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山谷剛史の「アジアIT小話」 第123回

布団でくるんでも部屋中に響く着信音! 中国で見つけた変わり種ケータイ

2016年04月28日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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不必要に巨大音量で起動、アプリのほとんどは使えない……

 核動力の高齢者向け巨大ケータイ「H7-710」の電源を入れてみる。音量が公称200dBの超巨大ケータイ同様、この手の製品は常識が通じない大音量で起動するので、電源を入れる際には掛け布団にくるむ。

 そして、それでもやはり起動音は部屋中に響く。起動後は音量を調整できるのだが、なぜか起動時の音のオン/オフの設定はなく、問答無用で電源を入れると大音量をまき散らすのが悩みどころ。

 UIはWindows Phoneっぽいが、フィーチャーフォン。このUIを搭載した中国ケータイはほかにもあり、いずれも老人向けケータイだ。

 4.3インチの画面で左右にスライドさせてさまざまなことをやらせるにしろ、ひとつの画面に5つか6つ程度しかアイコンはないので、シンプルで操作しやすい。

いろいろアプリは用意しているが使えない

いろいろアプリは用意しているが使えない

 具体的には「電話」「電話帳」「よくかける電話番号」「通話記録」「カレンダー」「カメラ」「ラジオ」「アラーム」「画像」「SMS」「メモ」「ファイル管理」「設定」「音楽」「動画」「録音」「インターネット」「ゲーム」「電卓」「電灯」「電子ブック」「観劇」「詐欺防止マニュアル」「健康生活マニュアル」といったアイコンが並んでいる。

イマイチ読み応えのないコンテンツ

イマイチ読み応えのないコンテンツ

観劇が最大の魅力

観劇が最大の魅力

 メニューは作ったけどコンテンツは不在というあたりは、残念ながら山寨機のお約束。詐欺防止マニュアルや健康生活マニュアルも、何ページかの画像付きコンテンツがあるだけで、使えるアプリとはいいがたい。

 実際に使えるのは、電話やSMS関係と、電卓、microSDカードにたっぷり詰まった観劇コンテンツ、それに大音量のアラームくらいか。

 フィーチャーフォンなのでスペックをOS上から知ることはできず、かつ説明書が入っておらず、この製品を販売するウェブサイトを見ても書いてないので、残念ながら細かなスペックはわからない。

 GSMしか対応していないと書いたが、設定をチェックすると、無線LAN接続の項目があり、接続ができた。

 ではそれを活用できるかというとまた別の話で、ウェブブラウザーはあるが使えたものではないし、新たにアプリが入れられるというわけではなく、インターネットを利用できるけど、それが役に立っていないという微妙な仕様ではある。

 カメラユニットにしても写真は紫がかった、山寨機によく搭載されている安物のカメラユニットで実用的ではない。

高齢者用メディアプレーヤーに電話を付けた
という解釈なら納得できる製品

 これを「使えない」と切り捨てるのは簡単だ。中国では、核動力のこの製品が出る前から、これと同じような形状の高齢者向けのメディアプレーヤーがリリースされていて、広場でダンスをする老人や、音楽を聴きながら山登りする老人たちに愛用されている。

 そうした製品に、電話機能を付けました、という解釈なら、使えない機能はあるものの、老人たちにとっては案外アリな製品となる。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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