香港でスマホが安く買える場所と言えば、「聖地」とも呼ばれる携帯電話ビル「先達廣場」が有名です。ですが、最近では普通に街中でスマホを買ったほうが安い、逆転現象が起きています。今回はそんな香港の最新スマホ販売事情をレポート。
もう最安の地は「先達廣場」じゃない?
新しく制定された競争条例がキー
香港には世界中からスマホが集まってきます。ヨーロッパでSIMロック販売された製品がロック解除されて輸入されたり、あるいは東南アジアで激安で売られた製品が大量に流れて来たり。もちろん日本のスマホも一部が香港で売られているほど。香港は関税が無いため携帯電話の輸入は無税、自由に輸入できる環境なのですね。そんな輸入端末を販売するお店が集結しているのがモンコック(旺角)にある「先達廣場」。香港で安いスマホを買うならまずはここに行け、というのがこれまでは定番でした。ところが、2016年になって、その図式が大きく変わっているのです。
香港は観光業にも力を入れています。海外からの観光客を呼び込むことは国策でもあるわけです。観光客にとっては買い物が安いというのもその国を訪問するひとつの魅力になりますよね。そんなこともあり、香港では2015年12月に新しい競争条例が制定されました。簡単に言えば小売店が商品の販売価格を自由に決めることが可能になり、メーカーなどが統一価格を強要することが不可能に。つまり、メーカーなどが「この製品をこの値段以外で売るのは禁止」といったことができなくなったのです。
もちろん定価はありますから、小売店はその価格で販売できます。ですが、競争の激しい業界では資金力のある大手チェーン店が一斉に値引きを始めました。これは街中の怪しい現金問屋が赤札表示で出所の不明な製品を売っているのではなく、クレジットカードも使えるきちんとしたお店が正規流通品を割り引きして販売しているのです。
香港の大手家電量販店は「Broadway(百老匯)」「Fortress(豊澤)」「Suning(蘇寧)」などがあります。ほとんどのショッピングモールにこれらの家電量販店が入っているので、モバイルなお買いものとは関係なく、洋服や雑貨の買い物や食事に出かけたビルやモールの中に店を見つけられるはず。スマホの割引率は店ごとに違うのではなく、それぞれの量販店ごとにことなります。「Broadwayは1000円引きだったけどFortressは1500円引きだった」なんてこともたまにあるのです。
なお、西洋菜南街(Sai Yeung Choi St S)は以下の地図のとおり。北がArgyle St、南がDundus Stに挟まれた500メートルくらいの通りに、家電量販店が乱立しています。先達廣場も近いのでこの界隈はオススメです。
GalaxyもXperiaもiPhoneもある
割り引き率は端末の人気や元の価格次第
家電量販店は各社が隣同士に店を構えていることも多くあります。西洋菜南街に行けば同じチェーン店が何店舗もあるほどで、競争は熾烈。その結果端末価格が割り引きされているだけではなく、スクリーンプロテクターやらモバイルバッテリーのオマケなどが付くことも一般的。もちろんスクリーンプロテクターはその場で無料で貼ってくれます。ほかにもキャラクターグッズなど量販店全体でプレゼントがあることも。日本のキャラクターグッズがもらえることもあるのでそれはそれでいいお土産になるかも。
定価より安く買えるからといって、いちいち店員さんに価格を聞く必要はありません。割り引き価格は店のショーケースなどに公開されています。なので、各家電量販店の店頭を見てまわるだけでどの製品が安いかを比べることも可能。とはいえ、ほとんど横並びなので、大きな差があることはあまりありません。
値引き率は端末の人気や元の価格で大きく左右されるようです。たとえば、ソニーモバイルの「Xperia Z5 Premium」は香港定価が6398香港ドル(約9万3800円)、家電量販店では4798香港ドル(約7万400円)と25%引きで売られています。海外の通販ショップだとこれより安く売っている店もあるでしょうが、こちらはメーカー保証も1年ある香港の正規販売品です。正規販売品の割り引き価格は恐らく香港が一番安いでしょう。
また、iPhoneも正規代理店である家電量販店では割引販売中。さらには香港の各キャリアもiPhoneの正規代理店ですが、横並びで各社200香港ドル、約3000円引きでiPhoneを販売。香港は日本と違い、キャリアで販売するiPhoneもSIMフリー品。キャリアで端末だけ買うことも可能、契約などは一切いりません。アップルストアで買うよりも正規代理店のキャリアや家電量販店のほうがiPhoneが安いという、摩訶不思議なことが起きているのです。
以前は大手の店が横並びで値段を上げることもありました。iPadの販売でケースバンドルを強要しそのケースを1万円で売る、なんて光景も見られたものです。さすがにいまはそこまで人気の製品は無くなりましたが、発売されたばかりの「Galaxy S7」と「S7 edge」は量販店で値引きゼロ。量販店だけではなくキャリアも品切れ状態が続いています。このような人気製品で定価販売しかない製品は、逆に先達廣場などの携帯ビルへ行ったほうが安く買えるケースもあります。以前であれば「とにかく先達へ急げ」だった香港のスマホのお買いもの事情、いまでは「まず家電店、次に先達へ」と変わりつつあるのです。
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