心になると予想されます。
2020年のサポート終了をにらみ、企業ユーザーが一斉に7からの移行を始めるまで、10のシェア増加ペースはいったん落ち着くことになりそうです。
無償アップグレード終了が「朗報」になる場合も
無償アップグレードの終了は、悲しいことばかりではありません。7月30日以降、タスクトレイからの「ポップアップ」に代表される、10へのアップグレード施策も終わることが期待されます。
極端な例では、10への移行を促す画面が街中のデジタルサイネージや海外の天気予報番組に表示され、世間を賑わせてきました。OSを勝手にアップグレードされたくないと考えるユーザーに対して、こうした強硬策は大きなストレスを与えています。
スキルのある人なら、すでにアップグレードを抑止する手順を実行しているでしょう。しかし無償アップグレード自体がなくなることで、「ある朝、目が覚めたらPCがWindows 10になっていた」という悪夢にうなされることなく、誰もが安眠できるようになります。
もちろんWindows 10にはメリットも多く、パフォーマンスや省電力性能の向上、セキュリティ強化といった点については誰もが賛同するはず。次にPCを買い替えるときは10を選ぶユーザーがほとんどでしょう。しかし、いま安定して動いているWindows環境をアップグレードすることには慎重になりたいものです。
「7から10」への壁を乗り越えられるか
こうして移行をためらうユーザーに対し、「いったん10に移行して、問題があれば元に戻せばよい」という指摘もあるでしょう。
ただ、Windows PCのユーザー層は非常に幅広いのが実情です。Windows 10の登場後、熱心に改善点のフィードバックを送る人や、最新のInsider Previewを追いかける人もたしかに増えました。
その一方で、スマホやタブレットの手軽な使い勝手に慣れてしまい、PCのメンテナンスに時間を取られたくないと考える人も増えている印象があります。
筆者自身、久しぶりにWindows 7をクリーンインストールする機会があったのですが、かつては当たり前のように進めていたOSインストールという作業が、思いのほか苦痛に感じることに気が付きました。アプリやドライバの互換性に不安のあるOSアップグレードとなれば、さらに気が重い作業です。
マイクロソフトとしては、「Windows 10にさえ上げてくれれば、あとは自動的にアップデートで新機能を提供してあげられるのに」と言いたいところでしょう。しかし「7から10」への壁は日に日に高くなっているように思います。ここをいかにして乗り越えてもらうかが、7月29日までの課題になるでしょう。
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